ホンダF1:2020年 第10戦 F1ロシアGP 決勝レポート
ソチ・オートドロームで行われたF1ロシアGPの決勝でレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが2位表彰台を獲得、そのほかの3台もトップ10でレースを終え、ホンダのF1パワーユニットを搭載するマシン4台全車がポイント獲得を果たした。

レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンは10位、アルファタウリ・ホンダは母国GPのダニール・クビアトが8位、ピエール・ガスリーが9位に入賞している。

ホンダのF1エンジンとしては、2019年のモナコGP以来の全車ポイント獲得。また、フェルスタッペンの表彰台登壇で、2015年のF1復帰以来のポディウム獲得回数が第三期F1活動の19回を超え、20回となった。

フェルスタッペンは前日の予選で見事な走りを見せて2番手となったが、偶数側グリッドはホコリが多く、やや加速がしづらいコンディションだった。スタートでは一時4番手までポジションを落とすも、直後のアクシデントでセーフティカーが導入される前に3番手まで挽回する。

このセーフティカーは、ターン2でカルロス・サインツ(マクラーレン)がクラッシュを喫したことによって出動。予選後のギアボックス交換でペナルティーを受けて15番手からスタートしたアルボンも、その影響を受けて最後方へと下がったため、ピットインしてソフトタイヤからハードへと交換して隊列に加わった。

9番グリッドからソフトタイヤでスタートしたガスリーは、7番手までポジションを上げ、ハードタイヤを選択したチームメートのクビアトはポジションを維持したままリスタートを待った。

レース再開後、ガスリーは18周目、フェルスタッペンは25周目にピットインして、ハードタイヤに交換。ピットタイミングの遅いクビアトは、これによって一時3番手を走行する。クビアトは30周目までピットインを引っ張り、ミディアムタイヤに交換すると8番手でコースへ復帰した。

各車がピットインを終えると、フェルスタッペンは2番手でレースを進める。10秒のタイム加算ペナルティーを受けたルイス・ハミルトン(メルセデス)が3番手に上がってきたが、その差を10秒以上つけながらフィニッシュまで走りきり、2位表彰台を手に入れた。これは、レッドブル・レーシングにとってF1ロシアGPでの初表彰台となる。

クビアトはキミ・ライコネン(アルファロメオ)の前方でレースを進め、ソチはオーバーテイクが難しいコースとして知られており、その後方ではガスリーがライコネンを抜きあぐねながら走行。レース終盤にクビアトは前方のエステバン・オコン(ルノー)に追いつき、オーバーテイクを仕掛けるが、追い抜きには至らず、8位でチェッカーフラッグを受けた。

ガスリーは残り11周でわずかにバーチャルセーフティカーが導入されたタイミングで2度目のピットインを行い、ミディアムタイヤに交換。コースへ戻ると、アルボンとランド・ノリス(マクラーレン)をオーバーテイクして9位でフィニッシュした。

序盤のセーフティカー走行中にハードタイヤを履いたアルボンは、27周目にピットへ入り、ミディアムタイヤを履く2ストップ作戦を採用。一時は最後尾を走ったが、アントニオ・ジョヴィナッツィ(アルファロメオ)をターン13のアウト側からオーバーテイクするなど、見事な走りを見せて10位入賞を果たした。

次戦は2週間後、10月9日(金)~11日(日)に、ドイツのニュルブルクリンクで第11戦アイフェルGPとして開催される。

田辺豊治(ホンダF1 F1テクニカルディレクター)
「今日のロシアGPの決勝は、アストンマーティン・レッドブル・レーシングのフェルスタッペン選手がレース序盤から2番手をキープし、メルセデスの2台に割って入る2位表彰台を獲得しました。チームメートのアルボン選手は15番手スタートで簡単ではありませんでしたが、2ストップ戦略を確実に活かし、最後はポイント圏内の10位までポジションを上げるという力強いレースを見せてくれました。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの2台もスタート時の波乱を避けてクビアト選手が8位、ガスリー選手が9位と2台入賞を果たしました。2人ともいくつものオーバーテイクを見せ、いいパフォーマンスだったと思います。ホンダ勢は4台とも完走し、昨年のモナコGP以来の全車入賞と、ここ数戦のことを考えるとよい状態でレースを終われたと感じています。ここから欧州に戻り、1週間空けてドイツでのレースになります。ニュルブルリンクは現行レギュレーションでは初走行となりますので、十分シミュレーションなどで検討し、準備を整えて臨みたいと思います」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
「このサーキットはあまり僕らとの相性がよくないということを考えると、今日の2位は喜ぶべきものだと思います。久しぶりにチームのために多くのポイントを取れたこともよかったです。グリッド内側はグリップが低いので、スタート直後の数コーナーはなかなか難しかったのですが、それでもすぐにダニエル(・リカルド)を抜き返すことができました。ミディアムタイヤではオーバーステアが出てしまい、メルセデスのマシンを追いかけるのが難しかったのですが、ハードタイヤに交換したあとは速さがあり、自分自身のレースに集中することができました。久しぶりに表彰台を獲得できてうれしく思っていますし、このサーキットでボッタス選手の8秒後ろでのフィニッシュというのもいい結果だと思います」

ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
「今までホームGPはあまりうまくいっていなかったので、今日は本当にうれしいです。タフなレースで、戦略を機能させるために常にプッシュしなければなりませんでしたが、こういうレースが僕は好きです。ハミルトンが後ろにいたときも、数周の間は彼を抑えることができたほどで、今日のペースは素晴らしいと思いました。僕はいつも日曜の決勝では強さがあるので、今日も朝から自信がありました。7位が見えていただけに、オコンを抜けなかったことには悔いが残ります。僕らのほうが速かったのですが、このコースでのオーバーテイクは、現代のF1マシンでは難しかったです。今日のドライビングには満足していますし、チームに貴重なポイントをもたらすことができました。マシンも、ペースもいいので、残りのシーズンでもプッシュし続け、願わくはチャンピオンシップでの順位を上げられればと思います」

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
「簡単なレースではありませんでした。いいスタートを切って7番手を走っていましたが、レース中盤でアレックス(・アルボン)とキミ(・ライコネン)と競っている際に多くの時間を失ってしまいました。 シャルル(・ルクレール)には抜かれてしまいましたが、僕もスピードはあったので、なんとか抜き返そうとしていました。もしもバーチャルセーフティーカーがもう少し長ければ、僕が行ったピットストップが有効だったと思うのですが、予想よりも短いタイミングで終えてしまったので、逆にポジションをロスしてしまいました。それでも、ポジションを取り戻すために何台かのマシンを抜くことができました。マシンがよかっただけに少し残念ですし、いいペースだったのでもう少しいい成績を残せたのではと思っています」

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
「今日は1ポイントを得るために多くの仕事をしなければならず、簡単なレースではありませんでした。序盤はハードタイヤを履いて集団の中での走行となり、なかなかオーバーテイクできずに大きくロスしてしまいました。ミディアムタイヤに交換してからは少しよくなったので、できるだけ順位を上げようと取り組みましたが、なかなか難しく、フラストレーションの溜まるレースでした。常にトラフィックの中にいてクリーンエアで走れず、一つもいいラップはありませんでした。ギアボックス交換のペナルティーを受けたので、今日はダメージを最小限に抑えるレースでしたから、すでに頭をドイツへと切り替えています。2週間後はもっとスムーズなレースウイークになればと思います」

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カテゴリー: F1 / ホンダF1 / レッドブル・レーシング / F1ロシアGP / スクーデリア・アルファタウリ