ホンダF1:20201年 第10戦 F1イギリスGP スプリント予選レポート
2021年F1第10戦イギリスGPのスプリント予選が行われ、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンがポールポジション(PP)を獲得。シルバーストーンでは、9年連続でメルセデスのポールポジション獲得が続いていたが、レッドブル・レーシングが2011年以来のPP獲得を果たし、連続記録にストップをかけた。

今季、試験的に導入されたスプリント予選は、日曜の決勝レースのスターティンググリッドを100kmのスプリントレースの結果により決定するもので、今回のシルバーストーンでは17周で実施された。

今日は金曜日の予選で決定したグリッドにより、フェルスタッペンが2番手、セルジオ・ペレスが5番手スタート。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダはピエール・ガスリーが12番グリッド、角田裕毅が16番グリッドからポジションアップを目指した。

スプリント予選では、全ドライバーがスタートタイヤを自由に選択でき、ホンダF1パワーユニット勢は4名ともミディアムタイヤを装着。ソフトタイヤでスタートしたのは、バルテリ・ボッタス(メルセデス)と、アルピーヌの2名、キミ・ライコネン(アルファロメオ)の4台のみだった。

2番手から見事なスタートを決めたフェルスタッペンは、ターン1でルイス・ハミルトン(メルセデス)の前に出てリードを奪う。ペレスは7番手に順位を落とし、ガスリーは12番手をキープ。角田はソフトタイヤのライコネンに先行されて17番手でオープニングラップを終えた。

フェルスタッペンが好ペースでリードを拡大する一方で、ペレスはランド・ノリス(マクラーレン)をパスすべくプレッシャーをかけていたが、高速セクションで前方からの乱気流の影響もあってスピンを喫する。これによって、ペレスはタイヤにフラットスポットを作り、順位も19番手まで後退。その後の走行で、追い上げを見せたが、タイヤからの振動が大きく、残り1周時点でリタイアを余儀なくされた。明日の決勝では最後尾からのスタートとなる。

フェルスタッペンは、後続との差を保ったままフィニッシュし、4戦連続のPPを獲得。ホンダF1として、イギリスGPでのPP獲得は1989年のアイルトン・セナ以来となり、4戦連続PPは1989~90年のセナ(7戦連続)以来。

ガスリーは、ペレスのスピンによって順位を上げたものの、オープニングラップの接触とコースアウトによって後方から追い上げてきたカルロス・サインツ(フェラーリ)に前を行かれて12位フィニッシュ。角田は16位となり、明日は8列目からのスタートとなる。

※スプリント予選終了後、9位でフィニッシュしたジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)に3グリッド降格ペナルティーが科され、ガスリーは11番グリッドとなた。

田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
「今日はF1の歴史上初めて、明日の決勝レースでのグリッドを決める、レース形式のスプリント予選が行われました。昨日の予選結果をもとにしたグリッドから各車がスタートし、2番グリッドから素晴らしいスタートを決めたフェルスタッペン選手が1コーナーでトップに立ち、17周のレースをそのままフィニッシュ。明日のレースでのポールポジションを獲得しました。今までの予選とは異なる手法ですが、これでフェルスタッペン選手は4戦連続のポールポジションとなりました。チームメートのペレス選手は途中でスピンを喫して大きく順位を落とし、そのときにタイヤにダメージを与えた影響から振動が次第に大きくなったため、最終的に安全面を考慮してレースをリタイアしました。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダについては、ガスリー選手が12位、角田選手が16位と、残念ながらともにスタートポジションのままでフィニッシュしました。明日のレースでは、マックス選手のすぐ後ろにメルセデスの2台がいますし、他のマシンは中盤グリッド以降からのスタートと、Honda勢にとっては難しい戦いになることが予想されます。今日のスプリント予選からは、多くの学びがありました。レースに向けてそれらを十分活用できるように、両チームとともにデータを解析して明日の本番に臨みます」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「今日はとても楽しいセッションでした。3ポイントを獲得できたことはもちろんうれしいですし、レースの結果によってポールポジションも獲得できたというのはおかしな気分ですが、もらえるものはもらっておきます!このコースは追い抜きが難しいのですが、いいスタートが決まり、1周目はルイス(ハミルトン/メルセデス)といい戦いができました。そこからは自分たちのペースで進めようとしましたが、結果的にはお互い最後までハードにプッシュすることになりました。その辺りは、タイヤにブリスターが出てうまくマネージしなければならなかったことからも、見て取れるかと思います。燃料搭載が少ない状態でレースをスタートすると、高速コーナーでもマシンをハードにプッシュすることができるので、一周ごとにタイヤに負担がかかっていきますが、その点は全員が同じ条件だったと思います。明日のレースに向けてマシンのセッティングを変更することはできませんが、今日の結果から僕らとメルセデスは僅差であることも分かりました。僕らはコーナーではとても速いのですが、彼らはストレートが速いので、とてもエキサイティングなバトルになるはずです。チームはここまで新フォーマットのレースウイークをうまくこなせています。また、ファンの皆さんにも感謝しています。みんながイギリス人ドライバーを応援するために集まっていることは分かっていますが、応援してくれる姿を見るのは最高の気分です。僕は明日ルイスや他のみんなといいバトルをしたいと思いますし、それがファンを楽しませることになるはずです」

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング・ホンダ)
「マシンの感触がとてもよかっただけに、スプリントレースをリタイアすることになってとても残念です。僕にとってはよくない一日となりました。チームには申し訳ないとしか言えません。ランド(ノリス/マクラーレン)とのバトル中にリアを失って、台無しになってしまいました。コーナーの中盤にいてスロットルをかなり開けていたところで、前方からの乱気流につかまり、コースアウトしてしまいました。ウォールへの接触は避けられましたが、このスピンの後からタイヤの振動が大きくなり、それがリタイアの原因になりました。チームが振動によるマシンへのダメージを懸念したことと、それ以上走っても順位を上げられないことで、リタイアを決断しました。最後尾からのスタートとなり、ここはオーバーテイクが簡単ではないのですが、マシンのペースはいいので、ハードにプッシュしてなるべく多くのポイントを持ち帰りたいと思います。僕にとっては今が最悪の状態ですが、明日はまた違った展開になるので、何が起きるか楽しみです」

ピエール・ガスリー(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「今日はとてもフラストレーションが溜まる結果で、僕たちが望んでいたものではありません。FP1で調子が上がらず、1回のフリー走行だけでは予選までに十分な対応ができなかったので、今日も苦戦する形になってしまいました。マシンにはもっとポテンシャルがあることが分かっているのに、それを上手く引き出せていないので、とても残念です。今夜はすべてのデータを見直し、明日のレースではポイント獲得のためにできることをすべて試して臨みます」

角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)
「今日のパフォーマンスにはがっかりしています。満足いくポジションでフィニッシュできず、明日も同じグリッドからスタートすることになりました。予選前のフリー走行が1回という今週末のフォーマットは、ルーキーにとって非常に厳しいのですが、ファンの皆さんが楽しんでくれていればと思います。レースウイークを通じてマシンパフォーマンスで悩んでいるので、今夜もデータを見直し、明日のレースに向けて理解を深めていきます」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1イギリスGP / スクーデリア・アルファタウリ