ハースF1チーム 小松礼雄代表 前半戦総括「メルボルンは爆弾だった」

日本人エンジニアである小松氏は、メルボルンでの開幕戦でチームがほぼ最後尾、しかもトップからコンマ6秒も離されていた状況を、「シーズン序盤に爆弾が落ちたようなもの」と表現。
VF-25の根本的な欠陥が露呈し、スピードを奪っただけでなく士気にも大きな打撃を与えたという。プレシーズンテストを順調に終え、慎重ながらも前向きなムードでシーズン入りしたチームにとって、この現実はあまりにも過酷なものだった。
「正直、まさにジェットコースターのようなシーズンですね。プレシーズンテストはかなり順調でした。そこにメルボルンの“爆弾”があり、本当にショックでしたし、その感覚は今も忘れていません」と小松礼雄はコメント。
「正直、吐き気がしました。最下位なだけでなく、コンマ6秒も遅いんです。しかも根本的な問題があります。でもチームのみんながどう反応したか、本当に誇りに思っています。メルボルンではほとんど眠れませんでした。どこが問題かを理解し、次のアップグレードまで待てないので、何ができるかを考え続けました。深刻な問題でしたからね」
迅速な対応と着実な進歩
形勢を立て直すべく、ハースは即座に行動を開始。高速サーキットの鈴鹿を見据え、改良型フロアを投入し、日本GPで初アップデートを実施。その後のイモラでも改良を加え、メルボルンでの課題を解消し始めた。
「行くサーキットに振り回されるわけにはいきません。鈴鹿が控えていたので対応が必要でした。鈴鹿への反応は本当に誇らしいですし、そこで一歩前進できました。イモラのアップグレードも、メルボルンでの経験が影響していましたが、それも前進でした」
7月のシルバーストンでは大規模なアップデートを投入。ここでようやくシーズン序盤の根本的な問題を解決し、開発のリズムを取り戻したという。
「イモラの後、メルボルンの件は克服できたと分かっていました。だからシルバーストンでは通常のアップグレードができましたし、かなり良かったと思います」

信頼が築いた基盤
VF-25は今やトップ10争いが可能な戦闘力を持ち、ハースはコンスタントにポイントを狙える位置につけている。
「特に我々がどういうチームかを考えれば、昨年同様、開発は優れていたと思います。シルバーストンのアップグレードで、毎回しっかり実行すればトップ10で戦えるクルマになりました」
現在、ハースはコンストラクターズ選手権9位(35ポイント)ながら、6位までわずか8ポイント差。小松氏は慎重ながらも前向きな姿勢を崩さない。
「毎週末、一歩ずつ着実にベストを尽くす。それが重要です」
また、この立て直しは過去1年で築いた信頼関係とチームワークがあったからこそ可能だったと強調する。
「もしこれが12カ月前に起きていたら、壊滅的だったと思います。でも昨年を通じて築いた信頼、支え合い、協力のおかげで対応できました。この反応には本当に満足しています」
ハースは後半戦に向け、失望から始まったシーズンを立て直し、再び戦う集団として歩みを進めている。
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