スーパーGT:ホンダ 2021年 第3戦 鈴鹿 決勝レポート
8月21日(土)・22日(日)、鈴鹿サーキット(三重県)で2021年度SUPER GTシリーズ第3戦が開催され、GT500クラスに5台のNSX-GT、GT300クラスに3台のNSX GT3が出走した。

もともとは5月最終週に予定されていた大会だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて開催延期となり、ツインリンクもてぎでの第4戦が先に行われ、その後にこの第3戦が開催された。

週末に向け、鈴鹿サーキットは雨が降ったり止んだりする不安定な曇天となったが、土曜日午後2時30分からの公式予選はドライコンディションで始まりました。NSX-GT勢は#64 Modulo NSX-GT(大津弘樹)、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京)、#8 ARTA NSX-GT(福住仁嶺)、#17 Astemo NSX-GT(塚越広大)がQ1セッションを突破したが、サクセスウエイトが64kgに達し、燃料流量リストリクタが1ランク絞り込まれるハンデを背負った#1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴)はQ2セッションに進むことができなかった。

Q2セッションでは#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也)がポールポジションを獲得、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(大湯都史樹)が2番手に続き、ダンロップタイヤを履くNSX-GTがフロントローを独占した。#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀)は5番手、#17 Astemo NSX-GT(ベルトラン・バゲット)は6番手からスタートすることとなった。

日曜日は決勝レースのスタート前に晴れ間も見えるほどに天候が回復した。スタートではフロントローに並んだ2台のNSX-GTが順当にワンツー体制のままレースを始めたが、5周目にトップを走っていた#64 Modulo NSX-GT(伊沢)がシケインに向けて減速したところブレーキトラブルからコースオフ、レースから脱落してしまった。

代わってトップに立ちレースを引っ張った#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(大湯)は、20周目にドライバー交代のピットインに入り、タイヤ交換と給油を行ってレースに復帰した。ところが、第2スティントに向けて選択したタイヤとコンディションとのマッチングが合っていなかったためか、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原)は本来のペースに戻らず後方からのオーバーテイクを許し、徐々に順位を下げていった。

一方、公式予選Q2セッションに進出できず11番手からスタートした#1 STANLEY NSX-GT(牧野任祐)は重いサクセスウエイトを背負いながらレースの1/3を走りきり、山本にマシンを引き継いだ。牧野からのインフォメーションを参考に異なるスペックのタイヤを装着した山本は、コースに復帰するとじりじりと順位を上げ、最終的にはNSX-GT勢最上位の4位で52周のレースを終えた。7位には#17 Astemo NSX-GT(塚越/バゲット)、9位には#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原/大湯)が入賞してそれぞれ選手権ポイントを獲得した。この結果、山本はドライバーランキングトップ、牧野はランキング2番手へ進出してシーズンを折り返すこととなった。

佐伯昌浩 (株式会社本田技術研究所 Honda GT プロジェクトリーダー)
昨年勝てなかった鈴鹿で勝ちたいと願って週末を迎えました。狙いどおり予選ではワンツーを獲ることができましたが、残念ながら決勝ではそのポジションを活かすことができませんでした。それでも、1号車が重いハンデを背負いながら4位まで上がり、シーズン折り返しの時点でランキングのトップに立ったので悪くはない結果だったと思います。また17号車も着実にポイントを重ねてランキング5番手(実質4番手)につけたのも収穫でした。ただ、予選上位にいながらブレーキトラブルで脱落した64号車、ハンデが軽かったにも関わらずペースが上がらなかった8号車、レース後半失速した16号車についてはその原因を究明する必要があります。次戦は、昨年開催されなかったためFRレイアウトのNSX-GTにとって“初めてのスポーツランドSUGO”になるので、しっかり準備をして臨みます。

山本尚貴(TEAM KUNIMITSU)
土曜日午前中の走り始め、マシンのバランスが想定した状態ではなく、それを取り戻すのに時間がかかって予選11番手に沈んでしまいました。そこからレースに向けてマシンを調整したところ、それがレースでしっかり機能してくれて順位を上げることができました。実は、天候が不順だったのでスタートでハード側のタイヤを使うのはリスクがあると考え、ハード側のタイヤの方がいいのは分かっていたにもかかわらず、僕のリクエストで予選も決勝スタートもソフト側のタイヤを選ぶことにしました。その結果、レース前半、牧野選手にはかなりつらい思いをさせてしまい申し訳なかったです。でも、牧野選手からのフィードバックをもとに後半スティントではハード側のタイヤを迷いなく選んで、息を吹き返すことができました。表彰台には上がれませんでしたが、しっかりポイントを獲ってシーズンを折り返せるので、気分はいいです。

牧野任祐(TEAM KUNIMITSU)
この週末の走り出しは、燃料リストリクタの面でストレートスピードが伸びないなど厳しい面があったのですが、それを少しでもよくしようとマシンのセットをいろいろ考えました。ただレースウイークは雨がらみになりそうだったので、それを考慮しながらタイヤを選んでQ1を走ったらあまりうまくいかずに11番手スタートになってしまいました。その後、決勝に向けてセットアップも変えましたが、レースのスタートタイヤは予選の時点で決まってしまうので、“あまり使いたくないスペックのタイヤ”でスタートせざるを得ず、かなり厳しいレースになってしまいました。それでも後半に向けていろいろインフォメーションを伝えて、燃費のことも考えながらやれることをやって引き継ぎました。後半はペースも戻って、最終的には4位という結果で終われました。チャンピオンシップを考えるといい結果だったかなと思います。今後はさらにサクセスウエイトが厳しくなっていくので、しぶとく戦いたいと思います。

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カテゴリー: F1 / SUPER GT