最終ラップにドラマが待っていたF1ブラジルGP
ルイス・ハミルトンが、ワールドチャンピオンを獲得して幕を閉じた2008年のF1シーズン。最終戦ブラジルGPには、最終ラップに大きなドラマが待っていた。
スタート5分前に突然インテルラゴスに豪雨が降りそそいだ時点でドラマを予感させたF1最終戦ブラジルGP。スタートは10分のディレイが言い渡され、各車ウェットタイヤと雨用にセッティング変更を施した。しかし、雨はすぐに上がり、空には晴れ間さえ見えだしたことで、ウェットからドライへの変更タイミングが第1の鍵となった。
さらにオープニングラップの1コーナーでデビッド・クルサードが接触してコース上に停止したことでセーフティカーが導入され、各チームの戦略に大きな影響をもたらした。
ルイス・ハミルトンは、5位以上でフィニッシュすればタイトルを獲得できる状況にあった。しかし同時に、リスクを冒せない立場でもあった。スタート後は4番手でレースを進めるも、失うものがない下位チームがドライタイヤへの変更を進めるなかリスクを冒せないハミルトンは後手にまわり、ドライタイヤでコース上に復帰したときには、中団グループに引っ掛かるという、最も恐れていた状況に陥った。
それでも、4番手までポジションを戻したハミルトンは、そのまま安全にタイトルを手にするかと思われた。しかし、そこには大きな展開が待ち受けていた。残り8周に差し掛かったところで再びインテルラゴスには雨が降り出したのだ。
そして、ここでドラマを演出する2名のドライバーが現れた。
66周目でウェットにチェンジしたハミントンだが、ティモ・グロック(トヨタ)がドライのままステイアウトする決断をしたため、5番手でコース復帰することになる。さらに残り1周。なんと、アウトに膨らんだハミルトンをセバスチャン・ベッテル(トロ・ロッソ)がオーバーテイクしたのだ。
6番手に順位を落としたハミルトンは、そのまま第2セクターを通過。フェリペ・マッサがトップでチェッカーを受け、タイトルはマッサに手に渡るかと思われたその数秒後、インテルラゴスにドラマは起きた。
4位を走行していたティモ・グロックが失速したのだ。雨足が強まったトラックにドライタイヤのグロックはなす術がなかったのである。ラスト数コーナーでグロックを交わしたハミルトンは5位に浮上。そのままフィニッシュラインを横切り、F1史上最年初となる23歳300日のワールドチャンピオンが誕生した。マッサがチェッカーを受けてから、わずか39秒の間の出来事だった。
一方で、わずか1ポイント差で涙を飲んだフェリペ・マッサ。しかし、最終戦のマッサは完璧なレースを行った。ポールポジションからスタートしたマッサは終始リードを広げ、セーフティカー、ドライタイヤへの変更、そして終盤でのウェットタイヤへの変更を、ひとつのミスもなくやってのけた。
トップでチェッカーを受けた数秒後にタイトルを失ったマッサだったが、最後まで諦めない走りは感動を与えてくれた。優勝回数は、チャンピオンを獲得したハミルトンを上回った。「僕は勝ち方を知り、そして負け方を知った」と語るのマッサの誇らしげな表情には、これからの彼のキャリアを期待させるにふさわしいオーラがあった。
こうしてドラマチックなエンディングを迎えた2008年シーズン。しかし、8人ものドライバーが表彰台の中央に立ち、優勝ポイントが100ポイントに届かなかった今年のF1は、どこか集中力に欠けたシーズンだったように思える。たくさんのミス、たくさんの事故があった。ハミルトンが本当にチャンピオンにふさわしかという結論は、まだ出ていないように思える。
大幅なレギュレーション変更が実施される2009年は、F1の新たな歴史のスタートとなる。上位ドライバーは、ほぼ同じチームで新シーズンを迎えることになるだろう。そして、イタリアGPで初優勝を遂げ、最終レースでハミルトンを抑え込んだセバスチャン・ベッテルは、レッドブルへ移籍する。トロ・ロッソを強豪チームに仕立て上げたジョルジオ・アスカネリも、ベッテルと共にレッドブルへの移籍が話し合われているという。
最後の最後で大きなドラマをみせてくれた2008年シーズンは、2009年の新たな戦いへの序章をチラつかせる劇的なエンディングとなった。(F1-Gate.com)
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カテゴリー: F1 / F1関連 / F1ブラジルGP
スタート5分前に突然インテルラゴスに豪雨が降りそそいだ時点でドラマを予感させたF1最終戦ブラジルGP。スタートは10分のディレイが言い渡され、各車ウェットタイヤと雨用にセッティング変更を施した。しかし、雨はすぐに上がり、空には晴れ間さえ見えだしたことで、ウェットからドライへの変更タイミングが第1の鍵となった。
さらにオープニングラップの1コーナーでデビッド・クルサードが接触してコース上に停止したことでセーフティカーが導入され、各チームの戦略に大きな影響をもたらした。
ルイス・ハミルトンは、5位以上でフィニッシュすればタイトルを獲得できる状況にあった。しかし同時に、リスクを冒せない立場でもあった。スタート後は4番手でレースを進めるも、失うものがない下位チームがドライタイヤへの変更を進めるなかリスクを冒せないハミルトンは後手にまわり、ドライタイヤでコース上に復帰したときには、中団グループに引っ掛かるという、最も恐れていた状況に陥った。
それでも、4番手までポジションを戻したハミルトンは、そのまま安全にタイトルを手にするかと思われた。しかし、そこには大きな展開が待ち受けていた。残り8周に差し掛かったところで再びインテルラゴスには雨が降り出したのだ。
そして、ここでドラマを演出する2名のドライバーが現れた。
66周目でウェットにチェンジしたハミントンだが、ティモ・グロック(トヨタ)がドライのままステイアウトする決断をしたため、5番手でコース復帰することになる。さらに残り1周。なんと、アウトに膨らんだハミルトンをセバスチャン・ベッテル(トロ・ロッソ)がオーバーテイクしたのだ。
6番手に順位を落としたハミルトンは、そのまま第2セクターを通過。フェリペ・マッサがトップでチェッカーを受け、タイトルはマッサに手に渡るかと思われたその数秒後、インテルラゴスにドラマは起きた。
4位を走行していたティモ・グロックが失速したのだ。雨足が強まったトラックにドライタイヤのグロックはなす術がなかったのである。ラスト数コーナーでグロックを交わしたハミルトンは5位に浮上。そのままフィニッシュラインを横切り、F1史上最年初となる23歳300日のワールドチャンピオンが誕生した。マッサがチェッカーを受けてから、わずか39秒の間の出来事だった。
一方で、わずか1ポイント差で涙を飲んだフェリペ・マッサ。しかし、最終戦のマッサは完璧なレースを行った。ポールポジションからスタートしたマッサは終始リードを広げ、セーフティカー、ドライタイヤへの変更、そして終盤でのウェットタイヤへの変更を、ひとつのミスもなくやってのけた。
トップでチェッカーを受けた数秒後にタイトルを失ったマッサだったが、最後まで諦めない走りは感動を与えてくれた。優勝回数は、チャンピオンを獲得したハミルトンを上回った。「僕は勝ち方を知り、そして負け方を知った」と語るのマッサの誇らしげな表情には、これからの彼のキャリアを期待させるにふさわしいオーラがあった。
こうしてドラマチックなエンディングを迎えた2008年シーズン。しかし、8人ものドライバーが表彰台の中央に立ち、優勝ポイントが100ポイントに届かなかった今年のF1は、どこか集中力に欠けたシーズンだったように思える。たくさんのミス、たくさんの事故があった。ハミルトンが本当にチャンピオンにふさわしかという結論は、まだ出ていないように思える。
大幅なレギュレーション変更が実施される2009年は、F1の新たな歴史のスタートとなる。上位ドライバーは、ほぼ同じチームで新シーズンを迎えることになるだろう。そして、イタリアGPで初優勝を遂げ、最終レースでハミルトンを抑え込んだセバスチャン・ベッテルは、レッドブルへ移籍する。トロ・ロッソを強豪チームに仕立て上げたジョルジオ・アスカネリも、ベッテルと共にレッドブルへの移籍が話し合われているという。
最後の最後で大きなドラマをみせてくれた2008年シーズンは、2009年の新たな戦いへの序章をチラつかせる劇的なエンディングとなった。(F1-Gate.com)
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