F1の親会社リバティ・メディアがMotoGPを約6000億円で買収 欧州委が承認

欧州委員会は6月23日、「この取引は欧州経済領域(EEA)において競争上の問題を引き起こすことはない」との結論を下し、無条件で買収を承認したと公式発表した。
これは2024年4月に買収合意が公表されて以降、最後の法的ハードルだった。
リバティ・メディアはドルナ株式の86%を取得し、残る14%は最高経営責任者カルメロ・エスペレータと副会長エンリケ・アルダマら現経営陣が保持する形となる。
買収後は、F1で培ったメディア戦略やマーケティングノウハウを活用し、MotoGPのグローバル展開を加速させる狙いだ。両組織からなる合同ワーキンググループが設置され、7月第2週にドルナ本社のあるマドリードで初の本格的な戦略会議が予定されている。
ドルナ内部では過去1年にわたり、放映権販売やスポンサー営業などを担う商業部門を中心に不透明感が広がっていたが、今回の買収確定により組織体制の安定と将来の成長に向けた道筋が明確になった。

欧州委員会は当初、F1とMotoGPの両方の商業権がリバティの手に渡ることで、欧州におけるモータースポーツ放映権市場における支配的地位を形成する恐れがあるとして、2024年12月に本格調査を開始。その過程で、ベルギー、アイルランド、オランダなどでリバティ系放送事業者が競合を排除する可能性についても精査された。
最終的に「放映権や視聴者の選択肢が不当に制限される恐れはない」と判断され、7月1日までの決定期限を前に正式承認が下された。関係筋によれば、この判断は今後の同様のメディア統合案件における先例となる可能性があるという。
F1は「ドライブ・トゥ・サバイブ」や映画『F1/エフワン』といったメディア展開を通じて世界的な人気拡大に成功しており、同様の手法がMotoGPにも適用される見通しだ。とくに米国市場での認知拡大、若年層ファンの獲得、スポンサーの呼び込みが重点分野となる。
リバティ・メディアは「MotoGPには大きな成長の可能性がある。ファン、チーム、パートナー、株主のためにこのスポーツをさらに成長させていく」と声明を出しており、F1とMotoGPの連携によってグローバルモータースポーツの勢力図が大きく塗り替わることになる。
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