SUPER GT 第7戦 結果 | CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが嬉しい初優勝
2019 AUTOBACS SUPER GT第7戦『SUGO GT 300km RACE』の決勝レースが9月22日、宮城県のスポーツランドSUGO(1周3,704m×81周)で行われた。スタート前に雨が降り出して混乱の決勝レースとなったが、GT500クラスはNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ)が、GT300クラスはNo.55 ARTA NSX GT3(高木真一/福住仁嶺)が共に逆転で今季初優勝を飾った。
前戦オートポリスと同様に天気を気にしながら迎えた第7戦の決勝日。前日は終日ドライ路面のまま予選が行われ、GT500クラスでは3台がコースレコードを更新する好走を見せた。この決勝日も午前は曇り空に覆われていたものの、お昼過ぎに行われたウォームアップ走行でも空が泣くことはなかった。しかし、各車が決勝レースのダミーグリッドに着いた頃から、ついに雨が降り始める。路面は徐々に濡れていき、各チームはドライ路面用のスリックタイヤか、雨用のウエットタイヤかで悩むことになる。その中、午後2時に全81周で争われる決勝レースはセーフティカー(SC)先導でスタートとなった。
多くがウエットタイヤを選ぶ中、上位陣ではポールポジションのNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大)がスリックタイヤを選んだ。SCランは3周にわたって行われ、雨が上がることのないまま、4周目にシグナルがグリーンに。完全にウエットとなったこの状況で、17号車は2番手スタートのNo.1 RAYBRIG NSX-GT(ジェンソン・バトン)、4番手スタートのNo.37 KeePer TOM'S LC500(ニック・キャシディ)に相次いでパスされ、他にスリックを選んだ3台とともに下位に沈んでしまう。
トップに立った1号車は序盤を快調に走り、徐々に2番手の37号車を引き離していく。その後ろにいたNo.36 au TOM'S LC500(中嶋一貴)は今季の3基目のエンジンに交換したペナルティで、7周が終わったところで10秒のピットストップを行って後退。代わってNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平)が予選7位から猛追して3番手まで順位を上げる。
レースの1/3を消化したと同時に2番手の37号車がピットイン。平川亮に交代し、タイヤは替えずにコースに戻る。また、5番手争いをしていながら単独スピンを喫して7番手に下がったNo.64 Modulo Epson NSX-GTも同じタイミングで、ナレイン・カーティケヤンから牧野任祐に交代。ここから多くのチームがルーティンのピットワークをこなしていく。
トップの1号車は36周でピットへ戻り、山本尚貴へバトンタッチ。マージンはかなりあるように思えたが、タイヤを替えなかった37号車が背後に迫っていた。一方、タイヤを替えた1号車は37号車を抑えきることができず、トップを明け渡す。その直後に11番手走行中のNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹)がコースアウトし、グラベルでストップ。この39周目のタイミングでSCが導入されることとなった。
リスタートでは1号車、No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)No.6 WAKO'S 4CR LC500(山下健太)と2番手を争っていたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(フレデリック・マコヴィッキィ)がペースアップ。一気に2番手を奪うと、37号車を追い上げる。48周目に7秒以上あった差は毎ラップ削られ、ついに54周目には3号車がトップに立った。ペースの上がらない1号車はここで優勝争いから脱落する。
すると替えなかったタイヤが消耗したのか37号車のペースがダウン。ハイペースで23号車を抜き去ったNo.64 Modulo Epson NSX-GT(牧野任祐)にもパスされる。37号車は23号車にもかわされて4番手まで下がる。これでトップ3は3号車、64号車、23号車というオーダーとなり、このポジション争いも終結。その後はトップ3台の間隔は徐々に広がっていき、それぞれが単独走行になって、雨で終始したレースは81周のフィニッシュとなった。
No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ)はチームとして初優勝で、NISSAN GT-R NISMO GT500にとっても今季勝利となる。またGT500で9勝目となる平手、同3勝目のマコヴィッキにとってもGT-Rでの初勝利だ。GT500のミシュランタイヤの優勝は2018年第2戦富士以来20勝目となる。
2位にはNo.64 Modulo Epson NSX-GT(ナレイン・カーティケヤン/牧野任祐)で今季初表彰台。3位にはNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が入り、松田/クインタレッリ組はドライバーランキング3位で最終戦もてぎにタイトルの可能性を残した。
6位入賞でランキングトップを守ったNo.6 WAKO'S 4CR LC500の大嶋和也/山下健太組は、最終戦で初タイトル獲得に挑む。このレースは4位だったNo.37 KeePer TOM'S LC500(平川 亮/ニック・キャシディ)はランキング2位。最終戦でタイトル奪還を狙う。最終戦のもてぎはGT500の全車が開幕戦と同じくノーハンディとなり、より白熱した戦いが展開されそうだ。
GT500 Class
No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R
平手 晃平
すごく嬉しいです。今年は日産に移籍してシーズンを過ごしてきましたが、ここ2、3戦は速さを結果に結びつけられない悔しいレースが続いて、気持ち的にも苦しかったです。でもNISMOさんを始めミシュランタイヤさん、チームの皆さんが一生懸命結果を残そうという気持ちでスポーツランドSUGOに来たので“なんとかここで表彰台を”と思っていたら、最終的に素晴らしい勝ち方ができました。NISSAN GT-R NISMO GT500の今シーズン初優勝、そしてこのチームのGT500初優勝に貢献できたことを嬉しく思っていますし、関係者の皆さんに本当に感謝しています。僕のスティントは、スタート前に雨が降り始めて来たので、周りの状況を見ながら自分たちの持っている中でベストなタイヤを選択しました。それが功を奏してレース前半から結構いいペースで走ることができましたし、後半を担当したフレッド(マコヴィッキ)に対してもコース状況などに関していいアドバイスができました。今日は本当にチームの仕事に対して100点満点をつけたいなと思います。
フレデリック・マコヴィッキ
NISSAN GT-R NISMO GT500の今季初優勝を挙げることができて、大変光栄に思っています。ここ2、3戦の僕らのクルマには競争力がありましたが、あと僅かなところでセッティングが詰めきれていませんでした。GT500クラスは本当にレベルが高いので、なかなか結果を残すことができていませんでしたが、今回は本当に細かいところまで完璧でした。元々僕らのクルマは雨が得意なので表彰台を獲得し、優勝することができて本当に良かったです。平手(晃平)選手もレース前半をペースよく走ってクルマを渡してくれました。雨の中でのタイヤマネジメントはベストだったと思います。レース後半にセーフティカーが入り、すべてのクルマが一団となり、タイヤが冷えた状態からリスタートになった時も、うまく対応できたと思います。チームの全員がタフなレースの中でよくがんばったと思うし、自分たちの実力をすべて出し切ることができたと思います。日産やミシュランタイヤも素晴らしい仕事をしてくれました。SUPER GTで勝つのはすごく難しいことなので、大変嬉しく思っています。
GT300 Class
No.55 ARTA NSX GT3
高木 真一
予選2位からのスタートということで、当然雨の中では有利なポジションだなと思っていました。その上ポールポジションの61号車、3位の25号車がスリックタイヤを履いているという状況で、このまま雨が降ればマージンができるなと考えていました。走り出しは小雨で、ライン上には乾いた部分もあったので、最初の10周くらいはタイヤを労わりながら、2位の4号者との間隔を見ながら、ペースを上げたり下げたりしていました。そしてピットインできる最小限の周回数を過ぎたところからはペースを上げて、タイヤがなくなるまでフルプッシュで走るつもりでいました。すると36周目のSPコーナーに差し掛かったところで「ピットに入ってください」と言われて。セーフティカーが入る前のタイミングでピットインできたことも勝因だったと思います。ここ十何年チャンピオンを獲っていないので「最終戦もてぎも何かあるんじゃないか?」と心配していますが、ランキング2位が96号車の新田(守男)さんというのは嬉しいです。(元コンビだった)おっちゃん同士でがんばろうかなと思います。
福住 仁嶺
「この優勝は僕にとってSUPER GTでの初めての優勝なので、本当に嬉しく思います。高木(真一)さんがうまくレース運びをしてくれて、僕に交代した時にタイヤを4本とも交換しました。ちょうどそのタイミングで雨量が増えてきたので、タイヤをなかなか暖められず、最初の4周ぐらいは辛い状況が続きました。タイヤが発熱してからはペースを上げることができ、後ろのクルマが離れていきましたが、今度は燃費の問題が出てきて「最後まで燃料が持たないかも?」という話になり、少しペースを抑えて走ることにしました。クルマを最後まで運ぶことができて、優勝という形で終われたので、チームの皆さんには本当に感謝しています」
カテゴリー: F1 / SUPER GT
前戦オートポリスと同様に天気を気にしながら迎えた第7戦の決勝日。前日は終日ドライ路面のまま予選が行われ、GT500クラスでは3台がコースレコードを更新する好走を見せた。この決勝日も午前は曇り空に覆われていたものの、お昼過ぎに行われたウォームアップ走行でも空が泣くことはなかった。しかし、各車が決勝レースのダミーグリッドに着いた頃から、ついに雨が降り始める。路面は徐々に濡れていき、各チームはドライ路面用のスリックタイヤか、雨用のウエットタイヤかで悩むことになる。その中、午後2時に全81周で争われる決勝レースはセーフティカー(SC)先導でスタートとなった。
多くがウエットタイヤを選ぶ中、上位陣ではポールポジションのNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大)がスリックタイヤを選んだ。SCランは3周にわたって行われ、雨が上がることのないまま、4周目にシグナルがグリーンに。完全にウエットとなったこの状況で、17号車は2番手スタートのNo.1 RAYBRIG NSX-GT(ジェンソン・バトン)、4番手スタートのNo.37 KeePer TOM'S LC500(ニック・キャシディ)に相次いでパスされ、他にスリックを選んだ3台とともに下位に沈んでしまう。
トップに立った1号車は序盤を快調に走り、徐々に2番手の37号車を引き離していく。その後ろにいたNo.36 au TOM'S LC500(中嶋一貴)は今季の3基目のエンジンに交換したペナルティで、7周が終わったところで10秒のピットストップを行って後退。代わってNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平)が予選7位から猛追して3番手まで順位を上げる。
レースの1/3を消化したと同時に2番手の37号車がピットイン。平川亮に交代し、タイヤは替えずにコースに戻る。また、5番手争いをしていながら単独スピンを喫して7番手に下がったNo.64 Modulo Epson NSX-GTも同じタイミングで、ナレイン・カーティケヤンから牧野任祐に交代。ここから多くのチームがルーティンのピットワークをこなしていく。
トップの1号車は36周でピットへ戻り、山本尚貴へバトンタッチ。マージンはかなりあるように思えたが、タイヤを替えなかった37号車が背後に迫っていた。一方、タイヤを替えた1号車は37号車を抑えきることができず、トップを明け渡す。その直後に11番手走行中のNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹)がコースアウトし、グラベルでストップ。この39周目のタイミングでSCが導入されることとなった。
リスタートでは1号車、No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)No.6 WAKO'S 4CR LC500(山下健太)と2番手を争っていたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(フレデリック・マコヴィッキィ)がペースアップ。一気に2番手を奪うと、37号車を追い上げる。48周目に7秒以上あった差は毎ラップ削られ、ついに54周目には3号車がトップに立った。ペースの上がらない1号車はここで優勝争いから脱落する。
すると替えなかったタイヤが消耗したのか37号車のペースがダウン。ハイペースで23号車を抜き去ったNo.64 Modulo Epson NSX-GT(牧野任祐)にもパスされる。37号車は23号車にもかわされて4番手まで下がる。これでトップ3は3号車、64号車、23号車というオーダーとなり、このポジション争いも終結。その後はトップ3台の間隔は徐々に広がっていき、それぞれが単独走行になって、雨で終始したレースは81周のフィニッシュとなった。
No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ)はチームとして初優勝で、NISSAN GT-R NISMO GT500にとっても今季勝利となる。またGT500で9勝目となる平手、同3勝目のマコヴィッキにとってもGT-Rでの初勝利だ。GT500のミシュランタイヤの優勝は2018年第2戦富士以来20勝目となる。
2位にはNo.64 Modulo Epson NSX-GT(ナレイン・カーティケヤン/牧野任祐)で今季初表彰台。3位にはNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が入り、松田/クインタレッリ組はドライバーランキング3位で最終戦もてぎにタイトルの可能性を残した。
6位入賞でランキングトップを守ったNo.6 WAKO'S 4CR LC500の大嶋和也/山下健太組は、最終戦で初タイトル獲得に挑む。このレースは4位だったNo.37 KeePer TOM'S LC500(平川 亮/ニック・キャシディ)はランキング2位。最終戦でタイトル奪還を狙う。最終戦のもてぎはGT500の全車が開幕戦と同じくノーハンディとなり、より白熱した戦いが展開されそうだ。
GT500 Class
No.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R
平手 晃平
すごく嬉しいです。今年は日産に移籍してシーズンを過ごしてきましたが、ここ2、3戦は速さを結果に結びつけられない悔しいレースが続いて、気持ち的にも苦しかったです。でもNISMOさんを始めミシュランタイヤさん、チームの皆さんが一生懸命結果を残そうという気持ちでスポーツランドSUGOに来たので“なんとかここで表彰台を”と思っていたら、最終的に素晴らしい勝ち方ができました。NISSAN GT-R NISMO GT500の今シーズン初優勝、そしてこのチームのGT500初優勝に貢献できたことを嬉しく思っていますし、関係者の皆さんに本当に感謝しています。僕のスティントは、スタート前に雨が降り始めて来たので、周りの状況を見ながら自分たちの持っている中でベストなタイヤを選択しました。それが功を奏してレース前半から結構いいペースで走ることができましたし、後半を担当したフレッド(マコヴィッキ)に対してもコース状況などに関していいアドバイスができました。今日は本当にチームの仕事に対して100点満点をつけたいなと思います。
フレデリック・マコヴィッキ
NISSAN GT-R NISMO GT500の今季初優勝を挙げることができて、大変光栄に思っています。ここ2、3戦の僕らのクルマには競争力がありましたが、あと僅かなところでセッティングが詰めきれていませんでした。GT500クラスは本当にレベルが高いので、なかなか結果を残すことができていませんでしたが、今回は本当に細かいところまで完璧でした。元々僕らのクルマは雨が得意なので表彰台を獲得し、優勝することができて本当に良かったです。平手(晃平)選手もレース前半をペースよく走ってクルマを渡してくれました。雨の中でのタイヤマネジメントはベストだったと思います。レース後半にセーフティカーが入り、すべてのクルマが一団となり、タイヤが冷えた状態からリスタートになった時も、うまく対応できたと思います。チームの全員がタフなレースの中でよくがんばったと思うし、自分たちの実力をすべて出し切ることができたと思います。日産やミシュランタイヤも素晴らしい仕事をしてくれました。SUPER GTで勝つのはすごく難しいことなので、大変嬉しく思っています。
GT300 Class
No.55 ARTA NSX GT3
高木 真一
予選2位からのスタートということで、当然雨の中では有利なポジションだなと思っていました。その上ポールポジションの61号車、3位の25号車がスリックタイヤを履いているという状況で、このまま雨が降ればマージンができるなと考えていました。走り出しは小雨で、ライン上には乾いた部分もあったので、最初の10周くらいはタイヤを労わりながら、2位の4号者との間隔を見ながら、ペースを上げたり下げたりしていました。そしてピットインできる最小限の周回数を過ぎたところからはペースを上げて、タイヤがなくなるまでフルプッシュで走るつもりでいました。すると36周目のSPコーナーに差し掛かったところで「ピットに入ってください」と言われて。セーフティカーが入る前のタイミングでピットインできたことも勝因だったと思います。ここ十何年チャンピオンを獲っていないので「最終戦もてぎも何かあるんじゃないか?」と心配していますが、ランキング2位が96号車の新田(守男)さんというのは嬉しいです。(元コンビだった)おっちゃん同士でがんばろうかなと思います。
福住 仁嶺
「この優勝は僕にとってSUPER GTでの初めての優勝なので、本当に嬉しく思います。高木(真一)さんがうまくレース運びをしてくれて、僕に交代した時にタイヤを4本とも交換しました。ちょうどそのタイミングで雨量が増えてきたので、タイヤをなかなか暖められず、最初の4周ぐらいは辛い状況が続きました。タイヤが発熱してからはペースを上げることができ、後ろのクルマが離れていきましたが、今度は燃費の問題が出てきて「最後まで燃料が持たないかも?」という話になり、少しペースを抑えて走ることにしました。クルマを最後まで運ぶことができて、優勝という形で終われたので、チームの皆さんには本当に感謝しています」
カテゴリー: F1 / SUPER GT