アストンマーティンF1親会社 商標訴訟で敗訴 ウイングロゴは独占できず
アストンマーティンF1チームの親会社であるアストンマーティン・ラゴンダは、中国の自動車大手ジーリー(浙江吉利控股集団)との商標紛争を巡り、ロンドン高等法院に控訴した。

この訴訟は2022年に始まり、ジーリーが英国で出願した“ウイング形状ロゴ”に対し、アストンマーティン側が異議を申し立てたことが発端となっている。しかし2026年3月、英知的財産当局はアストンマーティンの主張を退け、同社に対して2,200ポンドの費用負担を命じていた。

争点は“ウイングロゴ”の類似性
今回の争点は、ジーリーが出願したロゴがアストンマーティンの象徴である“ウイングバッジ”の権利を侵害するかどうかにあった。

アストンマーティン側は、自社の商標が持つ識別力とブランド価値を根拠に「混同の可能性」や「ブランド価値の毀損」を主張したが、審理では自動車業界において“翼モチーフ”が広く使われている点が重視された。

実際、審決ではベントレーやミニなど複数ブランドが同様のウイングロゴを採用していることが指摘され、市場全体として「ウイングデザインは一般的」と判断されている

高価格帯でも“混同なし”と判断
さらに重要なのは、対象商品が自動車という高額商品である点だ。

判決では、消費者は購入時に「高い注意力」を払うと認定されており、ロゴの違い(中央の文字や図柄の差異)は十分に認識されるとされた。その結果、たとえ商品が同一カテゴリーであっても「直接的・間接的な混同は生じない」と結論付けられている

また、アストンマーティンのブランド自体は強い識別力と評判を持つと認められたものの、その中核は「ASTON MARTIN」という文字要素にあるとされ、翼形状単体の保護範囲は限定的と判断された。

訴訟の帰結と控訴の意味
最終的に審決は、商標法第5条(混同)および第5条3項(評判利用)いずれの主張も退け、ジーリー側の商標登録を認める判断となった。

これによりアストンマーティンは敗訴し、費用負担も命じられたが、英国法の手続きに基づき控訴が可能であり、今回その権利を行使した形となる。

同社はコメントを控えつつも、「ブランドと知的財産の保護は最優先事項であり、適切な措置を取り続ける」との声明を出している。

F1チームへの影響は限定的だがブランド戦略の象徴的争い
今回の訴訟は直接的にF1の競技活動へ影響するものではないが、ブランド価値を巡る戦いとしては重要な意味を持つ。

特に2026年以降、電動化や新興メーカーの参入が進む中で、ロゴやブランドアイデンティティの差別化はこれまで以上に重要になっている。そうした状況において、“ウイングロゴは独占できない”という今回の判断は、自動車業界全体にとっても示唆的な結論と言える。

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カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム