WRC 第2戦 ラリー・スウェーデン シェイクダウン:トヨタがトップ3独占
2月13日(木)、2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンのシェイクダウンが2回に分けて行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(ヤリスWRC 69号車) がシェイクダウン1でトップタイムを、セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(17号車)が2番手タイムを、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が3番手タイムを記録。明日から始まる森林ステージに向けて、幸先の良いスタートを切りました。

シーズン唯一のフルスノーイベントであるラリー・スウェーデンは、例年雪や氷に覆われた森林地帯のグラベル(未舗装路)ロードが舞台となります。しかし今年の冬は暖かい日が多く、当初予定されていたステージの多くが雪不足により事前にキャンセルとなりました。それでも、主催者は雪や氷が残るステージのコンディション維持および改善に努め、ラリーを実現に導きました。ただし、ステージの一部区間は完全にグラベルが露出しており、雪道用のスタッドタイヤでそのような路面を走行した場合、タイヤの状態がどれくらい変化するのかを選手達は予め知る必要がありましたが、午前中のシェイクダウンステージ「スカラ」は、7.21kmの全域が凍ったグラベル路面となり、ラリー本番に向けて有効なデータ収集の機会になりました。チームの3人のドライバーは数回の走行で実際のSSに近い距離を走り、タイヤのグリップがどう変化するのか理解に努めました。そして、4回目の走行で新鋭ロバンペラがベストタイムを刻み、オジエが2番手タイム、エバンスが3番手タイムと、ヤリスWRCがトップ3を占めました。

本来ならば、南に約100km離れたカールスタッドの競馬場で、夜8時過ぎから2台同時スタートのスーパーSSが行われる予定でしたが、路面コンディション等を鑑み主催者はスーパーSSをキャンセル。その代りに、特例として同ステージをシェイクダウンの2回目に設定し、大勢のファンにラリーカーの走行シーンを楽しむ機会を提供しました。森林ステージとはコンディションが大きく異なるため、ドライバーごとにアプローチは異なり、オジエは正規のコ・ドライバーであるイングラシアの代りに、スウェーデンのカール・フィリップ王子をサイドシートに招いて走行。それでも全体の2番手タイムを刻み、ロバンペラは3番手タイム、エバンスは5番手タイムでシェイクダウン2を終えました。

なお、開幕戦ラリー・モンテカルロに続き、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより出場の勝田貴元は、シェイクダウン1で6番手タイムを、シェイクダウン2で7番手タイムを記録。また、2017年にこのラリーでヤリスWRCに記念すべき初優勝をもたらしたヤリ-マティ・ラトバラは、今回ユホ・ハンニネンをコ・ドライバーに迎えプライベーターとしてヤリスWRCで出場。シェイクダウン1で9番手タイムを、シェイクダウン2ではトップタイムを刻みました。

明日のステージ情報
競技初日となる2月14日(金)のデイ1は、サービスパークを基点にノルウェーとスウェーデンの両国で4本のSSが行なわれます。そのうち1本目のSS2「ホーフ・フィンスコーグ」と2本目のSS3「フィンスコーゲン」はノルウェーが舞台となる定番ステージで、フィンスコーゲンは路面に雪やアイスがまったくないグラベル区間が長く続きます。スウェーデンに移動して行われる3本目のSS4「ニッケルヴァトネット」は新しいステージで、路面の大部分がアイスに覆われています。そして、4本目のSS8「トルシュビー・スプリント1」は、サービスパークのすぐ近くで行われる全長2.80kmのショートステージです。4本のSSの合計距離は63.68km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は264.49kmとなります。

カイ・リンドストローム (スポーティング ディレクター)
今回のコンディションは通常のラリー・スウェーデンとは状況が異なりますが、イベントがスムーズに行われるようにと主催者はできる限りのことをしてくれました。今夜予定されていたカールスタッドでのスーパーSSを、シェイクダウンの2回目に変更したのは賢明な判断です。観客の皆さんはラリーカーの走りを楽しめますし、我々はラリー期間中に使える本数が決まっているタイヤを犠牲にする必要がなくなりました。今回のラリーに関しては、タイヤのマネージメントが大きな鍵を握ります。夜間に気温がマイナスに下がったため、今朝のシェイクダウンの路面は予想していたよりも良いコンディションでした。そのため、我々は各車3、4回走行することができ、長いグラベル区間を走るとタイヤがどう変化するのか、ドライバー達は理解することができました。コンディションがどのように変わるのか、誰もよく分からないと思いますが、良い結果を得るためにはいくつかの区間でスマートに走り、タイヤをマネージする必要があるでしょう。

セバスチャン・オジエ (ヤリスWRC 17号車)
望んでいたような真冬のワンダーランドにはなりませんでしたが、イベントを実現するために主催者は最善を尽くしてくれました。いくつか難しいセクションもありますが、この週末を楽しむことができれば良いと思っています。ステージの全てがグラベル路面だったり、全てがアイス路面だったりと、路面コンディションが一定ならば、簡単に適応することができますが、コーナーごとにコンディションが変わると非常に難しくなります。これまで、完全なグラベルステージをスタッドタイヤで走ったことはなかったので、今朝のシェイクダウンではいくつか学ぶことがありました。1本目は注意深く走り他の選手よりもタイヤをセーブすることができましたが、大きくタイムを失ったので、週末は妥協点を見つける必要があります。この未知なる状況に、最も上手く適応できた者がきっとラリーを制するでしょう。

エルフィン・エバンス (ヤリスWRC 33号車)
今朝のシェイクダウンは興味深い内容でした。走り始めは非常に高いグリップが得られるのですが、ステージが進みタイヤからスタッドが抜けるにつれてグリップは低下し、特に2本目の走行ではそれが顕著でした。少し予想が難しいラリーになりそうなので、できる限り上手くコンディションに適応し、最高の結果を得たいと思います。今回最大の課題は、ステージのどの部分が滑りやすいのかを特定することです。特に、スタッド抜けによるグリップが低下するであろうステージの終盤にかけて、正しく見極めなくてはなりません。また、ペースノートに関しても新たに作成した部分が多くありますが、可能な限りの準備をしてきたので、良いラリーになることを期待しています。

カッレ・ロバンペラ (ヤリスWRC 69号車)
朝のシェイクダウンのようなコンディションのステージを走ったのは初めてだったので、とても運転が難しく感じましたが、タイムはとても良く、またタイヤを含めた色々なことが、どう変わっていくのかを知る興味深い体験でした。今回もっとも難しいのは、ミックスコンディションでいかにスピードをマネージするかです。スタッドがあまり抜けないようにタイヤを労って走らなければなりませんが、良いタイムを出すためにはフラットアウトする必要があります。そのバランスをとるのが難しく、多くを学ぶことになると思いますが、それが楽しみでもあります。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)