ブリヂストン F1 トルコGP
ブリヂストンの浜島裕英が、2009年のF1第7戦 トルコGPの展望をタイヤサプライヤーの立場から語った。

ブリヂストンは、この粗いインサンブールパーク・サーキット用に初めてソフトコンパウンドを投入し、これまで同サーキットで使用してきたハードコンパウンドと共に、難しく起伏の大きなこのコースに挑む。

トルコGPの舞台は今シーズン初めての反時計回りに進行するサーキットである。ヘルマン・ティルケが設計した全長5.34kmのこのコースには、あらゆるタイプのコーナーが混在し、タイヤに大きな負荷がかかる。

コース最大の難関はターン8である。3つの頂点で構成されるこの長い左カーブでは、特に右フロントタイヤに大きな負荷がかかる。コース全体で平坦な場所はわずかで、そのほとんどに高低差があり、ドライバーは本物のジェットコースターに乗っているかのようだ。

スタート・フィニッシュ・ラインがあるストレートに抜ける最終コーナーも、各チームにとって戦略を練る必要がある場所である。このターン12からターン14は、左カーブ、右カーブ、左カーブで構成されるコース最低速区間で、そのまま最高速のストレートに続いていく。タイヤのグレイニングを誘発しやすい場所であり、チームとドライバーは、グランプリ開始直後の、特にまだゴムがのっていない汚れたコース上で走行する時に、グレイニングを最小限に抑えるよう注意を払うことが必要になる。

昨年のトルコGPでは、ポールポジションからスタートしたフェリペ・マッサ(フェラーリ)が、「ミディアム‐ミディアム‐ハード」のタイヤ戦略でシーズン2勝目となる優勝を果たした。

浜島裕英 (ブリヂストンMS・MCタイヤ開発本部長)
トルコの課題は何か?
「イスタンブールは多種多様なコーナーの混在する、マシン・セットアップとタイヤポテンシャルの十分な活用が難しいコースです。このコースには高速セクションがあり、ハードブレーキングも必要になります。この二つの要素によってタイヤは大きなエネルギーを受けるため、摩耗とグリップダウンを警戒する必要があるでしょう。このサーキットはタイヤに厳しいコースであり、また大多数のサーキットとは異なる反時計回りに進むコースなので、ドライバーにとっても難しいレースになります」

難所のターン8でタイヤをどのように対応させるのか?
「ターン8は難しいコーナーです。私たちは過去に経験してきた問題からこのコーナーについては多くのことを学んできました。今シーズン私たちはスリックタイヤを使用していますが、溝付きタイヤよりもスリックタイヤのほうが本来トレッドは丈夫なのです。それに加えて、これまで集めてきたデータを利用してタイヤを開発しましたので、大きな問題はないと予想しています。しかし、ターン8はシーズンを通じて最も大きなGフォースが発生するコーナーなので、常に警戒を怠らないようにしています」

浜島裕英のF1 トルコGP 解説
トルコもタイヤに厳しいコースです。いちばんキモになるコーナーは左に回り込んでいく複合コーナーのターン8。長時間強いGフォースがかかるこのコーナーは、富士スピードウェイの100Rと並んでタイヤとドライバーに最も厳しいコーナーですね。手前にシケインを造って欲しいくらいで……。いったい誰が造ったコーナーかは知りませんが、タイヤ屋としては好きじゃありません(笑)。ところがここで連勝しているドライバーがいるんですよね。なぜかな?と思うんですが、インテルラゴスでも勝っているところをみるとマッサは左回りが得意なのかもしれません。ターン8だけ取り上げればハミルトンも速いのですが、あまりフロントタイヤに力をかけすぎると、スティント後半までにリヤタイヤがボロボロになるかもしれませんし、スピンの可能性もあります。タイヤマネージメントが重要になるサーキットですね。

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カテゴリー: F1 / ブリヂストン