ウィリアムズF1代表 伝説のFW14Bをグッドウッドで運転「夢が叶った」

元メルセデスの戦略ディレクターとして知られるボウルズだが、実はレーシングドライバーとしての経歴も持ち、近年はスポーツカーレースにも参戦している。
2021年には英国クラブレベルでサルーンカーに出場し、やがてGT4およびGT3へとステップアップ。2022年にはガレージ59のマクラーレン720S GT3でアジアン・ル・マン・シリーズにフル参戦した。
F1マシンに関しては、これまでに1982年にケケ・ロズベルグがドライバーズタイトルを獲得したウィリアムズFW08をドライブした経験があるが、今回はウィリアムズの歴史の中でも最も象徴的なマシンのひとつ、ナイジェル・マンセルの1992年タイトル獲得マシン「FW14B」のステアリングを握った。
「今日はこれでグッドウッドの一日が終わったけど、本当に信じられないくらい素晴らしい日だった」とボウルズは語った。「子どもの頃の夢だったんだ。FW14Bをグッドウッドで見ることさえ夢だったのに、触れることができて、さらにそれを運転して、しかも何十万人もの観客の前で──まさに夢が叶った瞬間だったよ」
FW14Bは、トラクションコントロール、アクティブサスペンション、その他先進的な電子制御を搭載した、F1史上最も技術的に優れたマシンのひとつとされている。そんな伝説のマシンでグッドウッド・ハウスの有名なヒルクライムを駆け上がったボウルズは、すっかり魅了されたようだ。
「14Bはまさに本物のレーシングカーだ。とにかく軽くて、反応が良くて、ものすごいパワーがある。グッドウッドのような場所で走るには最高のマシンだよ」
「でも、実際はほこりっぽい普通の道路で、周りには干し草のベールが積まれてる。だから楽しみつつも、慎重さを忘れないようにしてるよ」

このFW14Bは、1992年にマンセルがタイトルを獲得した実車そのものであり、ボウルズはマシンを大切に扱う必要性についても語った。
「このマシンは本当に“オリジナル”なんだ。92年にナイジェルがチャンピオンを獲った、まさにその個体。すべてが“一点もの”でね。だから走っている間ずっと『壊さないように』って思ってる。でも本当にすごいんだ──“もっと踏め”ってマシンが語りかけてくるんだよ」
さらに今回の走行を特別なものにしたのは、ナイジェル・マンセル本人との無線交信だった。
「ナイジェル・マンセルもFW11をドライブしていて、僕らは同じラジオチャンネルで会話していたんだ」と明かす。「僕がFW14Bで走ってるときに、ナイジェルとしゃべってたんだよ? もう、信じられない体験だった。彼はめちゃくちゃ落ち着いてて、本当に素晴らしい存在だった」
カテゴリー: F1 / ウィリアムズ・レーシング