F1商業責任者 LEGOとLVMH成功の先へ「限界を押し広げ続けるべき」
F1のチーフ・コマーシャル・オフィサーであるエミリー・プレイザーは、「James Allen on F1」ポッドキャストに出演し、近年のLEGOやLVMHとの成功を例に挙げながら、シリーズは今後も「限界を押し広げ続けなければなりません」と語った。

イギリスGPの週には、マクラーレンがロンドンのトラファルガー広場を占拠し、シルバーストンの表彰台ではLEGO製のトロフィーが登場。

さらに俳優ハリソン・フォードがグレンモーレンジィとの新たなパートナーシップを発表するなど、F1はその商業的可能性を最大限に引き出していた。

F1におけるプレイザーの立場からすれば、同時期にロンドン中心部で開催されていたウィンブルドンをも「上回った」と自信を覗かせるのも当然だった。

「ロンドンでは、私たちが初めてウィンブルドンを“上回った”と感じられました。街を歩いていても、ものすごい熱気だったんです。マクラーレンがトラファルガー広場でイベントを開きましたし、ウィリアムズやアストンマーティン、そして私たち自身の展開もありました」

「私がF1に関わってきた8年間で、ロンドンの中心部でこれほどF1が目立っていたのは初めてです。Instagramやソーシャルメディアを見ても、過去に例のないレベルの露出でした」

F1のスポンサー収入は現在20億ドルを突破しており、LEGOやルイ・ヴィトン、モエ、ディズニーといったブランドとの提携により、F1の商業基盤はさらに強固になっている。しかし、プレイザーは現状に甘んじることなく、さらなる挑戦が必要だと訴える。

「5年前にチェイス・キャリーが『すべてのレース週末をスーパーボウルのようにしよう』と話していたのですが、私たちは今、それを実現しようとしているんです」

「LVMHやペプシのようなブランドを誘致することも大切ですが、実際のところ、ファンとの接点として最も大きなマーケティング・プラットフォームはチームそのものなんです」

「たとえば、LEGOがウォッチパーティーを開いたり、LVMHが私たちと一緒に常に新しい取り組みに挑戦してくださったり、そういう流れができてきています。それによって、マクラーレンやアストンマーティンも素晴らしい契約を結ぶようになってきました」

「F1全体が、エコシステムとして進化していると思います。私たちはお互いを刺激し合っていますし、その勢いを当然のものと考えてはいけません」

「常に革新を続けて、限界を押し広げていく必要があります。でも、私たちには素晴らしいリーダーがいて、頼もしいチームが支えてくれていますから、これからが本当に楽しみです」

レゴ製F1トロフィー

F1とMotorsport Networkが共同で実施した最新のグローバルファン調査では、回答者の94%が「5年後もF1を追い続ける」と回答。この結果にはプレイザーも驚いたという。

「正直、ここまで高いとは思っていませんでした。それだけに、グローバルなマーケティングの方向性をしっかり調整して、今後の意思決定層となる世代の方々にも引き続き興味を持っていただけるようにしなければなりませんね」

ちょうどその頃、ブラッド・ピット主演の映画『F1/エフワン』が世界各地のボックスオフィスで首位を記録。イギリスGP週末の盛り上がりと並行し、新たなファン層を呼び込む原動力になっている。

「この映画は、本当に特別な存在だと思います。F1をさらに次のステージへと引き上げてくれますし、音楽だけでも長期的に活用できる価値があります」

「大事なのは、この関心をどう維持し、どう転換し、どう伝えていくかです。特に2026年のレギュレーション変更を前に、F1を正しく理解していただくためのコミュニケーションが求められます」

「シャシー変更を含めた技術的な内容を、ファンの皆さんにわかりやすく伝えるために、説明動画なども活用していきたいと考えています。今のF1は本当に面白いレースが続いていますし、その理由をしっかり説明したいと思っています」

「2026年のキャンペーンは、非常にワクワクする内容になりそうです。まずは今年を乗り越えて、ラスベガスGPへと向かいます。皆さんの期待通り、サプライズもたくさん用意していますし、新しい世代に響くスポンサーとの契約もさらに進めていく予定です」

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カテゴリー: F1 / F1スポンサー