ミハエル・シューマッハの“心理戦”をロズベルグ告白 「トイレまで利用した」

2010年にメルセデスがワークスチームとしてF1に復帰した際、ロズベルグは当時F1史上最多となる7度のワールドチャンピオンであるミハエル・シューマッハとコンビを組んだ。
ロズベルグは『High Performance』ポッドキャストで、シューマッハが常にチームメイトへ精神的なプレッシャーをかける方法を探していたと語った。
「彼はメンタルの戦士なんだ」とロズベルグは語った。
「彼はチームメイトを精神的に打ち負かすことに人生を懸けていた。意地悪というわけではなく、ギリギリ許されるグレーゾーンの中でやるんだ。彼は毎日そのグレーゾーンを使っていた。朝起きた瞬間からだ。それが彼の本質なんだ」
駐車場で仕掛けられた心理戦
「彼は自分に言い聞かせてチームメイトへプレッシャーをかけていたわけではない。それが自然に出てくるんだ。それが彼の生き方だった。例えば、サーキットに到着したとき、ドライバーごとに駐車スペースが1台分しかない場合があった」
ロズベルグによると、シューマッハはわざと自分の駐車スペースにはみ出して車を停めていたという。
「全部で20台くらいの駐車スペースがあって、チーム代表たちも使っていた。ミハエルは白線を少し越えて僕のスペースにはみ出すように停めるんだ。タイヤ2本分だけだけど、それで僕は車を入れられなくなる」
「当然ストレスになる。僕は会議に遅れそうだったからね。エンジニアリングミーティングにはいつも開始1分前に駆け込むようなものなんだ。一番嫌なのは、みんなを待たせて遅刻することだ。工場では50人くらいがオンラインで見ていて、『ニコを待っています』なんて言われる。それは本当に最悪なんだ。だから彼はわざとそうしていた」
モナコ予選での“トイレ封鎖”
ロズベルグは、シューマッハの心理戦がコックピットの外でも続いていたとして、モナコGP予選での出来事を紹介した。
「モナコの予選では、彼はガレージに1つしかないトイレに閉じこもったんだ。本当に1つしかなかった」
「ドライバーがマシンに乗り込む直前に最後にやることはトイレに行くことだ。ところが彼はドアに鍵をかけて、中で腕時計を見ながら座っていた」
「時間だけが過ぎていく。そして彼は、ストレスを抱えたままレースカーに乗り込むのがどれほど嫌なことか知っていた。シートベルトは慎重に調整しなければならない。特に股の間を通るベルトだ。完璧に合わせないといけない。走行中にずれてしまったら、もうどうすることもできないからね」
ロズベルグは、ベルトの位置が悪いままレースを戦う苦痛についても説明した。
「これは全ドライバーが経験していることだ。本当に痛い。ブレーキングのたびに体が前へ押し出されるし、何かがおかしいと1時間ずっとそのまま走らなければならない。修正もできない。だから絶対に焦った状態で乗り込みたくないんだ」
最後はバケツを探す羽目に
「でも彼はトイレの中にいた。鍵をかけたままね。僕はドアを叩いていたけど、誰が入っているのかさえ分からなかった。返事もなかったからだ」
「『出てきてくれ、お願いだから。行かなきゃいけないんだ』と叫んだ。でも彼は自分が何をしているのか分かっていた。あと3分、あと2分と時間が過ぎていった」
最終的にロズベルグは別の方法を探さなければならなかった。
「その時にはガレージの奥でバケツを探すしかなかった。だから僕は、周囲でメカニックたちが作業している中で、バケツに向かって用を足していたんだ」
「ストレスで震えていた。そんなことが一日中続くんだ。彼はそれを楽しんでいたよ」
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