ホンダF1 田辺豊治TD 「最終ラップはホンダF1活動のけじめになった」
ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、ラストイヤーとなった2021年のF1世界選手権でのドライバーズタイトル獲得、そして、ホンダ 第4期F1活動を振り返った。
今季限りのF1撤退を発表しての戦いとなったホンダF1。ラストイヤーは序盤からレッドブル・ホンダとしてメルセデスF1と戦うことができ、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが同ポイントで最終戦F1アブダビGPを迎えた。
そして、ファイナルラップ。物議を醸したセーフティカー中の処理はあったものの、マックス・フェルスタッペンがルイス・ハミルトンを逆転してタイトルを獲得。ホンダF1にとってはこれ以上ない劇的なクライマックスとなった。
「これまでホンダF1の活動を支えてくれた人すべてに感謝したいです」と田辺豊治。
「今年、フェルスタッペン選手がドライバーチャンピオンを獲りましたが、2015年からの7年間、苦しい時代を経て、今年チャンピオンシップを戦えるポジションまで来ることができたことをうれしく思います」
「残念ながら、コンストラクターチャンピオンは獲れませんでしたが、自分たちの技術を信じて勝つという気持ちを持って開発を続けてくれた開発陣、それを支えてくれたオペレーションやトラベルのメンバー、さらに海外にメンバーを送り出してくれた家族のサポート、そういうことがあっての今日の結果ですので、うれしく思っています」
「ホンダF1にこれまで関わってくれた方、また、オールホンダでという話も何度かさせていただいきましたが、すべてのホンダの関係者、そして、レッドブルやアルファタウリのチーム関係者、FIA、FOMなどを含めてすべてのF1関係者やサポートしてくれた人たちにも感謝の気持ちを伝えたいです」
チェッカーの瞬間は「一言で言えばうれしかった」と田辺豊治は語る。
「先ほども言いましたが、長年いろいろなことを経験させてもらいました。HRD Sakura、ミルトンキーンズ、ホンダ本社、チームメンバー、ホンダF1のアルファタウリ担当メンバーも含めて、彼ら彼女らのおかげだと思っています」
ホンダF1にとって、タイトル獲得は、1991年のアイルトン・セナ以来、30年ぶりとなる。
「ホンダがレースに参戦するに際には、いかなりカテゴリーでも1番を目指して戦っています。ですが、F1では91年以来獲れていなかった。自分も関わっていた第3期F1では、ジェンソン・バトン選手の2006年ハンガリーGPの優勝が唯一で終わってしまいました」と田辺豊治は振り返る。
「ハイブリッド時代は、出だしこそ厳しかったですが、自分たちの技術の証しとしてチャンピオンを獲れたこと、応援していただいてくれた方々に『応援したかいがあったな』と感じてもらえるとうれしい」
「会社、グループとして努力することが大事ですし、1番を目指して本気でやったことが将来の肥やしになると思います。今回、ドライバー選手権のタイトルは獲れて、コンストラクターは獲れていませんが、毎回1番になるためにサーキットに来ていますし、全関係者が勝ちにこだわってやってきました。その努力とこだわりが、我々がホンダで働いていく上で経験として役立つと考えています。それは仮にタイトル獲れていなかったとしても役に立つと思っています」
「いつも言っていることですが、レースは終わるまで何が起こるか分からない。ですが、ある程度予想はできたりします。最終スティントでハミルトン選手はタイヤを交換せず、フェルスタッペン選手は交換しましたが、毎ラップどれくらい詰めればいいのかという点では、最終ラップでも難しいかもしれないというのはありましたし、仮にオーバーテイクしようとすれば、ハミルトン選手も阻止すると思っていました。その意味では難しいかなとは思っていました」
「ですが、最後までやってみなければ分からないというのは、これまでよい意味でも悪い意味でもあったと思います。勝ち負けもありますが、クルマのコンディションの確認をしながら最後まできちんと走らせて、問題があれば迅速に対処するという形でやっていました」
「今回チームワークの大事さを改めて感じました。ホンダ側もそうですし、レッドブル、アルファタウリといったチーム側のチームワークもそうです。レース中のセルジオ・ペレス選手のフェルスタッペン選手をチャンピオンにするためのチームワークもそうです」
「2015年からハイブリッド時代のF1に取り組んできて、最初はマクラーレンと一緒に苦労しました。2018年にトロロッソと仕事を始めて、オープンマインドでクルマを速くすることに取り組んできました。それがレッドブルとのパートナーシップに繋がり、クルマを速くするにはどうしたらいいのか、設計段階やオフィス、現場で施策を回してきました」
「ドライバーも含めてチームワークをしてきたことが今日の結果に結びついたと言えます。アルファタウリもフェルスタッペン選手とホンダのチャンピオンを喜んでくれていたました。まさにチームワークの結果です」
ホンダとしては今年でF1撤退。田辺豊治は、将来的に再びF1に挑戦した方がいいと思っているのか。
「ホンダとしてのけじめとして、供給を終了する今年にコンストラクター選手権は逃したものの、フェルスタッペン選手がポールポジションを10回、優勝を10回でドライバーチャンピンを獲得することができました。その意味で最終ラップはホンダにとってよいけじめになったと思っています」と田辺豊治はコメント。
「会社の方向として今年で供給は終了となります。あくまで私個人の見解としてですが、エンジニアの教育、メンタル、技術スキルの面で、F1参戦は有益なプロジェクトだと思っています。第3期F1参戦を終えた後、F1をやっていた人が量産に散っていきました。そして、量産をやってきた人とレースをやってきた人が交わることで良い効果を生みました」
「ホンダはレースを走る実験室という言い方をしていますが、技術者の教育の場として使うには素晴らしい場だと思います。エネルギーマネジメント、バッテリー、ICEの燃焼などに関しては、今までのレベルから大きく踏み込んでやってきました。会社がどう判断しているかは分かりませんが、ホンダのDNAにはレースをやって技術者を育成するということが脈々と流れており、いつの日か戻ってくることを願っています」
「私はこれで終わりですが、海外に出て、海外のエンジニアとせめぎ合いながら、限られた時間の中で仕事をすることは有益ですし、是非、若い人にもそういう経験をしてほしいと願っています」
カテゴリー: F1 / ホンダF1
今季限りのF1撤退を発表しての戦いとなったホンダF1。ラストイヤーは序盤からレッドブル・ホンダとしてメルセデスF1と戦うことができ、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが同ポイントで最終戦F1アブダビGPを迎えた。
そして、ファイナルラップ。物議を醸したセーフティカー中の処理はあったものの、マックス・フェルスタッペンがルイス・ハミルトンを逆転してタイトルを獲得。ホンダF1にとってはこれ以上ない劇的なクライマックスとなった。
「これまでホンダF1の活動を支えてくれた人すべてに感謝したいです」と田辺豊治。
「今年、フェルスタッペン選手がドライバーチャンピオンを獲りましたが、2015年からの7年間、苦しい時代を経て、今年チャンピオンシップを戦えるポジションまで来ることができたことをうれしく思います」
「残念ながら、コンストラクターチャンピオンは獲れませんでしたが、自分たちの技術を信じて勝つという気持ちを持って開発を続けてくれた開発陣、それを支えてくれたオペレーションやトラベルのメンバー、さらに海外にメンバーを送り出してくれた家族のサポート、そういうことがあっての今日の結果ですので、うれしく思っています」
「ホンダF1にこれまで関わってくれた方、また、オールホンダでという話も何度かさせていただいきましたが、すべてのホンダの関係者、そして、レッドブルやアルファタウリのチーム関係者、FIA、FOMなどを含めてすべてのF1関係者やサポートしてくれた人たちにも感謝の気持ちを伝えたいです」
チェッカーの瞬間は「一言で言えばうれしかった」と田辺豊治は語る。
「先ほども言いましたが、長年いろいろなことを経験させてもらいました。HRD Sakura、ミルトンキーンズ、ホンダ本社、チームメンバー、ホンダF1のアルファタウリ担当メンバーも含めて、彼ら彼女らのおかげだと思っています」
ホンダF1にとって、タイトル獲得は、1991年のアイルトン・セナ以来、30年ぶりとなる。
「ホンダがレースに参戦するに際には、いかなりカテゴリーでも1番を目指して戦っています。ですが、F1では91年以来獲れていなかった。自分も関わっていた第3期F1では、ジェンソン・バトン選手の2006年ハンガリーGPの優勝が唯一で終わってしまいました」と田辺豊治は振り返る。
「ハイブリッド時代は、出だしこそ厳しかったですが、自分たちの技術の証しとしてチャンピオンを獲れたこと、応援していただいてくれた方々に『応援したかいがあったな』と感じてもらえるとうれしい」
「会社、グループとして努力することが大事ですし、1番を目指して本気でやったことが将来の肥やしになると思います。今回、ドライバー選手権のタイトルは獲れて、コンストラクターは獲れていませんが、毎回1番になるためにサーキットに来ていますし、全関係者が勝ちにこだわってやってきました。その努力とこだわりが、我々がホンダで働いていく上で経験として役立つと考えています。それは仮にタイトル獲れていなかったとしても役に立つと思っています」
「いつも言っていることですが、レースは終わるまで何が起こるか分からない。ですが、ある程度予想はできたりします。最終スティントでハミルトン選手はタイヤを交換せず、フェルスタッペン選手は交換しましたが、毎ラップどれくらい詰めればいいのかという点では、最終ラップでも難しいかもしれないというのはありましたし、仮にオーバーテイクしようとすれば、ハミルトン選手も阻止すると思っていました。その意味では難しいかなとは思っていました」
「ですが、最後までやってみなければ分からないというのは、これまでよい意味でも悪い意味でもあったと思います。勝ち負けもありますが、クルマのコンディションの確認をしながら最後まできちんと走らせて、問題があれば迅速に対処するという形でやっていました」
「今回チームワークの大事さを改めて感じました。ホンダ側もそうですし、レッドブル、アルファタウリといったチーム側のチームワークもそうです。レース中のセルジオ・ペレス選手のフェルスタッペン選手をチャンピオンにするためのチームワークもそうです」
「2015年からハイブリッド時代のF1に取り組んできて、最初はマクラーレンと一緒に苦労しました。2018年にトロロッソと仕事を始めて、オープンマインドでクルマを速くすることに取り組んできました。それがレッドブルとのパートナーシップに繋がり、クルマを速くするにはどうしたらいいのか、設計段階やオフィス、現場で施策を回してきました」
「ドライバーも含めてチームワークをしてきたことが今日の結果に結びついたと言えます。アルファタウリもフェルスタッペン選手とホンダのチャンピオンを喜んでくれていたました。まさにチームワークの結果です」
ホンダとしては今年でF1撤退。田辺豊治は、将来的に再びF1に挑戦した方がいいと思っているのか。
「ホンダとしてのけじめとして、供給を終了する今年にコンストラクター選手権は逃したものの、フェルスタッペン選手がポールポジションを10回、優勝を10回でドライバーチャンピンを獲得することができました。その意味で最終ラップはホンダにとってよいけじめになったと思っています」と田辺豊治はコメント。
「会社の方向として今年で供給は終了となります。あくまで私個人の見解としてですが、エンジニアの教育、メンタル、技術スキルの面で、F1参戦は有益なプロジェクトだと思っています。第3期F1参戦を終えた後、F1をやっていた人が量産に散っていきました。そして、量産をやってきた人とレースをやってきた人が交わることで良い効果を生みました」
「ホンダはレースを走る実験室という言い方をしていますが、技術者の教育の場として使うには素晴らしい場だと思います。エネルギーマネジメント、バッテリー、ICEの燃焼などに関しては、今までのレベルから大きく踏み込んでやってきました。会社がどう判断しているかは分かりませんが、ホンダのDNAにはレースをやって技術者を育成するということが脈々と流れており、いつの日か戻ってくることを願っています」
「私はこれで終わりですが、海外に出て、海外のエンジニアとせめぎ合いながら、限られた時間の中で仕事をすることは有益ですし、是非、若い人にもそういう経験をしてほしいと願っています」
カテゴリー: F1 / ホンダF1