ティクタムがフォーミュラE60戦目で初優勝 混戦のジャカルタE-Prixを制す

ティクタムは5番グリッドからスタート。序盤はアンドレッティのジェイク・デニスとマヒンドラのニック・デ・フリースが主役となったが、両者の接触と戦略の綾により状況は一変。
CUPRA KIROにとってもこの勝利は、ネルソン・ピケJr.が2015年のモスクワE-Prixで挙げた優勝以来。長い低迷を経て、チームとドライバーにとって記憶に残る一日となった。
先頭争いは波乱の連続
レースはポールポジションからスタートしたデニスが、2番手に浮上したデ・フリースを抑えて主導権を握ったが、38周のレース中盤に運命を分けるアタックモード戦略の違いが浮き彫りとなる。デ・フリースが4分間、デニスが2分間を使用することで、両者のアクティベーションタイミングがズレることに。
ストレートで2度にわたって仕掛けたデ・フリースに対し、デニスは激しいディフェンスを展開。2度目の攻防で接触が発生し、デ・フリースには10秒加算のペナルティが科された。
その後のセーフティカー明け、再びレースをリードしたのはデ・フリースだったが、ティクタムはアタックモードを使い切ったタイミングで順位を上げ、デニスの前に出ることに成功。デニスはフルコースイエロー明けに急減速し、ピットイン。デ・フリースもストフェル・バンドーンのクラッシュ直後にマシンが「レッド・アンセーフ・モード」に入り、トップ争いから脱落した。
ミュラー、13番手から表彰台で存在感
これにより勝負はティクタムとモルタラの一騎打ちに。最終盤に激しいプレッシャーを受けたティクタムだったが、冷静な対応で逃げ切り、60戦目の記念すべき初勝利を手にした。
3位には、13番手スタートから怒涛の追い上げを見せたニコ・ミュラー(アンドレッティ)。本来であれば4位でのチェッカーだったが、前を走っていたセバスチャン・ブエミ(エンビジョン)に5秒のペナルティが科されたことで順位が繰り上がった。ポルシェのカスタマードライバーであるミュラーは、この走りで来季のワークス昇格をめぐる評価を大きく高める結果となった。
アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)は4位、ジャガーのニック・キャシディは5位でフィニッシュ。序盤は上位をキープしていたキャシディだったが、アタックモード中の不運な接触とタイミングの悪さで後退した。
マクラーレン勢は、2番手スタートのバーナードが6位、サム・バードが7位とダブル入賞。ブエミはペナルティの影響で8位に後退した。
タイトル争いにも影響
22番手スタートのロビン・フラインス(エンビジョン)が9位、タイトルリーダーのオリバー・ローランド(ニッサン)が10位でフィニッシュ。一方、パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)は11位に終わり、両者のポイント差はほぼ変わらず。7月のベルリン2連戦で決着が見込まれる。
上位リザルト
1.ダン・ティクタム(CUPRA KIRO)
2.エドアルド・モルタラ(マヒンドラ・レーシング)
3.ニコ・ミュラー(アンドレッティ)
4.アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)
5.ニック・キャシディ(ジャガーTCS)
6.テイラー・バーナード(NEOMマクラーレン)
7.サム・バード(NEOMマクラーレン)
8.セバスチャン・ブエミ(エンビジョン)
9.ロビン・フラインス(エンビジョン)
10.オリバー・ローランド(ニッサン)
カテゴリー: F1 / フォーミュラE / ダニエル・ティクトゥム