角田裕毅 F1アメリカGPの勝者に選出「レースペースは見事だった」

スプリントでは11ポジションを上げて7位に入り、決勝でも6つ順位を上げて再び7位フィニッシュ。近3戦で合計16ポイントを獲得し、レッドブル移籍後に確かな進歩を示したとして称賛を集めた。
マックス・フェルスタッペンがオースティンで圧巻の週末パフォーマンスを披露し、ドライバーズ選手権でマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリスを追い詰め続けた。しかし、オランダ人ドライバーとレッドブルにとってシーズン残り5戦に向けて期待が高まる一方で、多くのライバルたちは気分を一新するためメキシコへ逃げ出したい気持ちかもしれない。ここではローレンス・バレットがF1アメリカGPの勝者と敗者を振り返る。
勝者:マックス・フェルスタッペン
マックス・フェルスタッペンはいままさに人生最高の状態にある。グランプリでの勝利は、スプリントでのポールポジションからの見事な勝利に続くものであり、過去5戦で獲得可能な133ポイント中119ポイントを記録した。
6戦前のハンガリーではレース勝者から72秒遅れでフィニッシュしていた28歳のフェルスタッペンだが、わずか4戦で選手権首位のピアストリとの差を104ポイントから40ポイントにまで縮めた。残りは5戦で、そのうち2戦はスプリント開催だ。
彼の通算122回目の表彰台は、4度の王者セバスチャン・ベッテルに並び歴代3位となった。また、今季5回目の連続表彰台であり、開幕からの14戦で5回しか表彰台に上がれなかった頃と比べても勢いは明白だ。
フェルスタッペンは勢いに乗っており、直近4戦で3勝を挙げている。チャンピオンシップはまさに「再び勝負の時」だ。

敗者:オスカー・ピアストリ
選手権リーダーのオスカー・ピアストリにとって、オースティンでの週末は全体的に苦戦だった。マクラーレンのチームメイトであるノリスに対して終始わずかに遅れを取り、ライバルのフェルスタッペンにはまったく歯が立たなかった。
スプリントではニコ・ヒュルケンベルグに接触されノリスを巻き込みながらリタイア。グランプリでは6番グリッドから5位に終わった。
その結果、ピアストリはノリスとフェルスタッペンの両者にリードを削られ、3戦連続で表彰台なし(その間の獲得ポイントはわずか22)となった。
「僕のメンタリティは変わっていないし、今後も変わることはないよ。毎週末ベストを尽くせば、結果は自然とついてくる」とピアストリは語った。
とはいえ、彼が厳しい状況に立たされているのは間違いない。
勝者:ランド・ノリス
ランド・ノリスにとっても理想的な週末ではなかった。特にスプリントのターン1でリタイアしたことは痛手だった。
それでも、グランプリではシャルル・ルクレールにスタートで先行された後、見事に巻き返して2位を獲得。ピアストリとの差を8ポイント縮め、選手権差を14ポイントに詰めた。
4戦連続でピアストリの前でフィニッシュしており、今季15回目の表彰台(2025年シーズン最多)はチームメイトへのプレッシャーを一層強めている。

敗者:ウィリアムズ
ウィリアムズはスプリントでは最高の瞬間を迎えた。カルロス・サインツがチーム史上最高のスプリント結果となる3位を獲得し、アレクサンダー・アルボンも6位でダブル入賞を果たした。
しかし、日曜は悪夢だった。サインツはキミ・アントネッリと接触して大きくダメージを負い、8番手を走行中にリタイア。さらにメキシコでは5グリッド降格ペナルティを科されることとなった。
アルボンは1周目でスピンしポイント圏外へ。夏休み前のハンガリー以来初めて、グランプリでノーポイントに終わった。
勝者:フェラーリ
フェラーリはオーストリア以来となる好成績をオースティンで記録した。スプリントで4位と5位、グランプリでは表彰台と4位という結果を残した。
グランプリではシャルル・ルクレールが主導権を握り、ソフトタイヤでスタート。3番グリッドからスタートし、チェッカーでは3位を守り切った。
これは6戦ぶりの表彰台であり、チームメイトのルイス・ハミルトンも今季加入後最高の4位フィニッシュを達成。シルバーストン以来となる好結果で、フェラーリ加入後最も競争力を見せた週末だったと言える。
この大量ポイント獲得により、コンストラクターズ選手権での2位争いが再燃。メルセデスとの差はわずか7ポイントに縮まった。

敗者:キミ・アントネッリ
スプリントではスタート直後の遅れを挽回し、最終ラップで8位に入り1ポイントを獲得した。
しかしグランプリでは、サインツにスピンさせられる不運に見舞われた。スピンする前はメルセデスのチームメイト、ジョージ・ラッセルの後ろで7番手を走っていたが、これで3戦連続ポイント獲得の流れが途絶えた。
それでも、速さの片鱗を見せただけに、悔しい結果となった。
勝者:ニコ・ヒュルケンベルグ
スプリントでは“ヒーローからゼロへ”と明暗を分けたヒュルケンベルグ。予選で4番手につけたが、1周目の接触で13位に沈んだ。
グランプリではQ3入りをわずかに逃したものの、11番手スタートから堅実な走りを見せ、サインツとアントネッリの接触の隙を突いて最終的に8位フィニッシュ。
オースティンでは2年連続の8位で、シルバーストン以来のポイント獲得となった。これでドライバーズ選手権では9位に浮上した。

敗者:レーシングブルズ
レーシングブルズのリアム・ローソンとアイザック・ハジャーは、COTAでマシンの速さを感じていたが、アメリカを去る時には手ぶらとなった。
ハジャーは予選でクラッシュを喫して後方スタートを強いられ、レースでは挽回できず。ローソンは12番手スタートから11位まで上げたが、あと一歩でポイントに届かず。2戦連続のノーポイントに終わった。
勝者:オリバー・ベアマン
今季最も印象的なレースのひとつだった。ハースのオリバー・ベアマンは、スプリントでトラックリミット違反により10秒ペナルティを受け、獲得目前だったポイントを逃したが、気持ちを切り替えた。
2回目の予選でもトップ10入りを果たし、今回はそれをP9で見事にフィニッシュへと結びつけた。角田裕毅とのバトルで一時スピンしたが、それでも2戦連続ポイント獲得を確実にした。

敗者:アルピーヌ
オースティンの週末を通じて、アルピーヌはここ最近よりはやや競争力を見せた場面もあった。ピエール・ガスリーはスプリントで13番手、グランプリ予選で14番手に入った。
しかし、レースではライバル勢に太刀打ちできず、6戦連続のノーポイントとなった。これでチームの年間ポイントは20のまま。次点のハースとは28ポイント差がついている。
勝者:角田裕毅
角田裕毅はスプリント、グランプリともに予選でQ3進出を逃したが、レースペースは見事だった。
スプリントでは11ポジションを上げて7位。グランプリでも6つ順位を上げて再び7位フィニッシュ。直近3戦で16ポイントを獲得しており、開幕16戦での12ポイントを大きく上回る成果を挙げた。
この上向きの流れは、来季もレッドブルに関わるシートを維持するうえで明るい材料となるだろう。
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