WRC:トヨタ、3年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得
2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・チリ・ビオビオ」の最終日デイ3が10月1日(日)にチリ中部コンセプシオンのサービスパークを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)が総合3位に入り、表彰台を獲得。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合4位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合5位でフィニッシュし、チームは3年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。

ラリー・チリのデイ3はサービスパークの東側エリアで、新たに設定された2本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。4本のステージの合計距離は54.12kmと3日間で最も短い一日でした。最終日は雲の多い朝となったが、ステージの路面は全体的にドライコンディションだった。

デイ2で総合3位のティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と10.7秒差の総合4位につけたエバンスは、デイ3オープニングのSS13を3番手タイムで、SS14を4番手タイムで走行。ヌービルとの差は20.8秒差に拡がった。ミッドデイサービスを挟んで始まった再走ステージのSS15では2番手タイムとなり、ヌービルとの差はさらに拡がったが、総合2位につけていたライバルがこのステージでリタイアとなった結果、エバンスはヌービルに次ぐ総合3位にポジションアップ。ロバンペラは総合4位に、勝田は総合5位に順位を上げた。そして迎えた最終ステージは、ボーナスの選手権ポイントがかかる「パワーステージ」。この日23歳の誕生日を迎えたロバンペラが、今シーズン6回目となるパワーステージ優勝を果たし、総合4位でフィニッシュ。エバンスは2番手タイムで総合3位に入った結果、最大ボーナスポイントの加算もあり、TGR-WRTにとっては3年連続4回目となる、トヨタにとっては通算7回目となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。

一方、首位ロバンペラを、2番手のエバンスが33ポイント差で追う展開となっていたドライバー選手権は、順位は変わらずも差は31ポイントと僅かに縮まった。今シーズン、残り2戦で獲得可能な最大ポイントは60ポイントのため、ドライバーおよびコ・ドライバー選手権争いは次戦も続くが、今回の結果によりタイトル獲得可能な選手はロバンペラ/ハルットゥネン組と、エバンス/マーティン組に絞られ、TGR-WRTの選手たちが5年連続でタイトルを獲得することになった。

最終日を総合6位からスタートした勝田は、順位をひとつ上げ総合5位でフィニッシュ。今シーズン5回目となったワークス登録ドライバーとしての仕事を完遂した。また、SS5では今大会最上位となる3番手タイムを記録。最終のパワーステージは5番手タイムで走りきり、ボーナスのドライバー選手権ポイントを獲得した。

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
このラリーを、このような形で終えることができて嬉しく思います。土曜日は本当に厳しい一日でしたし、今朝は表彰台に上がることは難しいかもしれないと思うなど、決して簡単ではない週末でした。しかし、ラリーでは常にサプライズが起こり得るので、忍耐強く最後まで走り続ける必要があることが改めて証明されました。シーズン中、チームと選手たちが頑張ってくれたことを本当に誇りに思います。シーズン終了まで2戦を残してのマニュファクチャラーズタイトル獲得は、TGR-WRTとしては最も早い記録です。競争は激しく、クルマのパフォーマンスは接近していますが、信頼性を高め、今回のようにクルマを最後まで問題なく走らせたことで差をつけることができたのだと思います。今は、ドライバーズタイトルとコ・ドライバーズタイトルを争う2クルーのうち、どちらが残り2戦で成功を手にするのか楽しみでなりません。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得に貢献することができて嬉しいです。シーズン2戦を残し、ここチリでタイトルを決めることができたのは素晴らしいことですし、とてもいい気分です。金曜日は出走順によって少しハンデを負い、土曜日はベストな判断を下すことができなかったなど、決して簡単な週末ではありませんでした。今日は、再走ステージであっても路面にはルースグラベルが多くあったので非常に滑りやすく、トリッキーでしたが、タイヤを温存してパワーステージでハードにプッシュするという良いプランを暖めていました。その結果、いいタイムが出て自分たちに速さがあることを証明できましたし、ポイントを獲得することもできたので、満足しています。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
全体的には、自分が期待していたようなラリーではありませんでした。さらに良い結果を得られるだけのポテンシャルはあったはずです。所々では速さを示すことができましたが、今回は全てを上手くまとめることができませんでした。それでも、表彰台を獲得できたことについてはそれなりに満足しています。最高のニュースは、チームがマニュファクチャラーズタイトルを獲得したことです。チームの一員であることを光栄に思いますし、みんなのハードワークが報われたのは素晴らしいことです。ドライバー選手権では、この週末カッレとの差をもう少し縮める必要があったかもしれませんが、少なくとも戦いはまだ続いています。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
非常に厳しい週末でしたが、マニュファクチャラーズタイトルを獲得したチームのみんなにおめでとうと言いたいです。シーズン中、本当に多くの人たちが素晴らしい仕事をしてくれていますし、このような強くて速いクルマに乗れることをいつも嬉しく思っているので、彼ら全員に心から感謝しています。チリのステージは素晴らしかったですが、とても難しくもありました。金曜日の午後はかなりいいフィーリングで走ることができましたが、土曜日はアグレッシブな路面に苦戦しました。簡単ではなかったですが、今後に向けて改善するためのヒントを得ることができたので、良い経験になったと思います。

ラリー・チリ・ビオビオの結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォード Puma Rally1 HYBRID) 3h06m38.1s
2 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +42.1s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +1m06.9s
4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m11.0s
5 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +4m41.5s
6 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m18.5s
7 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m44.3s
8 サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン (シュコダ Fabia RS Rally2) +9m20.6s
9 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +9m53.9s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +10m08.2s

トヨタのWRCマニュファクチャラーズタイトル獲得記録
1993年:セリカ GT-Four ST185
1994年:セリカ GT-Four ST185
1999年:カローラ WRC
2018年:ヤリス WRC
2021年:ヤリス WRC
2022年:GR YARIS Rally1 HYBRID
2023年:GR YARIS Rally1 HYBRID*
*後日、FIAの公式結果発表をもって正式決定となります。

次回のイベント情報
WRC次戦は、10月26日(木)から10月29日(日)にかけて行われる、第12戦「セントラル・ヨーロッパ・ラリー」。今回がWRC初開催となるこのイベントは、ドイツ、オーストリア、チェコの三カ国を舞台とするターマック(舗装路)ラリー。ラリーの中心となるサービスパークはドイツのバイエルン州パッサウに置かれ、チェコの首都プラハで26日に開幕。4日間に渡って三カ国でステージを走行した後、29日にパッサウでフィニッシュを迎える、非常にスケールの大きな一戦となる。

トヨタ 世界ラリー選手権

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)