F1オランダGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

マクラーレンMCL39は万能型マシンだが中速コーナーを特に得意としており、そうしたレイアウトが多いザントフォールトでその強みを発揮した。予選ではオスカー・ピアストリがランド・ノリスを抑えてポールポジションを獲得し、パパイヤカラーのマシンがフロントローを独占した。
その後方では「ストロープワッフル戦線」。マックス・フェルスタッペンが3番手につけ、アイザック・ハジャーが見事な走りで並び、2列目を獲得した。以下、ジョージ・ラッセルとフェラーリ勢が続く。
決勝では異なるタイヤ戦略が入り乱れ、気まぐれな天候も加わって展開を左右しそうだ。ここで、スタート時に考えられる戦術オプションを見ていこう。
昨年はどうだった?
2024年のF1オランダGPは、驚くほどシンプルなレースとなった。セーフティカーも赤旗もなく、全車が完走。ランド・ノリスが1ストップのミディアム→ハード戦略で優勝し、トップ6も全員同じ戦略を採用した。
ノリスは72周のうち28周目にピットインし、27周目に入った2位マックス・フェルスタッペンをカバー。興味深かったのは優勝を決めたオーバーテイクだった。ポールスタートのノリスはT1でフェルスタッペンに先行されたが、18周目に同じコーナーで簡単に抜き返した。ザントフォールトは狭くツイスティなサーキットでオーバーテイク困難との評判だが、2021年にF1が復帰した直後ほど極端ではない。
昨年は全3種類のコンパウンドが使用され、7位ジョージ・ラッセルはミディアム→ハード→ソフトの2ストップで25周目と54周目にピットイン。同僚ルイス・ハミルトンもソフト→ハード→ソフトの2ストップで23周目と48周目にストップし、ポイントを獲得した。アレックス・アルボンはミディアム→ハード→ミディアムを試み、12周目と54周目にピットイン。ケビン・マグヌッセンは唯一ハードでスタートし、40周目にミディアムへ交換する戦略で18位に終わった。
今年の最速戦略は?
昨年の戦略は今年も通用するのか。ピレリは2025年、多くのサーキットと同様にタイヤ配分を1段階ソフト寄りに設定した。そのため1ストップは難しくなるが、2025年のタイヤは若干タフになっている。
最速は依然としてミディアム→ハードの1ストップと見られるが、今年はミディアムにより長い走行が求められる。理想のピットウィンドウは28〜34周目だ。

トップ10向けの別オプションは?
つまり、2台目のマクラーレン向けの別戦略も考えられる。フロントローの2人が順調にスタートすれば、後ろにつけた方があえて別の道を選ぶ展開も想像できる。
今年は昨年より2ストップが有力だ。理由はタイヤだけでなく、ピットレーン速度制限が60km/hから80km/hへ引き上げられ、ロスタイムが小さくなったためだ。
金曜のプラクティスではC4ソフトが意外に長く持つことが確認され、多くのチームがフリー走行3回目で4-1-2のタイヤ配分をやめ、5-1-1(ソフト5セット、ミディアム1、ハード1)で予選に臨んだ。フェルスタッペンは決勝用に新品のC4を温存している。
そのソフトを活かすのに最適なのはスタートだ。そこでのグリップ差は大きい。ソフト→ハード→ミディアムの2ストップは有効で、最初のスティントは13〜19周、その後45〜51周目に2回目のピットが想定される。
また、マクラーレンとアストンマーティンはハードを2セット残しており、ソフト→ハード→ハードやミディアム→ハード→ハードといった戦略も可能だ。シミュレーションでは後者の方が速く、ドライバーが積極的に攻めやすい。ピットウィンドウは18〜24周目と43〜49周目。これは戦略というより保険だが、赤旗やセーフティカーが出やすいザントフォールトでは悪くない選択肢だ。

グリッド後方の戦略は?
昨年、マグヌッセンが試した逆張りのハード→ミディアムは不発に終わったが、あの時はレースがノートラブルで終わったという異例の状況だった。
この戦略のピットウィンドウは38〜44周目。ミディアムスタート勢や2ストッパーがピットに入った際にトラックポジションを得て、天候やセーフティカーに恵まれることを期待するしかない。
いずれにせよ今年の1ストップは安泰ではなく、ソフトをスティントに組み込める可能性がレースに柔軟性をもたらす。ピレリのモータースポーツディレクター、マリオ・イゾラはこう語る。
「ソフトコンパウンドをレースのどこかで使える可能性があるのは興味深い。もし1ストップを計画していてスティントが十分に長く走れない場合や、何らかの理由で余分なスティントが必要になった場合、ハード1セットとミディアム1セットしかなくても最後にソフトを使うことができる」

天気はどうなる?
週初めの予報は陰鬱だったが、結果は「当たりつつ外れ」だった。確かに毎日激しい雨は降ったが、F1のセッション中は避けられてきた。セッション直前や直後に雨が降り、巨大な積乱雲がトラックに迫っても結局北のフリースラント諸島へそれていった。
この幸運は続くのか。決勝の予報も金曜・土曜と同様で、雨は降るがタイミングは不明。午前中に降って路面がリセットされる可能性が高く、レース中も40%の降水確率。降れば大雨になる可能性もある。
9チームにとっては波乱を望む状況だろう。マクラーレンのどちらかも例外ではない。ただ、どちらが挑むかは1周目の結果次第だ。
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