SUPER GT レクサス
タイ・ブリーラムのチャン・サーキットでSUPER GT第4戦が行われ、予選3番手スタートのヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組 DENSO KOBELCO SARD LC500 39号車が今季初勝利を飾った。2位に大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト組 WAKO'S 4CR LC500 6号車、3位に国本雄資/山下健太組 WedsSport ADVAN LC500 19号車と続き、LEXUS LC500が表彰台を独占する速さを見せた。GT300クラスでも嵯峨 宏紀/平手 晃平組 TOYOTA PRIUS apr GT 31号車が2位、吉本 大樹/宮田 莉朋組 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車が3位で表彰台を獲得した。

SUPER GT第4戦「Chang SUPER GT RACE」が6月30日(土)、7月1日(日)の両日、タイ・ブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットで開催された。

SUPER GTシリーズ唯一の海外遠征戦となるタイラウンド。2014年にサーキットの新設と共に初の大イベントとして行われ、今年で5回目。2016、17年は10月の第7戦として行われてきたが、今年は2015年以来となる6、7月開催となった。LEXUS GAZOO Racingはこのタイラウンドとの相性が良く、過去4戦中3勝を挙げている。今季はライバルの巻き返しや不運もあり、ここまで未勝利のLEXUS LC500勢のシーズン初勝利に期待がかかった。

予選
6月30日(土)は朝から強い日差しが照りつけ、南国特有の暑さの中で午前中の公式練習が行われたが、午後3時に予定されていた予選を前に、空は一気に雲に覆われ、激しいスコールと共に路面はあっという間にヘビーウェットに。しかし、このスコールも10分ほどで去り、予選は予定よりも15分遅れで、ウェットコンディションの下で開始されることとなった。

ノックアウト方式の予選、GT500クラスは午後3時35分にQ1(15分間)が開始。直前に走ったGT300車両によりライン上の一部は乾きかけてきているものの、まだまだウェット、という難しいコンディション。ほとんどの車両が一旦ウェットタイヤでコースに出たものの、すぐにピットへ戻り、スリックタイヤで再アタックに入る、という状況となった。

この難コンディションの中で好走を見せたのが、2週間前のル・マン24時間レースで2位表彰台を獲得したばかりの小林の39号車。セッション後半、想像以上に早く乾いていく路面を上手く読み、目まぐるしく塗り替えられていくタイムシートの中で、セッション終了直前にQ2進出条件のトップ8圏内へ浮上。GT500ルーキーの山下がQ1を担当した19号車も小林のタイムを上回り、39号車と19号車の2台がQ2進出を果たした。一方で、ほかの4台のLEXUS LC500勢はタイヤをコンディションに合わせきれず、36号車が10番手、6号車が11番手、1号車が12番手、38号車が13番手と後方グリッドから決勝レースでの巻き返しを図ることとなった。

Q2は午後4時18分開始。この頃にはほぼ路面は乾いていましたが、今度は逆に空模様が怪しい状況に。セッション開始から5分ほど経つと、コースの一部では雨が降り始めた。そんな中で気を吐いたのが39号車のコバライネン。まず最初のアタックでコースレコードを更新するタイムを叩き出し暫定トップへ。その後、ライバルにタイムを更新されるも、最後まで逆転を狙ってアタックを続けた。コースの前半ではタイム更新が期待できるアタックだったが、コース後半で降り始めた雨により惜しくも叶わず。

Q2に進んだ8台中7台がこれまでのコースレコードを更新する速さを見せた中で、コバライネンの39号車は2列目3番手と好位置を確保。2016年のタイラウンドウィナーである19号車の国本雄資も3列目6番手とまずまずのポジションから決勝レースをスタートすることとなった。

GT300クラスは、直前のスコールにより完全なウェットコンディションで午後3時15分よりQ1(15分)がスタート。完全ドライだった午前中の公式練習とは全く異なるコンディションでの予選セッションとなった。水煙を上げながらのアタックで各チーム苦戦を強いられる中、96号車は新田守男がベテランの意地を見せ13番手タイム。上位14台が進めるQ2への進出を果たした。31号車は惜しくも16番手、60号車が18番手、地元凱旋レースとなった35号車は19番手、30号車が22番手でQ1敗退となった。

路面がほぼドライとなったQ2では、96号車を駆る、昨年のタイラウンドウィナーである中山雄一が好走を見せ、7番手グリッドを獲得した。予選後、上位グリッドの2台が車検で失格となったため、96号車は5番手グリッドに。ほかの4台も、2つずつグリッドが繰り上がって決勝レースのスタートを切ることとなった。

決勝
7月1日(日)も暑い一日に。午後3時のスタート時点での気温は33度、路面温度は47度という猛暑の中、66周、300kmで争われる決勝レースのスタートが切られた。

LEXUS勢最上位の3番手からスタートを切った39号車のコバライネンは、1周目に2位に上がると、首位追走に入った。その後方でも、予選で後方グリッドに沈んだLEXUS勢が速さを見せ、次々にポジションアップ。6番手スタートの19号車は、GT500クラスルーキーの山下が徐々にポジションを上げ、11周目に一気に2台パス、39号車に次ぐ3位に浮上した。また、速さを見せたLEXUS勢の中でも際だったのが6号車のローゼンクヴィスト。SUPER GTでは今季デビューのルーキーながら、11番手グリッドスタートから12周目には5位、14周目には4位へとポジションを挙げ、LEXUS LC500は序盤にして早くも2-3-4位体制となった。

首位をテール・トゥ・ノーズで追うまでに至った39号車は、19周目、メインストレートで並びかけ、その後も再三にわたる追撃の末に、4コーナーでパス。ついに首位を奪った。その後方でも、勢いに乗る6号車のローゼンクヴィストが山下に続き前を行くライバル車両もパス、更に首位の39号車コバライネンとの差を詰めて行った。

中盤、各車ピットへ向かい、ドライバー交代と給油、タイヤ交換。ここで追い上げを見せていた1号車は左リアタイヤの交換に手間取り、タイムロス。7位まで追い上げていた1号車だったが、大きく順位を落とすこととなってしまった。

36周目に首位を行く39号車がピットイン。コバライネンから小林へとドライバーチェンジ。首位のままコースへ復帰した。今年からSUPER GTにフル参戦し、ここタイのチャン・サーキットを走るのは初めての小林に対し、2位で追う6号車の大嶋は、これまで4戦全戦に出場し、表彰台3回と得意にするコース。小林を再三にわたって攻め、息詰まるようなバトルが終盤まで繰り広げられた。

中嶋 一貴から5位で36号車のバトンを受け取った関口も、2016年に優勝を果たすなどこのコースを得意としており、ファステストラップを更新しながらの猛追。優勝時のチームメイトであった国本がドライブする19号車に追いつくと、表彰台争いのバトルを繰り広げた。このバトルを49周目に関口が制し、36号車が3位へ浮上。関口は首位を争う2台にも追いつき、LEXUS LC500同士三つ巴の優勝争いに。

51周目にもファステストタイムをマークするなど速さの衰えない関口は、56周目、6号車の大嶋がGT300車両に引っかかった隙を逃さずパス。2位へと上がると、更に小林の39号車に襲いかかった。何度も並びかける2台だったが、小林も巧みなライン取りで抜かせず、その後でチャンスを窺う6号車と共に、3台での首位争いはレース最終盤まで続いた。

39号車小林か、36号車関口か、という息を呑むようなバトルは、ファイナルラップ、突然の36号車のスローダウンで閉幕。36号車は残り1周というところで痛恨の燃料切れに見舞われ、コース脇に車両を停めることとなってしまいました(1周遅れ完走扱いの10位)。

小林可夢偉はトップを守ってチェッカーを受け、SUPER GTでの自身初勝利を飾った。LEXUS勢にとっても今季初勝利。2位には11番手スタートから見事な追い上げを見せた6号車、3位に19号車が続き、LEXUS勢は表彰台を独占。4位にも38号車が入り、今季ここまでの3戦で勝利のなかったLEXUS勢が得意なタイで、速さを見せ、後半戦へ向けて逆襲の狼煙を上げることとなった。

GT300クラスでは、14番手からスタートした嵯峨がドライブする31号車と、16番手スタートの吉本がドライブする60号車が序盤から猛烈な追い上げ。吉本の60号車は4位までポジションを上げて、レース半分よりもやや早めに宮田へとドライバー交代を行った。ほぼ同時に31号車も嵯峨から平手へと交代。一方で、予選で5番手につけた96号車は、ベテラン新田がぎりぎりまでピットを引っ張る作戦に。

全車がピットを終え、レースも終盤に入ると、3位を走行していた60号車宮田を、31号車の平手がパス。更に、2台は揃って、タイヤの厳しくなった前車をパスし、31号車が2位、60号車が3位でチェッカー。31号車は第2戦富士に続き今季2度目の2位表彰台。60号車は参戦4年目にして初、そしてルーキーの宮田にとってもGT初の表彰台獲得となった。96号車は10位でポイント獲得を果たした。

ヘイキ・コバライネン (DENSO KOBELCO SARD LC500 39号車)
もちろん勝ててとても嬉しいです。特に、可夢偉選手との初勝利というのはとても重要なことです。我々のチームは今季、開幕戦の岡山で下位に沈み、第2戦富士では2位表彰台、第3戦鈴鹿は私のミスでリタイアと、ジェットコースターのような浮き沈みの激しいシーズンを過ごして来ており、何とか好成績を獲得すべく、懸命な努力を続けてきました。ようやくこの週末、その結果が得られて本当に嬉しく思っています。

小林可夢偉 (DENSO KOBELCO SARD LC500 39号車)
自分にとっては初めてのサーキットなので、正直なところ、来る前は勝てるとは思っていませんでした。前戦の鈴鹿では、僕は予選も決勝も走っておらず、その前の富士もWECで欠場したため、事実上、開幕戦の岡山以来、久しぶりにLC500に乗ってのレースでした。そんな中で勝てたというのはすごく嬉しいし、チームがすごく頑張ってくれました。ここまで仕上げてくれたチームのみんな、そしてもちろん前半すごく頑張ってトップで僕に車を渡してくれたヘイキにも感謝します。状況としてはそんな簡単なレースではなかったのですが、ヘイキがとってくれたマージンを使いながら、何とか1位をキープできればと頑張りました。また、(大嶋)和也と(関口)雄飛もすごくフェアに戦ってくれました。

大嶋和也 (WAKO'S 4CR LC500 6号車)
11番手からのスタートでしたが、ペースは非常に良くて、フェリックスが2位まで追い上げてくれるという、本当に予想以上の走りで僕にバトンを渡してくれました。僕もあと1台を目指し、抜きたかったのですが、39号車もペースが速く、チャンスをものにできず悔しさの残るレースになってしまいました。これでタイでは4連続表彰台と、本当に調子の良いコースなんですが、今年も勝てませんでした。悔しいですが、次のレースで頑張ります。

フェリックス・ローゼンクヴィスト (WAKO'S 4CR LC500 6号車)
LEXUSにとって、表彰台独占というとても良い一日になりました。11番手グリッドからのスタートで2位フィニッシュできたということで、タフでしたが、良いレースが出来たと思います。LC500はとても好調でしたし、タイヤの選択も上手くいきました。残念ながら勝つことは出来ませんでしたが、とにかく楽しいレースでしたし、みんなも喜んでいます。もう一つ上の順位は、次の富士で狙います。

国本雄資 (WedsSport ADVAN LC500 19号車)
ファーストスティントで山下選手が結構追い上げてくれて、自分に交代したあと3位でコースに復帰できたのですが、ライバル勢のペースも速く、特に36号車のペースが結構速くて追いつかれてしまい、トラフィックに引っかかったところで抜かれてしまいました、ただ、去年から今年と、なかなかいい流れに乗れず、結果も全然出ていなかったので、ここで3位を取れたのはポジティブなことだと思います。後半戦には自分たちが得意なサーキットがあるので、またそこで表彰台獲得、優勝できるように、開発を頑張ります。

山下健太 (WedsSport ADVAN LC500 19号車)
スタート担当だったので、スタートダッシュで前の車を抜くつもりだったのですが、逆に抜かれてしまいました。しかしそこからのペースは悪くなく、予選で前に行った人たちよりも自分の方が速かったのと、展開的にも恵まれて、3台くらい抜くことが出来ました。ただ、単独走行時のペースは、今回前でフィニッシュしたLEXUS勢と比べると結構違うので、そこは今後の課題だと思います。それでも取り合えず3位表彰台が獲得出来たのは良かったです。

関連:【SUPER GT】 第4戦 タイ 結果:DENSO KOBELCO SARD LC500が優勝

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カテゴリー: F1 / SUPER GT