フォーミュラE東京E-Prixでローランド劇的勝利!日産がホームで歓喜の逆転

ポールポジションからスタートしたローランドは、終盤のアタックモード発動により一時6番手まで順位を落としたものの、最後の50kW四輪駆動ブーストの残り数秒を完璧に使い切り、当時トップを走行していた現王者パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)をターン15と16の間で鮮やかにオーバーテイク。
ウェーレインは懸命に守りを固めてローランドを挟み込んだが、残り5周の時点で首位を奪われ、そのまま逆転を許す展開となった。
これでローランドは、東京で開催されたフォーミュラE3戦でポールポジション3回、表彰台2回、そしてついに初優勝を達成。日産レッドに染まったスタンドを歓喜させた。
ウェーレインは最後まで粘ったものの2位でフィニッシュ。序盤にレースをリードしていたダン・ティクタム(CUPRA KIRO)は、終盤に出動したセーフティカーの影響でさらなる上位を狙うチャンスを失った。エネルギー面で優位に立っていたティクタムだったが、今回が自身初のフォーミュラE表彰台であり、チームにとっても2018年メキシコシティ以来となる最高成績となった。
ジェイク・デニス(アンドレッティ)はATTACK MODEを巧みに活用し、グリッド14番手から4位まで順位を上げた。ルーカス・ディ・グラッシ(ローラ・ヤマハABT)も予選好調の勢いを保ち、5位でチェッカー。ジャン-エリック・ベルニュ(DSペンスキー)が6位に入った。
この勝利により、ローランドは2024/25年ABB FIAフォーミュラE世界選手権の折り返し地点を首位で通過。ポイントは161となり、ウェーレインの84を大きく引き離した。日産はチーム選手権およびマニュファクチャラーズ選手権でもポルシェをリードしており、次戦は5月31日・6月1日の上海ダブルヘッダーとなる。
レース展開詳細
ローランドはスタート直後から首位を守ったが、背後ではティクタムが現王者ウェーレインの猛追に防戦を強いられる展開となった。
7周目にはバーナード、ダ・コスタ、ヒューズらが最初のATTACK MODE(50kW四輪駆動ブースト)を発動。大半のドライバーがこれに続いたが、首位のローランドは8周目まで温存した。
その8周目、ティクタムがターン1でATTACK MODEを使いローランドを抜いて首位に浮上。ローランドはその後、バーナード、ウェーレインに次々と抜かれ、4位まで後退した。
12周目には、ニック・デ・フリース(マヒンドラ)のマシンの破損によりフルコースイエロー(FCY)が導入されたが、1周後に解除。ティクタムがリードを維持し、ウェーレイン、バーナード、ローランド、モルタラ、ディ・グラッシ、ナトー、バード、ベルニュ、ヒューズがトップ10を形成した。
17周目、ウェーレインがターン15でティクタムを抜いて首位に立ち、ローランドはこのタイミングで初のATTACK MODEを発動し、6位に下がった。
13番手スタートのキャシディはATTACK MODEで勢いを見せ、18周目にはローランドを抜いて5位に浮上。しかしローランドもすぐに抜き返し、日産は彼に残り6分のATTACK MODEを温存させる戦略をとっていた。
21周目にはデニスがブーストを生かしてローランド、モルタラを立て続けに攻略し、5位に浮上。14番手スタートからの快進撃だった。
ローランドとキャシディは22周目に2回目のATTACK MODEを発動。ローランドはトップ集団のブースト使用の隙を突いて2位に浮上。ほかのドライバーより約1分多くブースト時間を残していた。
そのアドバンテージを活かし、ローランドはウェーレインがターン15〜16で懸命に防御する中、外側から鮮やかに抜いて首位を奪還。日産カラーに染まったスタンドが熱狂した。
その後、バーナードがモルタラに攻められつつティクタムを抜いて3位に上がるも、ティクタムは最終ターンで即座に抜き返し。激しい攻防が続く中、モルタラがターン3でバーナードを壁に押しつけて接触、セーフティカーが導入された。モルタラにはこの行為に対し5秒のタイムペナルティが科された。
セーフティカーは最終周を前にピットへ。残り1周のラストバトルへ突入すると、ローランドは第1セクターで一気に抜け出し、エネルギーに余力を残していたティクタムが2位のウェーレインを追う展開に。
しかし最後まで首位は譲らず、ローランドはそのままチェッカー。日産のホームで再び完璧なレースを披露し、今季4勝目を勝ち取った。
フォーミュラE 第9戦 東京E-Prix 結果
順位 | ドライバー | チーム | タイム差 |
---|---|---|---|
1 | オリバー・ローランド | 日産 | 45'51.352 |
2 | パスカル・ウェーレイン | ポルシェ | +0.337 |
3 | ダン・ティクタム | クプラ・キロ | +0.901 |
4 | ジェイク・デニス | アンドレッティ | +1.156 |
5 | ルーカス・ディ・グラッシ | ローラ・ヤマハABT | +2.917 |
6 | ジャン-エリック・ベルニュ | DSペンスキー | +3.698 |
7 | ニック・キャシディ | ジャガー | +3.995 |
8 | サム・バード | マクラーレン | +4.327 |
9 | セバスチャン・ブエミ | エンビジョン | +4.884 |
10 | マキシミリアン・ギュンター | DSペンスキー | +5.186 |
11 | ニコ・ミューラー | アンドレッティ | +6.088 |
12 | エドアルド・モルタラ | マヒンドラ | +6.694 |
13 | デビッド・ベックマン | クプラ・キロ | +6.892 |
14 | ゼイン・マロニー | ローラ・ヤマハABT | +7.898 |
15 | ニック・デ・フリース | マヒンドラ | +10.192 |
16 | ロビン・フラインス | エンビジョン | +10.560 |
17 | ノルマン・ナトー | 日産 | +14.686 |
18 | ジェイク・ヒューズ | マセラティ | +1周 |
19 | テイラー・バーナード | マクラーレン | リタイア |
20 | ストフェル・バンドーン | マセラティ | リタイア |
21 | アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ | ポルシェ | リタイア |
22 | ミッチ・エバンス | ジャガー | 未出走 |
カテゴリー: F1 / フォーミュラE