WEC:トヨタ 「ホーム」富士での連勝を目指し練習走行開始
FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦富士6時間のレースウィークが開幕。初日となる9月13日(金)は、2回の公式練習走行が行われ、ホームコースでの勝利を目指すTOYOTA GAZOO Racing(トヨタ)は、実りある初日の走行を終えた。

ディフェンディングチャンピオンであるトヨタは、激戦の続く2024年シーズンのWECで、今季初めてマニュファクチャラーズ選手権の首位に立ち、母国日本へと戻ってきた。

トヨタは、今大会前に出されたBoP(Balance of Performance=性能調整)で出力と車両重量に調整が入る中、自身の持つ富士スピードウェイでのWEC勝利記録を10へ、そして、連勝記録を7へと伸ばすべく、母国レースに臨む。

初日となった今日の2度にわたる公式練習セッションで、トヨタはトラブルのない良いスタートを切った。初日からハイパーカー間の争いは非常に接近したものとなり、上位10台が僅か0.554秒の中に入る中、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮のGR010 HYBRID 8号車は5番手、小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は9番手となった。

2週間前の前戦オースティン同様、チームは非常に競争の激しいハイパーカーのフィールドに真っ向から挑み、2台のGR010 HYBRIDから最大限のパフォーマンスを引き出すべく作業に集中し、ドライバーとエンジニア、そしてメカニックの経験を活かしながら、最適なピットストップの支えも得て日曜日の決勝レースへ向けて効果的な戦略を立てていく。

今週火曜日、6人のドライバーとTOYOTA GAZOO Racing ヨーロッパ副会長の中嶋一貴は、豊田市で行われた社内イベントに参加し、サポートいただいているパートナーの皆様へ感謝の意を伝えた。その翌日、トヨタ自動車の東富士研究所が位置する地元裾野市の中学校を訪れ、次世代へモータースポーツの魅力を伝えるための交流も行った。また、富士スピードウェイで準備作業を続ける間も、チームメンバーは現地にいるトヨタの従業員からも例年通りの暖かな歓迎を受けた。

13日(金)午前11時から公式練習1回目が開始された。気温は26度ながら湿度が高く蒸し暑いコンディション。富士スピードウェイにほど近い東富士研究所で開発、製造、そして組み立てられたハイブリッド・パワートレーンを搭載する2024年仕様のGR010 HYBRIDは、デ・フリースと平川の手によって富士での初走行が行われた。

この週末も18台のハイパーカーによる僅差の争いが予想される中、チームは15日(日)の決勝レースへ向け、ドライバーやエンジニアが最適化を進めるために必要な情報を得るべく、メカニカルと空力のセットアップなど、多忙なプログラムをこなした。

公式練習1回目の終盤、赤旗による短い中断はあったが、チームは90分間の実りある練習走行を終え、8号車は平川の素晴らしいラップでトップと僅か100分の1秒差の2番手タイム。7号車はデ・フリースのベストタイムでこのセッションを5番手で終えた。

決勝レースはタイヤマネージメントが重要になる可能性が高く、公式練習2回目では、ミディアム及びハードコンパウンドのタイヤ摩耗やパフォーマンスに関連する分析へと切り替えられた。

小林と平川がステアリングを握り公式練習2回目を開始。まず予選のシミュレーションを行った。開始早々のアタックで2台はそれぞれベストタイムをマークし、その後はロングスティントにおけるタイヤなどの車両セットアップ評価を続けた。後半、一時フルコースイエローでの中断はあったものの、セッションはトラブル無く終了し、8号車が5番手、7号車は9番手となった。

公式練習走行は明日14日(土)の午前中にも1時間行われ、その後、ハイパーカークラスの決勝スターティンググリッドを決める予選とハイパーポールが午後3時から行われる。トヨタは5年連続、そして、通算7回目となる富士でのポールポジション獲得を目指す。6時間で争われる決勝レースは15日(日)午前11時にスタートが切られる。

トヨタ WEC(FIA 世界耐久選手権) 富士6時間レース

小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
GR010 HYBRIDで再び富士を走ることができて嬉しいです。我々にとってのホームレースであり、多くのファンの皆様がサーキットに来て応援してくれる、特別な一戦です。今日は2回のセッションでクルマの最適化を図りました。ハイパーカー間の争いは非常に接近しており、現時点ではやや厳しい戦いになりそうです。今年は本当に競争が激しく、通算10勝目を目指すのは容易ではありません。全てを上手くまとめることが必要です。明日はどうなるか見てみたいと思います。

マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
ホームの走行でまずまずのスタートを切ることができましたが、ショートラン、ロングラン共にまだやるべきことがあります。決勝レースへ向けてクルマのバランスを改善しようとしていますが、そのためにはタイヤマネージメントが重要になります。気温がどうなるか、それによってどのような影響が出るか、見てみたいと思います。改善すべき点はまだいくつかあり、クルマからどれだけのものを引き出せるか、努力を続けています。

ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)
富士での初日は、走りの面でも、学習という点でもまずまずの一日でした。ハイパーカー間の争いは非常に接近しており、厳しいものになると思われますが、今年はシーズンを通してずっとそうなので、驚きではありません。タフな戦いになると思われるので、今夜は気を引き締め、残りの週末に向けて全てのピースをまとめる必要があります。

セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
チームのホームレースとなる日本にまた来ることができ、最高の気分です。先週土曜日に来日しましたが、それからパートナー様を訪問したり、素晴らしい体験をしました。今日はクルマに戻ることができて嬉しいです。2回のセッションは問題なく進み、タイヤコンパウンドの使い分けや、それをどうマネージメントするかに焦点を当ててプログラムをこなしました。ここ富士は1スティントがかなり長いので、タイヤ摩耗は重要な要素になると思います。分析すべき多くのデータを収集できたので、そこから最大のパフォーマンスを引き出せる車両セットアップを見出すべく作業を続けます。

ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
TOYOTA GAZOO Racingの一員として日本に戻り、大きな歓迎を受けとても嬉しいです。ここ富士で、我々のチームは良い歴史を刻んできていますが、戦いは厳しさを増しており、優勝記録の更新は大きなチャレンジです。今日は順調な一日で、クルマに問題はありませんでした。今のところ我々は最速には見えませんが、決勝レースを見据えた車両セットアップを続けていて、悪くない一日でした。接近した戦いが続くでしょうから、可能な限り最大のパフォーマンスを引き出すべくプッシュを続けなくてはなりません。

平川亮(8号車 ドライバー)
日本に戻ってきて、富士でレースを戦えることが嬉しいです。この週末、私は予選を担当することになったので、今日はそのための準備に時間を費やしました。これまでのところ、トップには立てていませんが、まだ改善の余地はあると感じています。少なめの燃料で新品タイヤを装着し、予選アタックするのが楽しみです。母国レースですし、WECで初めての予選アタックなので特別な体験になると思います。決勝レースへ向けては、タイヤの摩耗が大きいと感じるので、そのマネージメントが大切になりそうです。今日は順調なスタートが切れたので、この週末は良い仕事が出来ると思っています。楽しみです。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)