アルファタウリ・ホンダF1のTDが解説する2022年の次世代F1マシン
アルファタウリ・ホンダF1のテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンが、2022年にいよいよ導入される新世代のF1マシン、そして、新しいルールがどのようなな意味を持つのかを語った。
F1イギリスGPを控えた7月15日(木)、F1はシルバーストンで『F1 One Begins』と題した発表イベントを開催し、2022年のレギュレーションに沿った「F1史上もっと未来的なレーシングカー」と評した実物大の次世代F1マシンを披露した。
次世代の2022年F1マシンは、グラウンドエフェクト技術が復活する。このコンセプトは、特に先行するマシンをより密接に追従できるように良いレースを生み出すことを目的としており、次世代F1マシンは洗練されていないフロントウィングとリアウィング、シンプルなサイドポッドとバージボード、よりシンプルな形状のフロア、オーバーウィングウィングレット、薄型のピレリタイヤを備えた18インチホイールを備えたすっきりとしたデザインを特徴としている。
前をゆくマシンにより接近して走ることができる、それによりオーバーテイクの機会も増加する、というのが新ルールの狙いとなります。狙い通りに機能すると思いますか?
エアロダイナミクス面での改革によりオーバーテイクを増やそう、というのが今回の新レギュレーションの一番の目的です。F1運営側によって示された数字によれば、マシンの背後で発生するタービュランスを減少し、背後を走るクルマのダウンフォースに現行ルール下ほどの影響を及ぼさないとされています。うまく機能するのではないかと期待しています。
ショーモデルで見て取れるようにとても華やかなマシンです。マシンの美しさ、というのも重要な要素だったのでしょうか?
自動車産業でのマーケティングにおいて多大な影響力を持つF1です。当然ながら美しさというのも重要です。この新レギュレーションが生み出す美しいマシンが今後ビジネス面でさらに大きな機会をもたらすことだろうと考えています。エアロダイナミクスのリニューアルと大型化されたホイール、このパッケージが2022年のマシンを大きく異なるものにしている要素ですね。
スクーデリア・アルファタウリはいつ頃から2022年マシンの開発に取り組んでいるのでしょうか?
2019年に開発がスタートしてます。しかし、実際の新レギュレーションの導入が2022年に遅延となり、エアロ関連でのアップデート実施は2021年1月まで禁止されることとなりました。よって、そこから新マシンの開発が本格化しており、とても多忙な開発スケジュールになっています。
一番チャレンジングなことはどんなところでしょうか?
マシンの外に気流を流すアウトウォッシュ効果を減少させる狙いがあるなど、エアロダイナミクスに関する規定がこれまでと完全に異なっています。また、フロアまわりも新規定となっていて、このエリアにより大きな可能性があります。
真新しい設計図からの書き起こすという作業になったのでしょうか?
はい、その通りです。ほとんどのエリアで新設計が必要とされており、実際のマシンのほとんどのエリアが新しくデザインしなおされています。
エンジン以外で、2021年マシンから引き継ぐようなパーツはあったのですか?
ほとんどない状態です。小さなコンポーネントに関してはいくつかそのまま使われる部分もありますが。
安全性向上のために、マシンがさらに重くなりました。燃料抜きで790kg、レーススタート時の総重量は900kg近くになってきます。どんなチャレンジになってきますか?
最低重量でマシンをデザインし、さらに理想的な重要配分も実現する。これはどの時代でも変わることのない挑戦で、その意味では2022年レギュレーションも同様と言えます。
安全性に関して、どんなことが変更となったのでしょうか?
マシン前後に搭載されるクラッシュ・ストラクチャー(衝撃吸収構造)に大きな変更が加えられました。各チームとFIAが協力し膨大な時間をかけ進めてきた部分です。要求されるレベルを達成することはかなりチャレンジングでしたが、とても重要なステップだったと思います。
18インチホイールへと変更になりました。どんな狙いがあるのでしょうか?
市販車でも幅広く採用されるホイールサイズとなり、より技術的なクロスオーバーが可能となります。今後、ピレリが彼らの市販製品を開発する際により有効な活動となるでしょう。
80年代に見られた「グラウンド・エフェクトカー」に戻ったカタチとなります。これによりボディカウル上のエアロ形状はよりシンプルになり、一転してフロア側でのエアロダイナミクスがさらに重要性を増します。エアロダイナミクスを担当するチームにとっては大きな改革と言えそうですね?
かなりの変更で、大きな挑戦になりますね。同時にレギュレーションに基づきながらよりクリエイティブなソリューションをみつけるいい機会とも言えます。
今回のエアロまわりのレギュレーションの変更を簡単に解説してもらえますか?
バージボード無し、フロントノーズ固定式ウイング、より高くよりワイドになったリヤウイング、開発制限。これらがメジャーなポイントです。また、規定の前後ブレーキダクトなどもポイントとなってきます。
新レギュレーションによって、チームの勢力図も大きく変わるといわれています。中段グループに属するチームがルール改定をうまく活用し、大きく勢力図が変わる可能性もあります。または、常に強大なリソースをもつ現状のトップチームがやはりそのまま勝ち続ける可能性もあります。どうなると予想しますか?
歴史がどちらのパターンもありえると証明しています。しかし、今回大きく異なるのが、新しく「予算制限」があるという点です。これにより現状のトップチーム開発能力にも制限がかかり、小さなチームとのギャップを埋めることにもなります。予想は難しいですが、効果的な新ルールだと思います。
ブレーキサイズが278mmから330mmに大型化され、ブレーキドラム&ダクトが全チーム共通パーツとなります。このエリアでのエアロダイナミクスのデザインは自由度が減るのでしょうか?
新規定によって、タイヤ温度管理のためにブレーキが担う役割には確実に制限がかかります。しかしそれでも、ブレーキのクーリングやタイヤ温度管理のために極限まで効率的にデザインすることは必須です。よって、ブレーキダクトは引き続き重要開発エリアになってくるだろうと言えると思います。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・アルファタウリ / ホンダF1 / F1マシン
F1イギリスGPを控えた7月15日(木)、F1はシルバーストンで『F1 One Begins』と題した発表イベントを開催し、2022年のレギュレーションに沿った「F1史上もっと未来的なレーシングカー」と評した実物大の次世代F1マシンを披露した。
次世代の2022年F1マシンは、グラウンドエフェクト技術が復活する。このコンセプトは、特に先行するマシンをより密接に追従できるように良いレースを生み出すことを目的としており、次世代F1マシンは洗練されていないフロントウィングとリアウィング、シンプルなサイドポッドとバージボード、よりシンプルな形状のフロア、オーバーウィングウィングレット、薄型のピレリタイヤを備えた18インチホイールを備えたすっきりとしたデザインを特徴としている。
前をゆくマシンにより接近して走ることができる、それによりオーバーテイクの機会も増加する、というのが新ルールの狙いとなります。狙い通りに機能すると思いますか?
エアロダイナミクス面での改革によりオーバーテイクを増やそう、というのが今回の新レギュレーションの一番の目的です。F1運営側によって示された数字によれば、マシンの背後で発生するタービュランスを減少し、背後を走るクルマのダウンフォースに現行ルール下ほどの影響を及ぼさないとされています。うまく機能するのではないかと期待しています。
ショーモデルで見て取れるようにとても華やかなマシンです。マシンの美しさ、というのも重要な要素だったのでしょうか?
自動車産業でのマーケティングにおいて多大な影響力を持つF1です。当然ながら美しさというのも重要です。この新レギュレーションが生み出す美しいマシンが今後ビジネス面でさらに大きな機会をもたらすことだろうと考えています。エアロダイナミクスのリニューアルと大型化されたホイール、このパッケージが2022年のマシンを大きく異なるものにしている要素ですね。
スクーデリア・アルファタウリはいつ頃から2022年マシンの開発に取り組んでいるのでしょうか?
2019年に開発がスタートしてます。しかし、実際の新レギュレーションの導入が2022年に遅延となり、エアロ関連でのアップデート実施は2021年1月まで禁止されることとなりました。よって、そこから新マシンの開発が本格化しており、とても多忙な開発スケジュールになっています。
一番チャレンジングなことはどんなところでしょうか?
マシンの外に気流を流すアウトウォッシュ効果を減少させる狙いがあるなど、エアロダイナミクスに関する規定がこれまでと完全に異なっています。また、フロアまわりも新規定となっていて、このエリアにより大きな可能性があります。
真新しい設計図からの書き起こすという作業になったのでしょうか?
はい、その通りです。ほとんどのエリアで新設計が必要とされており、実際のマシンのほとんどのエリアが新しくデザインしなおされています。
エンジン以外で、2021年マシンから引き継ぐようなパーツはあったのですか?
ほとんどない状態です。小さなコンポーネントに関してはいくつかそのまま使われる部分もありますが。
安全性向上のために、マシンがさらに重くなりました。燃料抜きで790kg、レーススタート時の総重量は900kg近くになってきます。どんなチャレンジになってきますか?
最低重量でマシンをデザインし、さらに理想的な重要配分も実現する。これはどの時代でも変わることのない挑戦で、その意味では2022年レギュレーションも同様と言えます。
安全性に関して、どんなことが変更となったのでしょうか?
マシン前後に搭載されるクラッシュ・ストラクチャー(衝撃吸収構造)に大きな変更が加えられました。各チームとFIAが協力し膨大な時間をかけ進めてきた部分です。要求されるレベルを達成することはかなりチャレンジングでしたが、とても重要なステップだったと思います。
18インチホイールへと変更になりました。どんな狙いがあるのでしょうか?
市販車でも幅広く採用されるホイールサイズとなり、より技術的なクロスオーバーが可能となります。今後、ピレリが彼らの市販製品を開発する際により有効な活動となるでしょう。
80年代に見られた「グラウンド・エフェクトカー」に戻ったカタチとなります。これによりボディカウル上のエアロ形状はよりシンプルになり、一転してフロア側でのエアロダイナミクスがさらに重要性を増します。エアロダイナミクスを担当するチームにとっては大きな改革と言えそうですね?
かなりの変更で、大きな挑戦になりますね。同時にレギュレーションに基づきながらよりクリエイティブなソリューションをみつけるいい機会とも言えます。
今回のエアロまわりのレギュレーションの変更を簡単に解説してもらえますか?
バージボード無し、フロントノーズ固定式ウイング、より高くよりワイドになったリヤウイング、開発制限。これらがメジャーなポイントです。また、規定の前後ブレーキダクトなどもポイントとなってきます。
新レギュレーションによって、チームの勢力図も大きく変わるといわれています。中段グループに属するチームがルール改定をうまく活用し、大きく勢力図が変わる可能性もあります。または、常に強大なリソースをもつ現状のトップチームがやはりそのまま勝ち続ける可能性もあります。どうなると予想しますか?
歴史がどちらのパターンもありえると証明しています。しかし、今回大きく異なるのが、新しく「予算制限」があるという点です。これにより現状のトップチーム開発能力にも制限がかかり、小さなチームとのギャップを埋めることにもなります。予想は難しいですが、効果的な新ルールだと思います。
ブレーキサイズが278mmから330mmに大型化され、ブレーキドラム&ダクトが全チーム共通パーツとなります。このエリアでのエアロダイナミクスのデザインは自由度が減るのでしょうか?
新規定によって、タイヤ温度管理のためにブレーキが担う役割には確実に制限がかかります。しかしそれでも、ブレーキのクーリングやタイヤ温度管理のために極限まで効率的にデザインすることは必須です。よって、ブレーキダクトは引き続き重要開発エリアになってくるだろうと言えると思います。
カテゴリー: F1 / スクーデリア・アルファタウリ / ホンダF1 / F1マシン