F1フランスGP:レッドブル・レーシング 決勝レポート
シーズン7勝目を飾ったマックス・フェルスタッペンが選手権リード拡大に成功し、セルジオ・ペレスが4位に入賞したポール・リカールでのレースをレッドブル・レーシングが振り返った。
タイトル争いのライバル、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が18周目に衝撃的なクラッシュを喫して戦列を去ったあと、マックス・フェルスタッペンが盤石のドライビングで今シーズン7勝目を挙げた。
レース終盤に導入されたVSCの解除後にジョージ・ラッセル(メルセデス)の不意打ちを受けたセルジオ・ペレスは4位に甘んじる結果となった。優勝したマックスに次ぐ2位にはルイス・ハミルトンが入り、メルセデス勢が2台揃って表彰台を飾った。
第12戦
レーススタートは、ポールシッターのルクレールが絶好の発進を見せ、マックスを2番手に抑えてホールショットを奪う。一方、3番グリッドからスタートしたチェコは動き出しが遅れ、スタート直後にハミルトンの先行を許す。後方ではラッセルがランド・ノリス(マクラーレン)をかわしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)を抑えてスタートポジションの4番手を守った。
ルクレールの背後について最初の数周を終えたマックスは、6周目の最後で攻撃を開始する。マックスはル・ボーセでアウトサイドに並びかけるが、ルクレールが巧みなライン取りでマックスを寄せ付けない。一方、その後方ではハミルトンがチェコの猛攻を凌いでいた。チェコは序盤5周でハミルトンに対してハードプッシュしたが、ハミルトンのマシンの後方乱気流を受けてタイヤがグリップに苦しみ始める。チェコはハミルトンとの間隔を空けてタイヤの摩耗をマネージし、次のムーブを練ることにした。
さらに後方では、パワーユニット交換ペナルティで19番グリッドからスタートしたカルロス・サインツ(フェラーリ)が集団の中で着実にポジションを上げつつあった。10周目には、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に続く12番手まで浮上する。
最初のスティントが進むにつれ、数周に渡りタイヤ摩耗をマネージしていたルクレールがマックスとの差を広げ始め、14周を終える頃にはマックスに対し1.4秒のギャップを築く。ハミルトンはマックスの約7秒後方で3番手をキープし、チェコはハミルトンとの差が3秒まで広がったものの、ラッセルの1.6秒前方で走行を続けた。
マックスは16周を終えて1回目のピットストップを行い、ハードタイヤへ交換。2.4秒で終えてノリスの後方7番手でコースに合流する。マックスはノリスがトリッキーなル・ボーセ・コーナーで大きく膨らんだところをかわしてすぐさま6番手へ浮上。
ところが、18周目のル・ボーセ通過中、ルクレールが突如としてリアのコントロールを失い、アンダーカットの潜在的な価値はなくなった。ルクレールは激しくスピンを喫し、そのままバリアに突っ込んでリタイヤとなった。
間髪入れずにセーフティカーが導入され、ハミルトンとチェコを含む多くのドライバーがピットイン。チェコの作業は5.6秒を要したが、ハミルトンがピットアウトする中、ハミルトンの後方でつかえていたラッセルの前に出ることに成功した。
セーフティカーが先導する中、マックスはハミルトンとチェコを従えて首位に立ち、4番手ラッセルの後方にはアロンソ、ノリス、サインツが続いた。セーフティカーが退去してレースが再開されると、サインツがすぐにムーブを仕掛ける。ギャップを消せたサインツはノリスとアロンソをかわすと、23周目にはラッセルの約2秒後方まで迫る。ところが、その後サインツはセーフティカー導入時のピットでアレックス・アルボン(ウィリアムズ)へのアンセーフ・リリースを問われ、5秒ペナルティを科されてしまう。
レースが折り返しを迎え、マックスはハミルトンを3.3秒差でリードし、チェコはハミルトンの1.4秒後方を走行。ラッセルはわずか0.5秒後方のサインツから激しいプレッシャーをかけられており、アロンソはノリスとリカルドを抑えて6番手をキープしていた。
サインツは30周目に仕掛け、ターン9の立ち上がりでラッセルの前に出る。サインツはラッセルをインサイドのラインに抑え込んだまま、シーニュ・コーナーのアウトサイドから楽々とかわしていった。これでサインツはチェコからわずか2.5秒後方の4番手に浮上。41周目にはチェコに接近し、またもシーニュでアタックを仕掛ける。チェコは頑として抵抗したが、ペースではるかに上回るサインツは最終コーナーでチェコをかわして3番手を奪った。
チェコは目に見えてタイヤのグリップ低下に苦しんでおり、ラッセルが差を詰めてオーバーテイクを試みる。チェコはターン8で巧みにラインを取ったが、ラッセルがインサイドからオーバーテイクを試みたため、コーナーカットを強いられてランオフを走らされる。チェコはサインツの後方でコースに復帰し、ラッセルの無線を介した抗議にもかかわらず4番手を維持する。
42周目にフェラーリがタイムペナルティ消化のためにサインツをピットへ呼び込み、新品のミディアムタイヤへ交換した隙にチェコが3番手へ復帰。サインツは9番手でコースに合流したが、すぐにポジションを挽回し、47周目にはアロンソをかわして5番手に上がり、ラッセルを22秒差で追いかける。
49周目、周冠宇(アルファロメオ)がターン5のランオフエリアでマシンを停め、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入されるとレースは振り出しに戻る。50周目を終えてVSCが解除されると、ラッセルがチェコに襲い掛かり、スピードデルタ内に留まるためにバックオフしていたチェコを楽々とかわした。
チェコも反撃を試みたが、ラッセルはラスト3周でチェコを寄せ付けずポジションキープに成功。マックスがキャリア27勝目となるチェッカーフラッグを受け、ハミルトン&ラッセルのメルセデス勢がそれぞれ2位・3位を獲得。チェコは4位フィニッシュとなった。
チェコの後方ではサインツがアロンソを抑えて5位でフィニッシュし、ノリスがエステバン・オコン(アルピーヌ)とダニエル・リカルド(マクラーレン)の前方7位でレースを終えた。最後の1ポイントとなる10位にはランス・ストロール(アストンマーティン)が入った。
マックス・フェルスタッペン
「スタートからペースは非常に良かったけれど、このサーキットで他のマシンを追いかけているとタイヤが激しくオーバーヒートしてしまうので、ムーブを仕掛けられなかった。それでも、冷静さを保ちながら接近し続けた。シャルル(ルクレール)にとっては非常に不運なレースだった。彼に怪我がなくて安心した。どちらのマシンもとても速かったので、かなり楽しめるレースになったはずだ。シャルルがリタイヤしたあとは、自分のレースとタイヤ管理に集中した。このサーキットはピットレーンがとても長いので、もう1度ピットストップすることはできなかった。今日は素晴らしい1日になったけれど、まだ多くのレースが待っているし、常に最大限のポイント獲得を目指していく。戦いはまだ終わっていない」
セルジオ・ペレス
「今日は難しいレースだった。速さが足りず、残念ながら表彰台を手に入れることができなかった。タイヤマネージメントに苦戦し、上手く対処するのは至難の業だった。ジョージ(ラッセル)とのバトルは接戦だったが楽しめた。ワンツーフィニッシュを願っていたけれど、メルセデス勢は非常に強力で、彼らをオーバーテイクするのは困難だった。これから分析すべき点がいくつかあるけれど、ハンガリーに向けてペースを挽回し、さらに強くなって戻ってきたい」
クリスチャン・ホーナー
「今日重要なのは、シャルル(ルクレール)が無事だったことだ。最初のスティントでのマックスとシャルルのバトルは見応えがあった。私たちは先手を打ち、アンダーカットを狙った。マックスは効果的なトラックポジションについていたので、私たちの戦略がどのように機能するか確認できなかったのは残念だ。きっと素晴らしいバトルになっていた。結果的にマックスの完勝になり、大量ポイントを獲得できた。チェコが表彰台に上がれなかったのは残念だ。VSC導入のタイミングが悪く、ソフトウェアのエラーでピットストップが長くなってしまった。これからもプッシュし続けながら、パフォーマンスを余すところなく引き出していきたい。多くの要因が絡んだが、今日はチームにとって重要な1日になった」
カテゴリー: F1 / F1フランスGP / レッドブル・レーシング
タイトル争いのライバル、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が18周目に衝撃的なクラッシュを喫して戦列を去ったあと、マックス・フェルスタッペンが盤石のドライビングで今シーズン7勝目を挙げた。
レース終盤に導入されたVSCの解除後にジョージ・ラッセル(メルセデス)の不意打ちを受けたセルジオ・ペレスは4位に甘んじる結果となった。優勝したマックスに次ぐ2位にはルイス・ハミルトンが入り、メルセデス勢が2台揃って表彰台を飾った。
第12戦
レーススタートは、ポールシッターのルクレールが絶好の発進を見せ、マックスを2番手に抑えてホールショットを奪う。一方、3番グリッドからスタートしたチェコは動き出しが遅れ、スタート直後にハミルトンの先行を許す。後方ではラッセルがランド・ノリス(マクラーレン)をかわしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)を抑えてスタートポジションの4番手を守った。
ルクレールの背後について最初の数周を終えたマックスは、6周目の最後で攻撃を開始する。マックスはル・ボーセでアウトサイドに並びかけるが、ルクレールが巧みなライン取りでマックスを寄せ付けない。一方、その後方ではハミルトンがチェコの猛攻を凌いでいた。チェコは序盤5周でハミルトンに対してハードプッシュしたが、ハミルトンのマシンの後方乱気流を受けてタイヤがグリップに苦しみ始める。チェコはハミルトンとの間隔を空けてタイヤの摩耗をマネージし、次のムーブを練ることにした。
さらに後方では、パワーユニット交換ペナルティで19番グリッドからスタートしたカルロス・サインツ(フェラーリ)が集団の中で着実にポジションを上げつつあった。10周目には、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)に続く12番手まで浮上する。
最初のスティントが進むにつれ、数周に渡りタイヤ摩耗をマネージしていたルクレールがマックスとの差を広げ始め、14周を終える頃にはマックスに対し1.4秒のギャップを築く。ハミルトンはマックスの約7秒後方で3番手をキープし、チェコはハミルトンとの差が3秒まで広がったものの、ラッセルの1.6秒前方で走行を続けた。
マックスは16周を終えて1回目のピットストップを行い、ハードタイヤへ交換。2.4秒で終えてノリスの後方7番手でコースに合流する。マックスはノリスがトリッキーなル・ボーセ・コーナーで大きく膨らんだところをかわしてすぐさま6番手へ浮上。
ところが、18周目のル・ボーセ通過中、ルクレールが突如としてリアのコントロールを失い、アンダーカットの潜在的な価値はなくなった。ルクレールは激しくスピンを喫し、そのままバリアに突っ込んでリタイヤとなった。
間髪入れずにセーフティカーが導入され、ハミルトンとチェコを含む多くのドライバーがピットイン。チェコの作業は5.6秒を要したが、ハミルトンがピットアウトする中、ハミルトンの後方でつかえていたラッセルの前に出ることに成功した。
セーフティカーが先導する中、マックスはハミルトンとチェコを従えて首位に立ち、4番手ラッセルの後方にはアロンソ、ノリス、サインツが続いた。セーフティカーが退去してレースが再開されると、サインツがすぐにムーブを仕掛ける。ギャップを消せたサインツはノリスとアロンソをかわすと、23周目にはラッセルの約2秒後方まで迫る。ところが、その後サインツはセーフティカー導入時のピットでアレックス・アルボン(ウィリアムズ)へのアンセーフ・リリースを問われ、5秒ペナルティを科されてしまう。
レースが折り返しを迎え、マックスはハミルトンを3.3秒差でリードし、チェコはハミルトンの1.4秒後方を走行。ラッセルはわずか0.5秒後方のサインツから激しいプレッシャーをかけられており、アロンソはノリスとリカルドを抑えて6番手をキープしていた。
サインツは30周目に仕掛け、ターン9の立ち上がりでラッセルの前に出る。サインツはラッセルをインサイドのラインに抑え込んだまま、シーニュ・コーナーのアウトサイドから楽々とかわしていった。これでサインツはチェコからわずか2.5秒後方の4番手に浮上。41周目にはチェコに接近し、またもシーニュでアタックを仕掛ける。チェコは頑として抵抗したが、ペースではるかに上回るサインツは最終コーナーでチェコをかわして3番手を奪った。
チェコは目に見えてタイヤのグリップ低下に苦しんでおり、ラッセルが差を詰めてオーバーテイクを試みる。チェコはターン8で巧みにラインを取ったが、ラッセルがインサイドからオーバーテイクを試みたため、コーナーカットを強いられてランオフを走らされる。チェコはサインツの後方でコースに復帰し、ラッセルの無線を介した抗議にもかかわらず4番手を維持する。
42周目にフェラーリがタイムペナルティ消化のためにサインツをピットへ呼び込み、新品のミディアムタイヤへ交換した隙にチェコが3番手へ復帰。サインツは9番手でコースに合流したが、すぐにポジションを挽回し、47周目にはアロンソをかわして5番手に上がり、ラッセルを22秒差で追いかける。
49周目、周冠宇(アルファロメオ)がターン5のランオフエリアでマシンを停め、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入されるとレースは振り出しに戻る。50周目を終えてVSCが解除されると、ラッセルがチェコに襲い掛かり、スピードデルタ内に留まるためにバックオフしていたチェコを楽々とかわした。
チェコも反撃を試みたが、ラッセルはラスト3周でチェコを寄せ付けずポジションキープに成功。マックスがキャリア27勝目となるチェッカーフラッグを受け、ハミルトン&ラッセルのメルセデス勢がそれぞれ2位・3位を獲得。チェコは4位フィニッシュとなった。
チェコの後方ではサインツがアロンソを抑えて5位でフィニッシュし、ノリスがエステバン・オコン(アルピーヌ)とダニエル・リカルド(マクラーレン)の前方7位でレースを終えた。最後の1ポイントとなる10位にはランス・ストロール(アストンマーティン)が入った。
マックス・フェルスタッペン
「スタートからペースは非常に良かったけれど、このサーキットで他のマシンを追いかけているとタイヤが激しくオーバーヒートしてしまうので、ムーブを仕掛けられなかった。それでも、冷静さを保ちながら接近し続けた。シャルル(ルクレール)にとっては非常に不運なレースだった。彼に怪我がなくて安心した。どちらのマシンもとても速かったので、かなり楽しめるレースになったはずだ。シャルルがリタイヤしたあとは、自分のレースとタイヤ管理に集中した。このサーキットはピットレーンがとても長いので、もう1度ピットストップすることはできなかった。今日は素晴らしい1日になったけれど、まだ多くのレースが待っているし、常に最大限のポイント獲得を目指していく。戦いはまだ終わっていない」
セルジオ・ペレス
「今日は難しいレースだった。速さが足りず、残念ながら表彰台を手に入れることができなかった。タイヤマネージメントに苦戦し、上手く対処するのは至難の業だった。ジョージ(ラッセル)とのバトルは接戦だったが楽しめた。ワンツーフィニッシュを願っていたけれど、メルセデス勢は非常に強力で、彼らをオーバーテイクするのは困難だった。これから分析すべき点がいくつかあるけれど、ハンガリーに向けてペースを挽回し、さらに強くなって戻ってきたい」
クリスチャン・ホーナー
「今日重要なのは、シャルル(ルクレール)が無事だったことだ。最初のスティントでのマックスとシャルルのバトルは見応えがあった。私たちは先手を打ち、アンダーカットを狙った。マックスは効果的なトラックポジションについていたので、私たちの戦略がどのように機能するか確認できなかったのは残念だ。きっと素晴らしいバトルになっていた。結果的にマックスの完勝になり、大量ポイントを獲得できた。チェコが表彰台に上がれなかったのは残念だ。VSC導入のタイミングが悪く、ソフトウェアのエラーでピットストップが長くなってしまった。これからもプッシュし続けながら、パフォーマンスを余すところなく引き出していきたい。多くの要因が絡んだが、今日はチームにとって重要な1日になった」
カテゴリー: F1 / F1フランスGP / レッドブル・レーシング