ハースF1小松礼雄「エステバン・オコンはチームプレイヤーとして疑念を払拭」

最新シーズンの『Drive to Survive』には、オコンの加入がチームにとって正しい判断だったのかどうか、小松礼雄がスタッフから問い詰められる場面が収められている。
「オコンが我々にふさわしいと100%確信しているのか?」と日本人マネージャーに質問が投げかけられた。
「チームプレイヤーではない」という評判を持つオコンの起用には、メディアからもチーム内部からも疑問が呈された。契約が発表されたのは、当時のチームメイトであるピエール・ガスリーとモナコで接触した数か月後のことで、その時の激しい批判から、アルピーヌの首脳陣が次戦カナダGPで彼をベンチに下げるのではないかとの憶測まで広がった。
オコンが扱いにくいのではないかという懸念は、長年ハースを支えたケビン・マグヌッセンを交代させる決断が正しかったのかという疑問にもつながった。
「私にとって重要なのは彼の労働倫理です。彼が戦えることは見てわかります。ですので、私は彼が最良の選択だとかなり自信を持っていました」と小松礼雄は当時チームに語った。カメラの前ではさらに「ドライバーがパフォーマンスを発揮するには環境に安心感を持つことが必要です。ハースF1チームはその環境を提供できると信じています」と述べた。

1年が経ち、小松礼雄はもはやその判断を正当化する必要はないと感じている。オコンはチームに対しても外部の批判に対しても十分な証明をしており、その姿勢に疑念を抱く余地はなかったと考えている。
最も明確な証拠はスパで見られたと小松礼雄は語る。オコンは自ら、より速いと感じたチームメイトのオリバー・ベアマンを前に行かせたのだ。
「間違いなくそうです」と小松礼雄はモータースポーツ・ドットコムに語った。「スパでの場面をご覧になっていませんか?」
オコンはレース序盤11番手を走行していたが、2台で異なるアプローチを取った結果、ローダウンフォース仕様だった。濡れた路面でペースを維持できず、最終的に自らチームメイトに道を譲る判断を下した。
「第2セクターで彼をかなり抑えてしまっていて、僕のタイヤをもっと傷めてしまっていた」とオコンはレース後に説明した。
小松礼雄にとって、これ以上明確な証拠はなかった。
「チームオーダーを出す必要すらありませんでした。エステバンは自らオリーを前に行かせました。それが答えです。正直に申し上げますと、2人とも素晴らしいチームプレイヤーだと思います」
「昨年末に皆さん(メディア)からこの件について尋ねられたとき、私は自信があると答えましたが、ただそう言ったわけではありませんでした。本当に信じていました。ドライバーとチームの間に信頼と尊敬の土台を築ければ、チームオーダーが間違いだったとしても、すべてを正しくできるわけではないとしても、それがエスカレートすることはありません」

小松礼雄は、現在の2人のドライバーは常にチームプレイを受け入れる準備ができており、戦略の違いも事前の話し合いで明確にしていると強調する。
「スパの予選と決勝では天候の不確実性のためにダウンフォースレベルを分ける必要がありました。だから日曜の朝、2人と話し合いました。これだけ差があれば、ある時点で片方がもう一方より速くなるのは明らかです。ですので3人で座って話して、完全にクリアにしました。その結果、レース中にエステバンが『今オリーを前に行かせます』と言いました。我々は頼む必要すらありませんでした。それで答えは出ています」
オコンとベアマンがシルバーストンで接触したときでさえ、チームがポイントを失ったにもかかわらず論争にはならなかった。
「シルバーストンは路面が1本のドライラインしかなく、特殊な状況だったために問題が起きました。しかしどちらも意図的ではありません。ドライバーとしっかり話し合って全く問題はありませんでしたし、その前からチームオーダーやポジション交代を出した際も、毎回何の疑問もなくすぐに従ってくれていました。本当に素晴らしいです」
「もし我々がミスをすれば、レース後に完全にオープンに話し合います。シルバーストンでそうしたようにです。ドライバー同士が接触するのは望んだことではありませんが、座って意見を出し合い、これからどうするかを決めました。全く問題はありませんでした」
小松礼雄にとって重要なのは、チームとドライバーの間に相互の信頼の土台を築くことだ。それが他チームではオコンに欠けていたと考えている。しかしそれは今も続くプロセスだ。
「私にとって鍵はその土台です。信頼、透明性、敬意、それだけです」
「誰もが人間です。ドライバーがチームを信じなければ、チームもドライバーを信じません。『この決定は押し付けられたものだ』と感じれば、人間として良い状態ではなくなります。これはレース以前の問題で、人としての基本的な資質なのです。敬意、透明性、誠実さ、包摂性。率直に申し上げれば、我々がチームの中で築こうとしているのはそれです」
「エステバンはF1で長年良い経験も悪い経験もしてきました。しかし今はこの土台を築けていると感じています。もちろん毎回積み重ねていく必要はありますが、我々はそれをやっています。ですので基本的な信頼は確かに存在していると思います」
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