F1 70周年記念GP 決勝:ピレリ タイヤ戦略解説
ピレリが、2020年のF1世界選手権 第5戦 70周年記念GP 決勝でのタイヤ戦略を振り返った。

先週、ピレリはシルバーストンに最も硬いタイヤであるC1、C2、C3を持ち込んだが、今週のF1 70周年記念GPではC2、C3、C4と全体的に一段階柔らいコンパウンドを持ち込んだ。

レースは、ハードタイヤからスタートしたマックス・フェルスタッペンが見事なタイヤマネジメントで優勝。一方、これまで圧倒的な強さをみせていたメルセデス勢はタイヤのブルスターに苦しんだ。

■キーポイント
・4番グリッドからスタートしたレッドブルのマックス・フェルスタッペンが、見事な戦略で70周年記念グランプリを制した。トップ10グリッド中ただひとりハードタイヤでスタートしたフェルスタッペンは、ハードタイヤの耐久性を活かして長い第一スティントを走行し、トップに立ち、その座を堅持することに成功した。

・フェルスタッペンは、ハード~ミディアム~ハードと繋ぐ戦略を採った。この戦略を実行したドライバーは2名のみで、もうひとりはマクラーレンのカルロス・サインツだった。フロントローからスタートしたメルセデスの両ドライバーは、ミディアム~ハード~ハードと繋ぐ戦略で2位と3位でフィニッシュした。

・大半のドライバーが2ストッパーだったなか、8番グリッドからスタートしたフェラーリのシャルル・ルクレールは、1ストップ戦略で4位を獲得した。トップ10ドライバー中もうひとりの1ストッパーは、ルノーのエステバン・オコンだった。ルクレールとオコンはともに、ミディアムからハードへ交換する戦略を採った。

・4名のドライバーが3ストップ戦略を実行した。また、20名中19名が完走した。

・前日よりも気温が高く、レース中の路面温度は40℃を超えていた。今回のタイヤの組み合わせは、先週のイギリスグランプリ時より一段階柔らかいものとなっていた。

■各コンパウンドのパフォーマンス
【ハード C2】
フェルスタッペン優勝の鍵となった。それは、予選Q2をホワイト・ハードで通過したフェルスタッペンの決断によって実現した。メルセデスのルイス・ハミルトンは、ハードタイヤでファステストラップポイントを獲得した。

【ミディアム C3】
レースのもうひとつの鍵は、先週のソフトタイヤとおなじコンパウンドであるミディアムタイヤだった。大半のドライバーが、ミディアムタイヤを装着してスタートを切った。

【ソフト C4】
これまでシルバーストンで選択されたなかで最も軟らかいコンパウンドのソフトタイヤは、レーシング・ポイントのニコ・ヒュルケンベルグのファイナルスティントで使用されたのみだった。しかし、他のコンパウンドを使用した戦略構築を促したことで、このレース週末の基礎的な要素のひとつとなった。

マリオ・イゾラ (ピレリ カーレーシング責任者)
「今回のレースは、レッドブルとマックス・フェルスタッペンによる完璧な戦略の勝利でした。フェルスタッペンの戦略は土曜日の午後から始まりました。スタート時に装着するためにQ2をハードタイヤで通過したことが功を奏しました。長い第一スティントを活かしてトラックポジションを上げると、その後はフロントロウからスタートした両メルセデスを抑えきりました。シルバーストンは、タイヤに厳しい屈指のサーキットであることに加え、先週よりも一段階柔らかいコンパウンドの組み合わせを使用したことは、レースの刺激的な要素となりました。予想通り、ブリスターの発生が散見されたものの、レースへの影響は限定的でした。タイヤマネジメントが不可欠の要素であったことは否めませんが、臨機応変に対応したドライバーも素晴らしかったと思います。そして、視聴者はエキサイティングで予測ができないレースを堪能できたことと思います」

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カテゴリー: F1 / ピレリ / F1イギリスGP