F1アメリカGPでリシャール・ミル窃盗団逮捕 犯行は“転倒トリック”

被害者は前日にこの手口で襲われ、リシャール・ミルの腕時計を奪われていたが、翌日サーキットで同じ女性が再び“転倒”を装って別の人物に近づくのを発見。
すぐに注意を呼びかけ、その場にいた男性が犯人の女を取り押さえた。警察が駆けつけ、女を現行犯逮捕。捜索令状に基づき、犯行に関わった他のメンバーもレンタル住宅で拘束された。
テキサス州トラヴィス郡の裁判所文書によると、「グループは高級時計を身につけた裕福な個人を標的にしていた」と記されており、窃盗されたリシャール・ミルの時計はいずれも数十万ドル(数千万円)相当だったという。元連邦捜査官で民間調査員のマーク・ギレスピー氏はKxanの取材に対し、「彼らは群れで動く。非常に組織的で、高度に訓練された犯行だ」と語った。
過去にもF1関係者が被害に──ノリス、ルクレール、サインツら
リシャール・ミルはF1ドライバーの間でも人気が高く、これまでも複数のF1関係者が標的となっている。
マクラーレンのランド・ノリスは2021年、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われたサッカーのユーロ決勝後に襲撃され、67-02モデルの腕時計を奪われた。2人組の犯人にヘッドロックをかけられ、腕から時計をもぎ取られるという暴行被害だった。事件は裁判に持ち込まれたが、最終的に被告は無罪となった。
また、2022年にはシャルル・ルクレールがイタリア・ヴィアレッジョで280万ドルのリシャール・ミルを奪われ、2023年にはカルロス・サインツがミラノで50万ドル相当の時計を盗まれた。しかしサインツは護衛と通行人の協力で犯人を追跡し、現場で取り押さえて警察に引き渡している。
バーニー・エクレストンの“黒眼広告”も話題に
2010年には、元F1最高責任者のバーニー・エクレストンもロンドンで強盗に襲われ、ウブロの腕時計を奪われた際に顔面骨折と黒眼の重傷を負った。
しかしエクレストンはこの事件を逆手に取り、負傷した顔の写真をウブロのCEOに送り「人々がウブロを手に入れるために何をするか見てほしい」とメッセージを添えた。これがそのまま広告キャンペーンに採用され、ウブロは250万ユーロを支払って“現実の傷”を利用した前代未聞の広告を展開した。

分析:F1サーキットは“高級ブランド”の狩場に
F1は世界でも有数の富裕層が集うイベントであり、リシャール・ミルのような超高級ブランドを身につける観客が多い。とくにパドックやVIPエリアでは、時計やジュエリーが一目で価値を示す“ステータスシンボル”となっており、犯罪グループの標的になりやすい。
今回の事件は、F1が持つ華やかさの裏側に潜むリスクを浮き彫りにした。今後は大会主催者や警察によるセキュリティ体制の強化とともに、ファン自身が高額品を控えめに扱う“自己防衛意識”も求められる。
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