2026年F1パワーユニット:メーカーが差をつけられる3つのポイント

2026年仕様のパワーユニット開発にあたり、F1の各パワートレイン部門は、過去と比べてはるかに堅固な技術基盤からスタートすることができた。
そのため、革新や差別化を図れる要素は限定的になるが、まさにその限られた領域こそが初期の性能差を生み出す鍵となる。
「パワーユニットの構成要素そのものはすでに存在している。だからこそ、高性能なものを作るには信じられないほど野心的な目標を設定しなければならない。コスト制限の中で最善を尽くすため、我々は多くの問いを自らに投げかけてきた」と、メルセデスAMG・ハイパフォーマンス・パワートレインズの責任者であるハイウェル・トーマスは語っている。
トーマスが挙げた「差別化のポイント」は、大きく3つに集約される。それは、内燃エンジン(V6)、電動システム、そして両者の相互作用だ。
(1) 内燃エンジン(V6)の性能
V6エンジンは、2026年以降も依然として重要な要素であり続ける。信頼性の面では、すでに各メーカーが極めて高い水準に到達しているが、純粋な性能では差が生じる可能性が高い。
「エンジンのパワーは間違いなく非常に重要な要素だ。我々はパワーユニットを設計・製造するエンジニアであり、エンジン出力を愛している。これは主要な焦点のひとつになる」とトーマスは強調する。
(2) 電動システム(MGU-K)の効率
2026年の電動システムではMGU-Kが中心となり、1周あたりに使用できるエネルギー量は従来より制限される。そのため、チームとドライバーの連携はこれまで以上に重要となり、いかに効率よくエネルギーを使い切らずに走るかが問われる。
「2つ目のポイントは電動システムの効率性だ。この分野で効率が高ければ高いほど、システムをより長く作動させることができ、その分だけ速く走れる。これも非常に大きな役割を果たすだろう」とトーマスは述べている。
(2) 内燃機関と電動系の統合・運用
多くの場合、マシンは個々の要素が単独で優れているだけでは十分ではなく、全体としてどれだけうまく機能するかが重要となる。トーマスは、この「統合こそが3つ目の決定的要素」だと指摘する。
「すべてのコンポーネントをうまく連携させることが不可欠だ。利用可能なエネルギーやパワーを過渡的な状況でどう使うのか。まったく新しいマシンと、ドライバーとをどう結びつけるのかが問われる」
さらに彼は、エネルギーマネジメントがドライビングそのものを制約する可能性についても触れている。
「ドライバーは望めばストレートでは非常に速く走れるかもしれない。しかし、そうすればラップの残りの部分で大きな困難に直面することになる。だから、たとえ望んでもそれはできない。その戦略的な要素、つまりどこでパワーを使うのかを理解することが、全体の中で大きな違いを生むと思う」

ADUOによる性能差是正の仕組み
2026年シーズン序盤には、性能面で一歩抜きん出たパワーユニットが現れる可能性が高い。ただし、新規則では遅れているメーカーを救済するための仕組みも用意されている。それがADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)だ。
この制度について、FIAシングルシーター部門の技術責任者であるニコラス・トンバジスは次のように説明している。
「パワーユニットメーカー間にはコスト面での格差がある。そのため、これらの規則の初日からADUOという概念が存在していた。ここ数か月で、その運用方法を明確にするための詳細が追加された」
「5〜6戦ごとに、各パワーユニットメーカーの平均的なパフォーマンスが測定される。定められた基準を下回ったメーカーは、その下回り具合に応じて、年間を通じて蓄積される形で恩恵を受けることになる」
その恩恵は、具体的に3つの形で与えられる。
「1つは追加の開発資金、2つ目はベンチテストの追加時間、そして3つ目が新たなエンジンの再ホモロゲーションを行う権利だ。つまり、後れを取ったメーカーにも挽回し、追いつく機会が与えられる」
2026年のF1パワーユニットは、単なる技術革新だけでなく、効率、統合、そして運用戦略を含めた総合力が問われる時代へと突入することになる。
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