FIA 世界耐久選手権 WEC
FIA WEC(世界耐久選手権)第6戦COTA(Circuit of the Americas)6時間レースが行われるアメリカ・テキサス州オースティンは、真夏の気温35℃。その灼熱の太陽の下で公式練習走行が始まった。

第3戦ル・マンから勝利に見放されているTOYOTA GAZOO Racing。シーズン後半に入り、母国日本での戦いを次戦に控え、ここアメリカでのレースは落とせない大切な1戦。

走行初日となる今日は正午からと午後4時半から、それぞれ1時間半の公式練習走行が行われ、2台のTS050 HYBRIDは明日の公式練習走行3回目に続く公式予選、そして土曜日の決勝レースに向けての車両調整を進めた。

今回のCOTA6時間レースでは、ドライバーの変更があった。#8号車のレギュラー・ドライバーであるアンソニー・デビッドソンが個人的な理由で欠場、代わりにステファン・サラザンが中嶋一貴、セバスチャン・ブエミと共に名前を連ねた。サラザンは昨年までのTOYOTA GAZOO Racingレギュラー・ドライバーであり、今年は第2戦スパ・フランコルシャン6時間と第3戦ル・マン24時間でTS050 HYBRIDを走らせている。しかし、その2戦のTS050 HYBRIDはロー・ダウンフォース空力仕様。今回の公式練習走行1回目が、ハイ・ダウンフォース空力仕様車での初走行となった。とはいえ、サラザンは、COTAで2013年と2016年の2回表彰台に上る実績を挙げており、今日の走行も余裕を持って臨んでいる。

COTAは1周が5.51kmの長いコース。第1コーナーへの急激な上り、それに続くS字コーナーは高レベルのバランスが要求され、ドライバーにも高度のドライビング技術が求められる。TOYOTA GAZOO RacingはこのコースでTS050 HYBRIDが最大限の性能を発揮出来るように、メカニカル・セットアップはもとより空力デバイスの最適調整を行った。さらにハイブリッドシステムの出力最適調整、ターボ過給圧調整など、最大効率化のための全ての要素に対して車両セットアップが行われた。

週末のレースで最も心配されるのは高い気温。今日も練習走行中の最低気温が30℃を下回ることはなく、パワートレインの冷却、タイヤの摩耗などが最大のポイントになる。ミシュランは今回、高い路面温度に対応するために数種類のタイヤを準備しており、チームはその評価にも追われた。

本日2回の公式練習走行を終え、#8号車が走り出しでパンクに見舞われた以外は順調にプログラムをこなした。明日、明後日に向けて重要なデータも取得し、今シーズン3勝目に向けて万全な準備が進められている。

TS050 HYBRID #7号車:(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)
公式練習第1回目: 4番手 (1分49秒314), 38周
公式練習第2回目: 3番手 (1分46秒819), 43周

TS050 HYBRID #8号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザン)
公式練習第1回目: 3番手 (1分48秒584), 34周
公式練習第2回目: 4番手 (1分48秒839), 44周

小林可夢偉 (TS050 HYBRID #7号車)

このサーキットのハイスピードセクションでは、しっかり空力ダウンフォースが実感出来、LMP1カーで走るのはとても楽しいです。今日の公式練習はまずまずでしたが、最高のスタートが切れたと言えるまでではありませんでした。様々な評価項目をテストしながらTS050 HYBRIDの最適化に取り組んでおり、効果は出ていますが、まだやるべきことはあります。

マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #7号車)

TS050 HYBRIDはバランスに若干の問題があったので、ラップタイム改善のためにその原因を探る必要があります。決勝レースへ向けては、タイヤの摩耗が鍵になるでしょう。パフォーマンスを落とさずに、2スティントを1本のタイヤで走り切れるかどうかが非常に重要になると思います。

ホセ・マリア・ロペス (TS050 HYBRID #7号車)

ここは私にとって初めて走るサーキットなので、今日はとにかく学ぶことが最優先でしたが、とてもこのコースが気に入りました。我々のパフォーマンスと言う点では、前戦メキシコよりは良いスタートが切れたと思います。さらなる改善が必要ですが、可能な限り高い競争力を引き出すべくプッシュを続けます。

中嶋一貴 (TS050 HYBRID #8号車)

とても暑い一日でしたが、再びCOTA でTS050 HYBRIDの走行を楽しむことが出来ました。前戦メキシコよりもグリップを感じられ、バランスも向上していたので、運転しての感触は良かったのですが、まだラップタイムでは改良の余地があります。明日も努力を続け、決勝レースへ向けてペースの向上を図ります。

セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #8号車)

今日の段階でライバルとの競争力を比較するのは、まだ難しいですが、今のところ彼らに及んでいないというのは確かです。明日はラップタイムを向上させて良い戦いへ持ち込めることを願っています。昨年と比べると若干コースの凸凹が増えるなど変わったところもあるので、しっかり合わせ込む必要があります。

ステファン・サラザン (TS050 HYBRID #8号車)

今日のところはタイムでライバルに若干劣っていますが、私自身は、レースの現場に戻れて最高の気分です。チーム、そして、楽しみながら一貴とセバスチャンと共にセットアップ作業を進めています。決勝レースへ向けて全てを最適化し、全力を尽くせば、良い結果がついてくるはずです。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)