2025年のF1世界選手権:レギュレーションの10の変更点

新しいF1シーズンは今週末のオーストラリアグランプリで開幕するが、新シーズンに向けてルールにいくつかの重要な変更が加えられている。
メルボルンでの最初のレースを前に、主なルール変更を見てみよう。
1.ファステストでのポイント獲得なし
トップ10以内でフィニッシュし、ファステストを記録したドライバーには、もはや追加の選手権ポイントは与えられない。この決定は、おそらく2024年のシンガポールグランプリでランド・ノリスからファステストを奪おうとダニエル・リカルドが最後の最後まで奮闘したことが原因である。レーシングブルズのドライバーとして最後尾からスタートしたリカルドが、ノリスからファステストの座を奪った。たった1ポイントではあるが、タイトな選手権争いの中、レッドブルが戦略的に姉妹チームを使ってライバルのファステスト獲得を阻止する可能性があると感じた者もいた。
2.フレキシブルウイングの取り締まり
フレキシブルなフロントウイングとリアウイングは、昨シーズン中盤から大きな話題となっている。アゼルバイジャンGPで注目されたマクラーレンのフレキシブルなリアウイングは、F1パドック全体の注目を集めた。第9戦スペインGPからはフロントウイングに対するより厳しいテストが課され、競争の秩序が揺らぐ可能性もある。
3.ドライバーの冷却対策
2023年のカタールグランプリでドライバーたちが経験したうだるような暑さにより、FIAは専門の冷却ベストを導入することを余儀なくされた。気温が31℃に達すると「熱中症の危険性」の警告が発せられ、ドライバーは新しい冷却ベストを着用するオプションが与えられる。2025年には、これはオプションのままであるが、来年には義務化される可能性が高い。
4.ルーキーのトラックタイム増加
2025年のF1公式プラクティスセッションでは、ルーキーに多くのトラックタイムが与えられる。今年までは、全10チームがルーキーをシーズン中に2回走らせることが義務付けられていた。2025年にはこれが倍増し、各チームはルーキーを1台あたり2回走らせることが許可される。アルピーヌ、メルセデス、ザウバー、レーシングブルズにとっては、2回以下のスタートのルーキーを走らせることで義務の半分を満たすことになる。
5.モナコGPの大幅な変更
今年最大の変更点のひとつは、モナコグランプリだ。20人のドライバー全員が、78周のレース中に2回のピットストップを行わなければならない。これは、モンテカルロでのレースが単調になり過ぎているという懸念から、レースを盛り上げるポテンシャルを秘めている。

6.悪態をつくと厳しいペナルティ
今シーズン最も物議を醸したルール変更のひとつが、汚い言葉を使った場合の厳しいペナルティだ。これはすべてのFIAレースシリーズに適用される。ラリードライバーのアドリアン・フォーモーは、テレビインタビュー中にFワードを使ったとして罰金を科せられた。
7.無制限のギアボックス
FIAは、チームが使用できるギアボックスコンポーネントの制限を撤廃した。つまり、ギアボックスコンポーネントの使用制限を超えてもペナルティはないということだ。以前は、ドライバーが「プール」のギアボックスの枠を超えた場合、5グリッド降格ペナルティが科せられていた。
8.予選の分類
2024年のサンパウログランプリでは、予選が実施できるかどうか危ぶまれるほどの悪条件の中、予選が実施できない場合は、ドライバーズ選手権の順位でレースのグリッドが決定されることがFIAによって決定された。この新しいルールはスプリントレースにも適用される。
9.TPCテストの微調整
2025年には、全10チームがTPC(旧型マシンのテスト)を利用できる。現行のドライバーは、今年4日間で2,000マイルの走行が許可されている。チームは2025年に最大20回のTPC走行をスケジュールできる。
10.ポストシーズンテストの詳細
シーズン末のアブダビテストは、2026年の新ルールに先駆けて、若干の変更が加えられた。チームは「ミュールカー」を走らせることができる。これは2026年のレギュレーションを再現した改造車である。テストに若手ドライバーを起用するという要素は、これまで通り継続される。
カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)