F1マシン解説:ウィリアムズ FW45 「レッドブル型のデザイン傾向を継続」
ウィリアムズ・レーシングがシルバーストーンで新車FW45をシェイクダウンした後、F1テクニカルエクスパートのマーク・ヒューズは細部をチェックし、ある傾向が見られるという。

ウィリアムズが公開した新型FW45の公式写真(コンピューターレンダリングではなく実車)は、サイドポッド前部のラジエーターを減らし、ショルダーのあたりに配置するというF1チームのトレンドに合致している。アルファロメオ、ハース、そして今回のウィリアムズは、2023年F1マシンでこれを実現している。

平面から見るとサイドポッドの前角がスリムになり、横から見ると、ショルダーからの冷却風がリアの中央排気の左右に出る、レッドブルらしいボディワークの「キャノン」がはっきり見えるようになった。全体として、2022年にレッドブルが行ったことに向かって収束しているように見える。

ウィリアムズ FW45 ラジエーター領域
FW44(下)と FW45(上)を横から見ると、サイドポッド前面下部のフロアインレットがより広いスペースに収まるようになったことがわかる。エンジンカバーの側面に沿った車体の「キャノン」が後部アウトレットへの冷却経路を定義していることから、ラジエーター領域がサイドポッド前部から肩に再配置されたことが確認できる。

昨年のイギリスGPでウィリアムズがFW44の大幅改良型を投入した際、エンジニアリングチーフのデイブ・ロブソンは、理想を言えばボディワークだけでなくラジエーターの配置も変えたかったが、コスト面での制約から実現不可能だったと語っていた。今回、その変更が行われたようだ。

目的は、サイドポッドの前方にスペースを作り、アンダーフロアのインレットを少し後ろに移動させることにあるようだ。これにより、ダウンフォースを生み出すアンダーフロアトンネルの長さは短くなるが、マシンの空力的な中心はさらに後ろに移動する。

これは多くのチームにとって望ましいと考えており、昨年は空圧の中心が前方にあることで、非常にパワフルなアンダーフロアと相まって、コーナーでのバランスが非常に安定しないマシンに仕上がってしまっていた。

ウィリアムズ FW45 サイドポッド
FW44(下)とFW45(上)は、ラジエーターコアの一部を車体下に格納した結果、サイドポッドの外側上部の角が小さくなっていることがわかる。

コーナー進入時にリアが不安定でも、コーナー中盤にはアンダーステアになるのが一般的だった。特にウィリアムズでは、シルバーストーン後の改良型でもそうだった。

サイドポッド前方下部をスリム化し、そこからさらに上方へラジエターエリアを移動させることで、フロアのインレットトンネルを空力バランスを保つのに適した形状にすることができた。

これは2023年にウィリアムズが上位勢とのパフォーマンス差を縮めるために努力する土台になりそうだ。

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カテゴリー: F1 / ウィリアムズ・レーシング / F1マシン