ホンダF1 振動問題 発生源をさらに特定「エンジン内部に集中」
ホンダは2026年F1シーズンにおいて、アストンマーティンとの新体制で直面している最大の課題であるパワーユニットの振動問題について、その発生源の特定にさらに踏み込んだ。

一方で、問題の完全解決にはなお時間を要する見通しであり、現状は「影響の軽減」に重点を置いた段階にとどまっている。

ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治は、現在の開発状況について段階的な進展を認めつつも、依然として技術的な課題が残っていることを明かした。

「パワーユニットは少しずつ改善してきてはいますが、まだ多くの問題を抱えており、どこまで到達できるかは現時点では明確ではありません」

実走で顕在化した想定外の振動
今回の問題で特に特徴的なのは、振動がシミュレーションやベンチテストでは顕著に現れず、実際にマシンを組み上げてコース上で走行した際に大きく増幅された点にある。

バーレーンでのプレシーズンテストでは、ダイナモ上では許容範囲に収まっていた振動が、実走行では大きな問題として顕在化した。

「バーレーンテストでは相当な振動が確認されました」

「実車のダイナモではそれほど強くは出ていなかったのですが、マシンに搭載して走行させると非常に大きくなってしまいました」

さらに、マシン完成の遅れにより十分な事前テストが行えなかったことも、問題の早期発見を難しくした要因となった。

まずはバッテリー損傷の抑制が最優先
ホンダが最初に取り組んだのは、振動そのものの解決ではなく、その影響を受けるコンポーネントの保護だった。

特に深刻だったのはハイブリッドシステムのバッテリーであり、初期段階では大きなダメージが発生していた。

しかし対策の導入により、中国GPでは損傷が大幅に軽減されたという。

「バッテリーへのダメージはかなり減少しています」

「まだ理想的な状態ではありませんが、1レースで壊れてしまうようなレベルではなくなっています」

現在は複数レースに耐えうる状態まで改善されているが、レギュレーション上はシーズンで3基に制限されているため、依然として余裕は大きくない。

振動の発生源はエンジン内部に集中
技術的な分析により、ホンダは振動の起点が内燃エンジン内部に集中しているとの認識を示している。

クランクシャフトやピストンの動き、燃焼そのもののダイナミクスといった、エンジンの基礎構造が振動の主な発生源とみられている。

「振動の発生源は間違いなく内燃エンジンにあります」

「原因はいくつか考えられますが、現時点ではその特定を進めながら、振動の吸収や低減に取り組んでいます」

2025年仕様のパワーユニットとの違いについても分析が進められており、差異の特定と対策が開発の中心となっている。

「まずはエンジン内部で発生する振動そのものをしっかり抑えていくことが重要だと考えています」

ホンダF1 本田技研工業 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

ドライバーへの影響軽減は次の段階
現在の対策は主にハードウェア保護に向けられており、ドライバーが感じる振動の軽減は次の段階とされている。

この問題はレース結果にも影響しており、中国GPではフェルナンド・アロンソのリタイア要因のひとつとなった。

「まずはバッテリーへの影響を抑えることを優先してきました」

「ドライバーが感じる振動については、これから対策を進めていきますが、もう少し時間がかかる見込みです」

「原因が完全に特定できていないため、段階的に改善を重ねていく必要があると考えています」

アストンマーティンとの関係は良好
技術的な課題が続く中でも、ホンダとアストンマーティンの関係は良好であると強調された。

「関係が悪化しているということはまったくありません」

「信頼というものは一朝一夕で築けるものではなく、こうした課題を乗り越えながら時間をかけて築いていくものだと考えています」

また、エンジニア体制についての指摘に関しても、ホンダ内部の通常のローテーションによるものであり、構造的な問題ではないと説明している。

解決は長期戦 夏以降が転機に
フェルナンド・アロンソもすでに「改善は夏以降になる」との見方を示しており、ホンダ側の見解とも一致する形となっている。

現状は「致命的な問題」から「管理可能な問題」へと移行した段階にあるが、完全解決には至っていない。

振動という複雑な現象の克服は、信頼性だけでなくパフォーマンスにも直結する。

ホンダは着実に前進しているが、その解決にはなお時間が必要となりそうだ。

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / F1日本GP / アストンマーティンF1チーム