トヨタ 新体制「TGRR」でニュル24時間に挑戦 モリゾウが原点回帰を宣言

TGRRは、モリゾウ(豊田章男)が主導する新プロジェクトで、TGRの「モータースポーツ起点のクルマづくり」と、ROOKIE Racingの「市販車を実戦で鍛える活動」を融合させた体制。
2007年に初めてニュルに挑戦した際の精神を原点とし、再び“もっといいクルマづくり”への出発点と位置付けている。
今回の参戦車両は2台。WRCで鍛えられた「GR YARIS」と、世界各国のGT選手権で実績を重ねてきた「GR Supra GT4 Evo2」で、それぞれ2007年の初参戦時と同じゼッケン「109」と「110」をつけて参戦する。ドライバーにはモリゾウをはじめ、片岡龍也、佐々木雅弘、石浦宏明、大嶋和也ら8名が名を連ねる。
モリゾウは次のようにコメントしている。
「私がROOKIE Racingを立ち上げてS耐に参戦したとき、TGRのエンジニアたちが『壊しては直す』を一緒に実践してくれました。その光景は、成瀬さんとニュルで活動していた頃の純粋な気持ちと同じものでした。だからこそ、今、原点に戻るべきだと考えました」
さらに、ニュル24時間での挑戦には、「市販車でレースをする意味」として、成瀬弘チーフテストドライバー(故人)から学んだ精神が深く関わっているという。成瀬氏がモリゾウに残した言葉「実物を見て、手で触れ、議論せよ」は、クルマづくりの本質そのものであり、最も過酷な環境であるレースがその舞台としてふさわしいと語った。

今回の参戦には、これまでS耐やラリーで鍛えられてきたGR YARISが、いよいよ“最後のステージ”ともいえるニュル24時間へ挑むという背景もある。「ニュル以外で鍛えられたGR YARISが、果たしてこの舞台で通用するのか」という新たな挑戦でもある。
モリゾウは、S耐とニュルを繋ぐ意味についても強調した。
「ニュル24時間は年に1戦ですが、S耐は年間7戦。試せることが多く、クルマの開発スピードも上がりました。どちらが上か下かではなく、鍛える道が多いほど、クルマは強くなる。TGRとROOKIE Racing、そしてTGRRの連携が、その原点をさらに進化させることになると信じています」
TGRRは、技術と情熱を結集した新たな挑戦の象徴として、世界で最も過酷な耐久レースに再び挑む。モータースポーツを通じた“もっといいクルマづくり”の道が、今ふたたびニュルで試される。
カテゴリー: F1 / トヨタ