F1の“60:40構想”は2028年へ延期? 2027年はレース短縮含む妥協案を議論
FIA(国際自動車連盟)が推進する2027年以降のF1パワーユニット規則見直しについて、早くも“妥協案”が議論されているようだ。2028年から内燃機関と電力の比率を「60:40」に変更する構想は維持しつつも、2027年はより穏やかな変更にとどめる方向で調整が進んでいるという。

当初FIAは、2027年から燃料流量を増加させる一方で電動比率を引き下げ、現在の“50:50”構造を見直す方針を示していた。

しかし、各PUメーカーやチーム側には依然として慎重論が強く、最終合意には至っていない状況だ。

メルセデスとレッドブルのみが支持
FIAは5月8日の会合後、「FIA、FOM、チーム、PUメーカー間で合意に達した」と説明していたが、その後の協議では足並みの乱れが表面化している。

現時点で変更案を支持しているのはメルセデスとレッドブルのみとされる。一方、フェラーリはADUOシステムとの整合性を理由に懸念を示しており、アウディもコスト面から疑問視しているという。

さらにAuto Motor und Sportによれば、PUメーカーだけでなく各チーム側も強い警戒感を抱いている。燃料流量を大幅に増やした場合、燃料タンク容量や冷却設計の変更が必要となり、新たなシャシー開発が避けられない可能性があるためだ。

特に複数チームは、2026年用シャシーをベースに2027年も継続使用する前提で計画を立てていたとされ、追加コストは数百万ドル規模に達する可能性も指摘されている。

2027年は“中間案”で着地か
こうした反発を受け、FIAはすでに段階的な妥協案を協議テーブルに提示しているという。

その案では、2027年は燃料流量の増加を“限定的”な範囲に抑え、既存シャシーや燃料タンクを大幅変更せずに済む仕様とする一方、レース距離を数周短縮することでエネルギーマネジメント問題を緩和する方向が検討されている。

そして2028年から、本来FIAが目指していた「60:40」構成へ完全移行する二段階方式が有力視されている。

“V10回帰”議論とも絡むFIAの思惑
今回の議論の背景には、モハメド・ビン・スライエムFIA会長が進める“内燃機関回帰”の流れもある。

FIA内部では将来的なV8・V10エンジン復活構想も取り沙汰されており、2026年レギュレーションで強化された電動依存を早期に修正したい思惑が透けて見える。

ただし現実には、PUメーカーごとの開発状況や投資額の差が大きく、政治的な駆け引きはさらに激化している。今回浮上した“段階的妥協案”は、そうした対立を回避しながら次世代F1の方向性を探る現実路線とも言えそうだ。

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カテゴリー: F1 / FIA(国際自動車連盟)