コルトン・ハータのF2への適応が左右するインディカーの世界的評価
2025年9月にインディカー離脱を発表したコルトン・ハータは、先月初めにF2で初テストに臨んだ。これは、メジャースポーツでは前例のない「後退して前進する」選択だ。

たとえば、NFLのスターQBであるジョシュ・アレンが、8年のキャリアを経てNFLを去り、より大きく世界的なリーグに入るために大学へ戻る――そんな想像をしてほしい。理解不能だろう。

しかしインディカーでは、最大級のスターの一人であるハータが、キャデラックF1ドライバーになるための第一歩として、実際にインディカーを離れF2へ向かう道を選んだ。

2018年にほぼ同時期にプロデビューしたアレンとハータはいずれも世代を代表する才能だ。ハータはインディカー116戦を戦い、2024年にはアンドレッティ・グローバルでランキング2位。通算9勝を挙げ、2019年には18歳で史上最年少優勝者となった。25歳となった今、彼はインディカーに深く根付いた存在で、2025年のメディアガイドではドライバー欄の表紙に彼一人の顔が使われたほどだ。

それだけに、F1の“仕上げの学校”へ向かうこの進路変更は、奇妙で前例のないものに映る。

才能は十分、だが「アクセス」が足りない
ハータの実力はF1直行でも不足はない。だが、マクラーレン、レッドブル、フェラーリらと戦うために必要なスーパーライセンスポイントが足りず、グリッドへの「アクセス」を得られていない。

かつては、ハータ級のドライバーがF1を夢見て実力さえあれば歓迎された時代があった。

「1963年、23歳でペンシルベニア州ハットフィールドのミジェットに乗っていたとき、頭にあったのはダン・ガーニーだった。彼はそのままF1に行った。僕は三分の一マイルのダートトラックでF1を考えていたんだ」と1978年F1世界王者のマリオ・アンドレッティは語る。

不足分のポイントを得るため、ハータとTWGモータースポーツ(キャデラックF1の親会社)は、Hitech TGRのF2マシンで2026年を戦うという大胆な計画を立てた。

「今しかないと彼は分かっているし、その賭けを受け入れている。一歩下がって二歩進む。その覚悟は美しい。彼は自分のやっていることを理解しているし、必ず成し遂げる」とアンドレッティは語る。

理論上は有利、現実は容易ではない
理論上、トップクラスのインディカードライバーであるハータは、F2の若手を圧倒しても不思議はない。しかし適応は簡単ではない。先月アブダビで行われた3日間の合同テストでは、3日目の午前で14番手、午後で19番手だった。

「快適さを掴むことが目的だった。まだ完全に馴染めてはいない。重要な3日間で、すべてを最大化する必要がある。オフシーズンに走れるのは楽しいし、残りの2日が楽しみだ」とハータはテスト中盤に語っている。

コルトン・ハータ キャデラック F1

F2特有のタイヤと手順
2025年にF2を戦ったアメリカ人のマックス・エスタソンは、タイヤ使用制限と独特の手順に衝撃を受けたという。ファイアストンの頑丈なタイヤでハードに走れるインディカーとは対照的に、ピレリ装着のF2はハードドライビングを許さない。

「最大の違いは有効周回の少なさだ。アウトラップ、ウォームアップ、プッシュの1周、その後はクールダウン。アウトラップは20〜30秒遅く、実質スピードで走らない。表面を極端に繊細に扱う必要がある」とエスタソンは説明する。

「予選は、数分間流した後、時速200マイルでターン1に入り、その1周を完璧に決める必要がある。予選用タイヤの経験はほぼない。準備が少ない中での完璧さが求められる」

オワードの視点──ハータの成否はインディカーの評価
元チームメイトのパト・オワードは、個人的にも、そしてインディカー全体のためにもハータの成功を願っている。

「彼にうまくいってほしい。これは財政面というより、個人的なリスクだ。F1のシートを得て、我々が知っている実力を示してほしい。才能はあるが、自動的に結果が出るわけではない。長年やってきたドライバーたちと戦うことになり、学習曲線は急だ」

「もしうまくいかなければ、それを叩く声も出てくる。それが現実だ」

オワードにとって、F2でのハータの活躍は、インディカーが高水準のドライバーを擁するシリーズであることの証明になる。一方、苦戦すれば、F1ファンの一部はハータだけでなくインディカー全体を攻撃するだろう。

「彼の決断を支持し、成功を祈るべきだ。彼はインディカーからF2へ行く最初の存在だからだ。コルトンがうまくやれば、それはインディカーの勝利になる」

ハータのF2での適応は、彼自身のF1への道だけでなく、インディカーの世界的評価そのものを試す試金石となる。

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カテゴリー: F1 / コルトン・ハータ / インディカー / FIA F2 / キャデラックF1チーム