F1ハンガリーGP決勝 プレイバック:ランド・ノリス逆転V 角田裕毅は苦戦17位

チームは今季3度目の1-2フィニッシュを達成し、コンストラクターズ選手権での主導権をより確かなものとした。
一方で、レッドブル勢は象徴的な敗北を喫する形に。マックス・フェルスタッペンはリアム・ローソンに、角田裕毅はアイザック・ハジャーにそれぞれ先着され、ジュニアチームに明確に後れを取る厳しい結果となった。
■ 決勝前の変動:角田がPU交換でピットスタート、天候はドライ
レース前に唯一変更が発表されたのは、角田裕毅(レッドブル)のスタート位置だった。レース前日からパワーユニットコンポーネントの交換およびブレーキ冷却構成の変更が施されたため、パルクフェルメ規定違反により決勝はピットレーンからの出走となった。
早朝には小雨もあったが、スタート時刻が近づくにつれて天候は安定。路面は完全に乾いており、強い風が吹く中でのドライレースとなった。グリッド上ではソフト勢(サインツ、ヒュルケンベルグ、アルボン)、ハード勢(ハミルトン、ガスリー)を除き、ほぼ全員がミディアムタイヤを選択していた。

■ スタート:ルクレール好発進、ノリスは痛恨の2ポジションダウン
ポールポジションのシャルル・ルクレール(フェラーリ)は理想的なスタートを決め、ターン1をトップで通過。2番グリッドのピアストリもややスリップ気味だったものの2位を死守した。
しかし、スタートで最も苦しんだのはランド・ノリス(マクラーレン)だった。発進でわずかにホイールスピンし、トラクションを失った隙にラッセル(メルセデス)とアロンソ(アストンマーティン)に内側を突かれて5番手へ後退。
さらに中団では、フェルスタッペンがローソンに一時先行を許し、その後すぐにポジションを奪い返すという場面も見られた。角田裕毅はピットレーンから最後尾で静かにレースに加わった。
■ 序盤:ノリスがアロンソを捉えて反撃、角田は混戦に苦しむ
トップ2のルクレールとピアストリはレース序盤から安定したペースで後続との差を築き、5周目にはルクレールがピアストリに約3秒のリードを築いた。
5番手まで落ちたノリスは早速反撃に転じ、6周目にはメインストレートでDRSを使ってアロンソをオーバーテイク。4位に浮上してラッセルを追い始めた。
一方で、角田裕毅は「序盤から前がずっと詰まってて、なかなか抜け出せなかったです」と語った通り、DRSトレインの中に巻き込まれていた。中団のペースが上がらず、ハジャーの後方から抜け出せずにいた。

■ 第1スティント終盤:ピアストリがアンダーカット狙うも失敗
19周目、ピアストリがトップ陣営で最初にピットイン。マクラーレンはルクレールへのアンダーカットを狙って早めに動いたが、アウトラップでタイヤが温まらずにタイムが伸びなかった。
無線では「ルクレールもタイヤに苦しむはずだ」と伝えられたが、翌周ピットインしたルクレールはすぐに適温に入り、ポジションを維持。アンダーカットは不発に終わった。
■ 中盤:ノリスが1ストップを選択、勝利の布石を打つ
ノリスは30周を超えてもペースを落とさずステイアウトを継続。無線で1ストップ案を問われると「Yeah, why not(やってみてもいいかも)」と即答し、1ストップ作戦にゴーサインを出した。
32周目、ノリスがハードへ交換し、1.9秒のパーフェクトストップで復帰。ルクレールとピアストリの前、クリーンエアでのポジションを獲得し、勝利へのルートが明確になる。
この頃、フェルスタッペンは「この戦略は本当にひどい」と無線で漏らす。2ストップを選んだものの、復帰後は渋滞に阻まれ、ポジションを上げられないままだった。

■ 終盤:ピアストリが迫るもロックアップ、マクラーレンが1-2達成
47周目、ピアストリがルクレールをターン1で抜いて2位へ。さらに先頭を行くノリスとの差を1周ごとに0.6〜0.8秒ずつ詰めていった。
そして69周目、ピアストリがついにターン1で勝負をかけるが、ブレーキングでロックアップ。「Remember how we go racing(どういう風に僕らがレースするか、覚えておいて)」とチームから無線が入る。マクラーレンはチーム同士の直接接触を避けるよう警戒を促した。
最終ラップ、ピアストリはさらに近づくもオーバーテイクには至らず、ノリスが0.698秒差でチェッカーを受けた。

■ 中団:ローソンが8位、角田裕毅は17位完走
ローソンは1ストップ戦略を貫き、フェルスタッペンを抑えて8位でフィニッシュ。冷静なタイヤマネジメントとトラフィック処理で価値あるポイントを持ち帰った。
対するフェルスタッペンは9位。「リアがずっと滑ってる」「グリップがない」と無線で訴える場面が繰り返された。
角田裕毅は「トラフィックの影響と、レース中にガーニーフラップが外れちゃって、そこからグリップがすごく落ちてしまいました」と明かす。ペースが上がらず、ハジャーにも抜けずじまい。17位での完走にとどまった。
■ チーム事情:マクラーレンは完全勝利、レッドブルは構造改革へ
マクラーレンは1-2フィニッシュで夏休みに突入し、ドライバーズ選手権でもピアストリが首位、ノリスが2位で迫る構図に。マシン、戦略、運営のすべてが機能していた。
一方、レッドブルはジュニアチームに敗北し、新チーム代表ローラン・メキースの下での再構築が急務に。後半戦に向けて、車体性能、戦略立案、チーム体制すべての見直しが求められている。
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