【WRC】 トヨタ:第3戦 ラリー・メキシコ プレビュー
TOYOTA GAZOO Racingは、3月8日(木)から11日(日)にかけて開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコに、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #7号車)、オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(#8号車)、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム(#9号車)の、3台のヤリスWRCで参戦する。
2018年最初の欧州圏外イベントとなるラリー・メキシコは、シーズン初のグラベル(未舗装路)ラリーでもある。サービスパークが置かれるレオンは、メキシコ中央高地グアナファト州の都市で、標高は約1800mと非常に高い場所にある。さらに、ラリーのコースには標高2700m以上の高地を走行するSS(スペシャルステージ)も含まれ、WRCの中でもっとも「空気が薄い」エリアで行われるラリーとして知られる。標高が高くなると空気中に含まれる酸素の量が減るため、一般的にエンジンの最高出力は20%程度低下する。また、3月のレオン周辺は最高気温が摂氏30度前後に達するなど高温で、エンジンだけでなく選手にとってもメキシコは非常に厳しいラリーとなる。
トヨタは現在、マニュファクチャラーズランキングで1位と1ポイント差の2位につけており、3名のドライバーは3位のラトバラを筆頭に全員がドライバーズランキング5位以内に入っている。ヤリスWRCは去年、初めて出場したメキシコでこのラリー特有の難題に直面した。しかし、2回目の挑戦となる今年は去年発生した問題の再発防止策をヤリスWRCに施し、チーム一丸となってラリーに臨む。
今年のラリー・メキシコは、8日(木)の夜にデイ1としてグアナファト中心部で市街地SSが行なわれ、競技がスタートする。全長2.53kmのターマック(舗装路)SSは、かつて銀鉱のために掘られた地下トンネル内も走行する、ラリー・メキシコの名物ステージ。翌9日(金)のデイ2は大自然に囲まれたグラベルコースに戦いの舞台を移し、いよいよロングステージが始まる。そのうち全長31.44kmのエル・ショコラテ(SS3/SS7)は、今大会最長のSSとなる。また、日中にはレオン中心部の特設コースで市街地SSが、1日の最後には市内のサーキットで2本のスーパーSSが連続で行なわれる。競技3日目となる10日(土)のデイ3もグラベルステージが中心の1日となり、デイの最後には前日と同じ場所で2本のスーパーSSと、1本の市街地SSが行なわれる。そしてラリー最終日となる11日(日)のデイ4は、3本のグラベルSSが予定されており、最終ステージのSS22は、トップ5タイムを記録した選手に対してボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されている。ラリーは4日間で22本のSSを走行し、その合計距離は344.49km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1055.88kmとなる。
トミ・マキネン (チーム代表)
去年、メキシコは新参の我々チームとクルマにとって非常に厳しいラリーになりましたので、それを解決するために多くの改善作業を続けてきました。前回発生した問題をすべて分析し、冷却系およびエンジンに改良を施しました。 また、(メキシコは標高が高いエリアが舞台となるため、)日本にある低圧試験設備も活用しました。以上のような領域についてかなり力を入れて改善に努めてきたので、すべてが完全に機能すれば十分に競争力のあるパッケージとなるはずです。とはいえ、実際にラリーが始まってみないとどうなるのか分かりません。
ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC #7号車)
冬が終わり、メキシコで暖かな気候と日差しを最初に経験するのがいつも楽しみです。メキシコのステージは非常に高速なセクションと、低速なセクションの両方があり、走行ラインの外側には岩が転がっているため正確なドライビングが求められます。我々は先週、スペインでグラベルテストを行ない良い結果を得ました。もちろんメキシコはもっと暑くなるでしょうが、1年のこの時期にヨーロッパでできるテストとしてはベストな環境だったと思います。サスペンションに改良を加えた結果、駆動力とブレーキング時のグリップ力が去年の終わり頃よりも良くなったように感じました。クルマに高いパフォーマンスがあることは明らかですし、もし表彰台に上がることができたら、それは選手権を戦う上で本当に素晴らしいことです。
オット・タナック (ヤリスWRC #8号車)
私にとってラリー・メキシコは、ヤリスWRCで戦う最初のグラベルラリーとなります。新たに学ぶべきことは沢山ありますが、先週スペインで行なった2日間のテストはとても有効でした。可能な限り多くのことを試し、それに対してクルマがどのように反応するのかを理解しました。まだまだ慣れなくてはならないことや、改善可能な点はありますが、グラベルでの最初のフィーリングはとても良いものでした。メキシコでグラベルステージの「掃除役」はかなり大変ですが、私の出走順は5番手と前戦よりも良いので、それが助けになるのではないかと期待しています。メキシコでの実戦経験は十分にあるので、リラックスしてラリーに臨むことができますし、トップ争いに加わることも十分可能だと思っています。
エサペッカ・ラッピ (ヤリスWRC #9号車)
去年、コースのレッキ(事前下見走行)は行ないましたが、ラリー・メキシコに出場するのは今回が初めてなので、どのようなラリーになるのか予想がつきません。メキシコの路面は、皆がプレイベントテストを行なったスペインのグラベルコースと似ています。しかし、SSを2回目に走行する時、路面はかなり荒れていることでしょう。また、高度もスペインとは大きく異なりますが、私は空気が非常に薄い状況でドライブしたことがありません。エンジンのパワーが低下するため、普段とは少し異なる運転をする必要があるでしょう。開幕からの2戦については自分でも満足しているので、メキシコでもその良い流れを維持したいと思います。すべてのステージを走り切り、将来のために経験値を高めることが今回の目標です。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)
2018年最初の欧州圏外イベントとなるラリー・メキシコは、シーズン初のグラベル(未舗装路)ラリーでもある。サービスパークが置かれるレオンは、メキシコ中央高地グアナファト州の都市で、標高は約1800mと非常に高い場所にある。さらに、ラリーのコースには標高2700m以上の高地を走行するSS(スペシャルステージ)も含まれ、WRCの中でもっとも「空気が薄い」エリアで行われるラリーとして知られる。標高が高くなると空気中に含まれる酸素の量が減るため、一般的にエンジンの最高出力は20%程度低下する。また、3月のレオン周辺は最高気温が摂氏30度前後に達するなど高温で、エンジンだけでなく選手にとってもメキシコは非常に厳しいラリーとなる。
トヨタは現在、マニュファクチャラーズランキングで1位と1ポイント差の2位につけており、3名のドライバーは3位のラトバラを筆頭に全員がドライバーズランキング5位以内に入っている。ヤリスWRCは去年、初めて出場したメキシコでこのラリー特有の難題に直面した。しかし、2回目の挑戦となる今年は去年発生した問題の再発防止策をヤリスWRCに施し、チーム一丸となってラリーに臨む。
今年のラリー・メキシコは、8日(木)の夜にデイ1としてグアナファト中心部で市街地SSが行なわれ、競技がスタートする。全長2.53kmのターマック(舗装路)SSは、かつて銀鉱のために掘られた地下トンネル内も走行する、ラリー・メキシコの名物ステージ。翌9日(金)のデイ2は大自然に囲まれたグラベルコースに戦いの舞台を移し、いよいよロングステージが始まる。そのうち全長31.44kmのエル・ショコラテ(SS3/SS7)は、今大会最長のSSとなる。また、日中にはレオン中心部の特設コースで市街地SSが、1日の最後には市内のサーキットで2本のスーパーSSが連続で行なわれる。競技3日目となる10日(土)のデイ3もグラベルステージが中心の1日となり、デイの最後には前日と同じ場所で2本のスーパーSSと、1本の市街地SSが行なわれる。そしてラリー最終日となる11日(日)のデイ4は、3本のグラベルSSが予定されており、最終ステージのSS22は、トップ5タイムを記録した選手に対してボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されている。ラリーは4日間で22本のSSを走行し、その合計距離は344.49km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1055.88kmとなる。
トミ・マキネン (チーム代表)
去年、メキシコは新参の我々チームとクルマにとって非常に厳しいラリーになりましたので、それを解決するために多くの改善作業を続けてきました。前回発生した問題をすべて分析し、冷却系およびエンジンに改良を施しました。 また、(メキシコは標高が高いエリアが舞台となるため、)日本にある低圧試験設備も活用しました。以上のような領域についてかなり力を入れて改善に努めてきたので、すべてが完全に機能すれば十分に競争力のあるパッケージとなるはずです。とはいえ、実際にラリーが始まってみないとどうなるのか分かりません。
ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC #7号車)
冬が終わり、メキシコで暖かな気候と日差しを最初に経験するのがいつも楽しみです。メキシコのステージは非常に高速なセクションと、低速なセクションの両方があり、走行ラインの外側には岩が転がっているため正確なドライビングが求められます。我々は先週、スペインでグラベルテストを行ない良い結果を得ました。もちろんメキシコはもっと暑くなるでしょうが、1年のこの時期にヨーロッパでできるテストとしてはベストな環境だったと思います。サスペンションに改良を加えた結果、駆動力とブレーキング時のグリップ力が去年の終わり頃よりも良くなったように感じました。クルマに高いパフォーマンスがあることは明らかですし、もし表彰台に上がることができたら、それは選手権を戦う上で本当に素晴らしいことです。
オット・タナック (ヤリスWRC #8号車)
私にとってラリー・メキシコは、ヤリスWRCで戦う最初のグラベルラリーとなります。新たに学ぶべきことは沢山ありますが、先週スペインで行なった2日間のテストはとても有効でした。可能な限り多くのことを試し、それに対してクルマがどのように反応するのかを理解しました。まだまだ慣れなくてはならないことや、改善可能な点はありますが、グラベルでの最初のフィーリングはとても良いものでした。メキシコでグラベルステージの「掃除役」はかなり大変ですが、私の出走順は5番手と前戦よりも良いので、それが助けになるのではないかと期待しています。メキシコでの実戦経験は十分にあるので、リラックスしてラリーに臨むことができますし、トップ争いに加わることも十分可能だと思っています。
エサペッカ・ラッピ (ヤリスWRC #9号車)
去年、コースのレッキ(事前下見走行)は行ないましたが、ラリー・メキシコに出場するのは今回が初めてなので、どのようなラリーになるのか予想がつきません。メキシコの路面は、皆がプレイベントテストを行なったスペインのグラベルコースと似ています。しかし、SSを2回目に走行する時、路面はかなり荒れていることでしょう。また、高度もスペインとは大きく異なりますが、私は空気が非常に薄い状況でドライブしたことがありません。エンジンのパワーが低下するため、普段とは少し異なる運転をする必要があるでしょう。開幕からの2戦については自分でも満足しているので、メキシコでもその良い流れを維持したいと思います。すべてのステージを走り切り、将来のために経験値を高めることが今回の目標です。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)