角田裕毅、F1ドライバー市場で再び「アクティブな存在」に

レッドブルでの角田裕毅の結果は、数字だけを見れば決して説得力のあるものではなく、最終的にその評価が不利に働いた形だ。
しかし、ローラン・メキースのチーム内部、そしてパドックの外部でも、角田裕毅が最初から厳しい戦いを強いられていたという認識は共有されている。
彼に与えられていたマシンは、一貫してマックス・フェルスタッペンの1号車よりも遅い仕様だったため、純粋な比較そのものが困難だった。
コストキャップの制約もあり、レッドブルは限られた予算をフェルスタッペン用のアップグレードに集中させ、角田裕毅のために新しいパーツを製造することを優先しなかった。
こうした重要な前提条件がパドック内で広く認識されていることもあり、角田裕毅のドライバーとしての市場価値は、いまなお高い水準にある。
一度は閉ざされた交渉が再浮上する可能性
2024年初頭の段階では、レッドブルはセルジオ・ペレスの後任を急いで探す状況にはなかった。オーストリアのチームは、成績が低下していたにもかかわらず、6月にペレスと複数年契約を結んでいる。
その数か月後になって、ようやくペレスの立場が危ういものだと明らかになったが、当時のチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、角田裕毅をマックス・フェルスタッペンの隣に座る現実的な候補とは見なしていなかった。
このため、2023年から2024年にかけて複数のチームメイトを上回る成績を残していたにもかかわらず、角田裕毅はリアム・ローソンに次ぐ選択肢とされ、レッドブルのセカンドシートを逃すことになる。
2025年初頭に行われた角田裕毅とローソンの入れ替えは、率直に言えば、極めて困難な状況を立て直そうとする土壇場の試みだった。テストなしで、扱いが難しいことで知られるマシンを駆り、フェルスタッペンと対峙するという任務は、ほぼ不可能に近かった。
さらに追い打ちをかけたのが、イモラでのクラッシュ後の状況だ。22号車に用意できたのは、旧型で遅い仕様のパーツのみだった。
レッドブルの意思決定層から高く評価されていないことを自覚していた角田裕毅は、2024年初頭の段階で、ミルトンキーンズ以外の選択肢を検討していた。
当時、直近のチームメイトを上回るパフォーマンスを見せていた彼には、複数の関心が寄せられていた。
ザウバーが角田裕毅に接触していたと理解されており、ハースF1チームもまた、彼の獲得に強い関心を示していた。
しかし25歳の角田裕毅にとって不運だったのは、レッドブルが契約オプションを行使し、2025年シーズン序盤もVCARBに留めたことだ。この決定により、彼は移籍という選択肢を事実上封じられてしまった。
それでも、レッドブル以外にも選択肢が存在していたという事実は重要だ。今年のドライバー市場は極めて予測不能であり、角田裕毅の前に、再び新たな扉が開く可能性は十分に残されている。

チャンスの年
一見すると、角田裕毅がF1グリッドに復帰する道筋を描くのは難しく見える。しかし詳しく見ていくと、25歳の角田裕毅にとって、2027年に現実的な行き先が存在することが分かる。
前述の通り、ハースF1チームは2025年シーズンに向けて角田裕毅の獲得を検討していたチームのひとつだった。日本人ドライバーが利用不可能になった段階で、チーム代表の小松礼雄はエステバン・オコンとの契約に動いた。
それでも、小松礼雄が角田裕毅の能力を高く評価していることは理解されている。
2027年に角田裕毅を獲得する可能性について問われた小松礼雄は、その可能性を否定しなかった。
「彼の将来についてはコメントできません。もちろん、彼は我々のドライバーではありません」と小松礼雄はMotorsport Weekに語った。
「2027年の話ですか? 我々はまず、ドライバーとともに2026年に集中しなければなりません。しかも、完全に新しいレギュレーションになります」
「ほとんどのドライバーは、2024年に契約を結んだ時点でそれを分かっていたと思います。彼らは2026年がどうなるかを見極めたうえで、2027年により良いチームを選びたかったはずです」
「だからこそ、27年のドライバーマーケットは非常にオープンになると思います」
当然ながら、小松礼雄は目前に迫る2026年シーズンに向けて、現在のドライバーラインアップに集中している。
それでも、2027年を前にしてハースF1チームに1つ、あるいは2つのシートが空く可能性は十分にある。今年のフェラーリのパフォーマンス次第では、少なくとも現在のドライバーのうち1人がチームを離れる可能性があるからだ。
仮にそうなった場合、オリバー・ベアマンがマラネロのチームに昇格する最有力候補となる。イギリス人ドライバーはフェラーリ内で高く評価されており、将来に向けた重要な戦力と見なされている。
一方で、オコンは自身の市場価値を高める必要に迫られている。実は角田裕毅にアプローチする以前、小松礼雄が2025年に向けて最優先で考えていたのは、ニコ・ヒュルケンベルグを引き留めることだった。
ヒュルケンベルグとベアマンのラインアップこそが、38歳のドライバーがザウバーと契約する前にハースF1チームが最も望んでいた組み合わせだった。
つまり第一候補ではなかったオコンは、より良いシーズンを送る必要があるということになる。昨年のオコンは、特に夏休み以降、ルーキーのチームメイトに対して数歩遅れを取っていた。
今年もベアマンがフランス人ドライバーを上回る走りを続ければ、オコンの市場価値はさらに下がり、ハースF1チームとの交渉における角田裕毅の立場は強まることになる。
なお、ホンダはトヨタの影響力が拡大している状況であっても、角田裕毅がアメリカのチームに加入することを妨げない姿勢を示している。
そのため、ハースF1チームは2027年に向けて、レッドブルのリザーブである角田裕毅にとって現実的な選択肢となり得る存在だ。
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