フォーミュラE:日産のオリバー・ローランドがチャンピオン獲得
オリバー・ローランドが2024/25年のフォーミュラEワールドチャンピオンに輝いた。日産に所属する彼は、ベルリンでのラウンド14にて4位入賞を果たし、シーズン残り2戦を残してタイトルを確定させた。

GEN3 Evo時代の到来とともに力強いシーズンを過ごしたローランドは、ここまでに4勝・7度の表彰台を獲得。一方で、サンパウロでのパワーオーバー使用によるペナルティや、マイアミでの追い上げ、ラウンド13でのリタイアなど、試練も経験してきた。

決定戦となったベルリンのレースでは、前日の接触によるペナルティで8番グリッドからのスタートとなったが、彼らしい積極果敢なレース運びで4位まで浮上。一方で、最大のタイトルライバルであるパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)はポールポジションからのスタートだったが、アタックモード戦略の失敗と終盤のペースダウンにより16位まで後退。ローランドのチャンピオンが確定した。

ローランドはレース後、こう語った。

「週末の前はチャンスがあると思っていたけど、昨日と今朝の展開で『もしかしたら無理かもしれない』って心配になった」

「レース中はパスカルの順位を知らなかったけど、残り4、5周くらいでエンジニアから『今P4、いい位置だ』って言われて、ちょっと変だなって思った。テレビ画面で順位を確認していったら、8位まで来ても彼がいなくて、それで『ああ、トップ8にいないんだな』って。次にまた画面を見たとき、ようやく彼の位置を確認できた」

「問題が起きたのかはわからなかったけど、その時点で『もし彼が無得点なら、自分が4位で決まる』って理解した。だからこそ確認したくなかったんだ、ジンクスになるかもしれないからね」

フォーミュラE オリバー・ローランド

ローランドのフォーミュラEキャリアは波乱に富んでいる。デビューはシーズン2のプンタ・デル・エステで、当時はマヒンドラからの1戦限りの出場だった。その後シーズン5から日産で本格参戦し、シーズン8には再びマヒンドラに移籍。しかし成績は振るわず、シーズン途中での契約解消を経験。F1や他カテゴリーの選択肢もない中、「フォーミュラEキャリアの終わり」を覚悟した彼を再び呼び戻したのが、古巣の日産だった。

「家族の生活も背負ってる中で、自分から契約を打ち切るのは本当に大きなリスクだった。2~3週間まともに眠れなかった時期もあった。そんな状況から、最初にフォーミュラEで走ったこのチームと一緒にここまで来られたのは完璧なストーリーだと思う」

「レースドライバーって、良い日より悪い日の方が多いから、常に自分を信じ続けないといけない。今年はいいチャンスになるって思ってたよ」

「プンタ・デル・エステでデビューしたときは、何も分からないまま来て、本当にキツくて『もうやりたくない』って思った。でもこのチャンピオンシップで歴代チャンピオンやライバルを見渡すと、その中に自分が加われたのは本当にすごいことだと思う」

ローランドには今季あと2戦、ロンドンでのホームレースが残っている。日産もチームとマニュファクチャラーのタイトル争いを続けており、昨年自身が勝利したこの舞台での再現に期待がかかる。王者としての走りに注目が集まる。

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カテゴリー: F1 / フォーミュラE / 日産