アラン・プロストが語るマクラーレンF1の“えこひいき疑惑”「私も経験がある」

ブラジルGPを終えた時点でノリスはピアストリに24ポイント差をつけ、3連勝を狙う立場にある。
しかし表彰台ではブーイングが鳴りやまず、SNS上では「マクラーレンはノリスを優遇している」との声も上がっている。そんな中、F1の伝説的ドライバーであるプロストは、仏『L’Equipe』のインタビューで自身の経験を交えながら「F1ではこうしたことはよくある」と語った。
ランド・ノリス(マクラーレン)は、サンパウロGPを終えてチームメイトのオスカー・ピアストリに24ポイントのリードを築き、初のタイトルに大きく前進した。しかし、その支配力とは裏腹に、チーム内のえこひいき疑惑や表彰台でのブーイングは続いている。
「くだらないことを言う奴は無視すればいい!」と笑って答えたノリスだったが、実際には批判が心に影響を与えていたと認める。
「僕は人がどう思うかをすごく気にするタイプなんだ。おそらく気にしすぎていた。シーズン序盤はそれが悪い方向に働いていた。でも今はうまく処理できるようになった」と語った。
ノリスはインテルラゴスでスプリントと決勝を連勝したが、次戦ラスベガスGPには慎重な姿勢を見せている。
「ラスベガスは僕たちにとって厳しいレースになると思う。昨年は最悪のレースだったし、あまり楽しみじゃない」と語り、報道陣から「悲観的すぎないか」と問われると、きっぱりと言い返した。
「僕は自分の考えを言うだけだ。思ったことを言うのが正直な意見だよ。君たちにも意見があるように、僕にもある。それだけのことだ」
一方、ピアストリはアントネッリとルクレールを巻き込む接触で10秒ペナルティを受け、タイトル争いから後退した。それでも本人は強気だ。
「もう一度やり直しても同じ判断をしたと思う」とコメント。
ルクレールも「両方に責任がある。オスカーは少し楽観的すぎたし、キミも彼がいないかのように走っていた。50対50だ」と語り、両者のミスを認め合った。
オランダの評論家トム・コロネルも「彼はタイトルを懸けて戦っている。強気に出て当然だ。10秒ペナルティは厳しすぎる」と擁護している。
マクラーレン代表のアンドレア・ステラは中立的な立場を崩さず、「オースティンやメキシコと同じような技術が必要なコンディションだった。オスカーはまだ完全に体得していないが、ランドは自然に反応できる」と語った。
そんな中、プロストはマクラーレンを取り巻く“ノリス優遇”論争について次のように語っている。
「夏休み明けからマクラーレン内のえこひいきが話題になっている。F1ではこういうことはよくある。私自身、経験がある」
ステラ代表はチームとして公平な支援を続けていると強調した。
「オスカーを見限るべきではない。ランドは非常に高いレベルで走っているが、それは一夜にして変わったわけではない。彼の努力と成長、レースマネジメントが今、結果として報われているんだ」
残り3戦。ラスベガスでタイトルは決まらないが、次戦カタールでノリスが王手をかける可能性がある。
アラン・プロストの発言が映すF1の現実
プロストの「F1ではよくある」という一言は、チームスポーツとしてのF1の宿命を示している。どの時代でも、勝者の陰には「優遇」や「不公平」といった雑音がつきまとう。だが、経験者のプロストがそれを淡々と語ることで、現代F1の心理戦の一端が浮かび上がる。
ノリスの成熟とピアストリの壁
ノリスはシーズン序盤の不安定さから脱却し、精神面の安定とともにレースマネジメント力を磨いた。対照的にピアストリはテクニカル適応に苦戦し、結果的に「差」が明確になってきている。両者の成長曲線が交差する今、マクラーレンにとって最も重要なのは“公平性の信頼”を保ちつつ、内部競争を建設的な形に維持することだ。
マクラーレンが直面する次の試練
ノリスの連勝はチームを勢いづけるが、ピアストリの自信喪失や外部からの“優遇論”は内部調和のリスクとなる。ステラ代表が示す冷静な姿勢が維持できるか──それが、カタール以降のタイトル争いとともに、マクラーレンが真に成熟したトップチームとして試されるポイントとなる。
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