MotoGP:マルク・マルケス、壮絶なデュエルを制しオーストリアGP初優勝
マルク・マルケスはマルコ・ベッツェッキを追い詰めてオーバーテイクしトップに立ち、その後はルーキーのフェルミン・アルデゲルによる終盤の猛追を凌いで、MotoGPオーストリアGPで自身初の勝利を挙げた。

レッドブル・リンクでの初グランプリ勝利は、前日に同地で初のスプリント勝利を収めた翌日の快挙であり、これでマルケスはグランプリ6連勝、レース全体では12連勝となった。

前戦ブルノでジョアン・ミルを巻き込んでしまい、ロングラップペナルティを科されていた弟アレックス・マルケスが不利な状況となったため、両者のチャンピオンシップにおけるポイント差は142に広がった。

ポールポジションのアプリリア勢ベッツェッキは、土曜スプリントではスタート直後にリードを失っていたが、この決勝では踏みとどまった。まずターン1のブレーキングでペッコ・バニャイアの攻撃を退け、その後バニャイアはマルケスからの圧力を受けることになった。

チャンピオンシップリーダーのマルケスは、スタート直後に弟アレックスをかわし、ターン3でバニャイアに仕掛けたが、バニャイアがターン4までの加速で前に出てイン側をブロックし、ポジションを守った。

しかしマルケスは翌周にオーバーテイクを決めた。その時点でベッツェッキは0.8秒のリードを築いていたが、マルケスはすぐに差を詰めた。だが抜き所が見つからず再び差が開き、マルケスはフロントタイヤを冷やすために一度間合いを取ったかのように見えた。そして再度接近して勝負に出た。

両者は短くも壮絶なバトルを展開。ターン3の立ち上がりでマルケスが先行したものの、ターン6でベッツェッキが差し返す。しかし翌周のターン1でマルケスがついに前に出て、これが決定打となった。

その後の終盤の見どころは新人アルデゲルによるものだった。スタート8番手から驚異的なペースを発揮し、徐々に順位を上げていった。28周のうち19周目にはターン2シケイン第2部でペドロ・アコスタを強引にかわし、3位に浮上すると、前方の2人を追い始めた。

24周目にはターン3でベッツェッキに果敢なイン攻撃を仕掛けて2位に浮上。さらにマルケスに迫る場面もあったが、最終的にマルケスが1秒前後の差をコントロールして優勝を手にした。

3位はベッツェッキ、4位はKTMのアコスタ。2秒差でエネア・バスティアニーニが続いた。序盤にターン1でのミスを喫したものの挽回した。

ホンダのジョアン・ミルは6位でフィニッシュ。2年ぶりのベストリザルトを記録した。これはブラッド・ビンダーとペースを失ったバニャイアの争いをうまく利用した結果だった。

バニャイアは序盤3位を走っていたが、その後ずるずる後退。アコスタに接触されそうになり、ターン4でコースオフし、さらにビンダーにターン1で仕掛けられた。この際にミルがビンダーをかわし、さらにバニャイアはコーナーでワイドになりながら全開を維持したため、スチュワードからミルの後方に戻るよう指示を受けた。最終的にはビンダーにも抜かれ8位で終えた。

ラウル・フェルナンデスは土曜スプリントで車高デバイス故障により上位を逃したが、この決勝では粘り強く走り9位。アレックス・マルケスの追撃をわずかに抑え切った。アレックスは4番手スタートからロングラップ消化で13番手に落ち、大きな挽回はできなかった。

ヤマハ勢にとっては悲惨な一戦となり、今季どのメーカーよりも酷い週末に。4台のM1は後方に沈み、最上位のファビオ・クアルタラロでさえ15位、トップから25.2秒遅れだった。

リタイアは2件。ひとつはホルヘ・マルティンが15番手走行中にターン7でアプリリアをクラッシュ。転倒時に足がマシンに巻き込まれたが、大事には至らなかった。もうひとつはファビオ・ディ・ジャンアントニオ。14番手走行中にVR46のドゥカティが炎上し、レースを終えた。

2025年 MotoGP オーストラリアGP 決勝

1位 #93 マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム/ドゥカティ) 42'11.006
2位 #54 フェルミン・アルデゲル(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP/ドゥカティ) +1.118
3位 #72 マルコ・ベゼッチ(アプリリア・レーシング/アプリリア) +3.426
4位 #37 ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング/KTM) +6.864
5位 #23 エネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3/KTM) +8.731
6位 #36 ジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール/ホンダ) +10.132
7位 #33 ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング/KTM) +10.476
8位 #63 フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム/ドゥカティ) +12.486
9位 #25 ラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム/アプリリア) +15.472
10位 #73 アレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP/ドゥカティ) +15.537
11位 #21 フランコ・モルビデリ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム/ドゥカティ) +16.185
12位 #5 ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR/ホンダ) +16.241
13位 #10 ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール/ホンダ) +18.478
14位 #79 小椋藍(トラックハウスMotoGPチーム/アプリリア) +18.491
15位 #20 ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム/ヤマハ) +25.256
16位 #42 アレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム/ヤマハ) +30.316
17位 #88 ミゲール・オリベイラ(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP/ヤマハ) +34.008
18位 #43 ジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP/ヤマハ) +37.478
RT #49 ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム/ドゥカティ) 8Laps
RT #1 ホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング/アプリリア) 15Laps

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カテゴリー: F1 / MotoGP