デイモン・ヒル ミハエル・シューマッハを「密告した」1994年F1騒動を告白

ヒルはシルバーストンで開催された『F1 Nation』公開収録に出演。当時、無線でFIAに違反を報告したことが、シューマッハへのペナルティ、さらにはベネトンに科された約37万ポンド(当時約50万ドル)の罰金と2戦出場停止処分につながった経緯を振り返った。
1994年イギリスGPでシューマッハを「密告」
ヒルとシューマッハは1990年代を代表する宿敵として幾度も激しい戦いを繰り広げたが、その象徴的な出来事の一つが1994年イギリスGPだった。
当時ポールポジションを獲得していたヒルは、フォーメーションラップで先頭を走る立場だった。しかし、シューマッハはそのルールを無視するように何度もヒルを追い抜いたという。
ヒルは当時を次のように振り返った。
「正直に言うと、僕はミハエル・シューマッハを密告したことがある」
「1994年のことだけど、グリッドへ向かう時、ポールポジションの僕が先頭で隊列を引っ張る決まりだった」
「ところが彼は毎回僕を追い抜いていった。そしてスタートがやり直しになった後も、また同じことをしたんだ」
違和感を覚えたヒルは、すぐにチームラジオで状況を伝えた。
「何かおかしいと思ったから無線で『皆さん気付いているか分からないけど、彼がまた僕を追い抜きました』と伝えた」

ペナルティ無視で失格 さらに罰金と2戦出場停止へ
ヒルの報告を受け、この件はレース中に審議対象となり、シューマッハには5秒のストップ・アンド・ゴーペナルティが科された。
しかしシューマッハはその指示に従わず走行を続けたため、黒旗(失格)が提示される事態となる。
その後FIAはレース後の裁定で、シューマッハとベネトンに約37万ポンド(約50万ドル)の罰金を科し、シューマッハには2戦の出場停止処分を下した。
ヒルは当時の経緯について次のように語っている。
「その抗議がレース中の審議につながり、それで彼は5秒ペナルティを受けた。でも彼はそれを無視した」
「その後、黒旗も無視したことで失格になった」
「後悔している? ……いや、していない」
現在ではドライバーがチームラジオでライバルへのペナルティを求める場面が珍しくないが、ヒルは「自分たちの時代から同じようなことはあった」と笑いながら振り返った。
そして最後には、1994年の「密告」について率直な本音を明かしている。
「PKエリア内で倒れ込んでファウルをもらうようなものかな。本当は気分が良くない……」
「いや、やっぱり良かったよ。あれは僕が唯一勝ったイギリスGPだったからね。結果的にはうまくいったんだ」
今回の証言は、1994年イギリスGPで起きた有名な一件の舞台裏を、当事者であるヒル自身が改めて振り返ったものだ。当時のシューマッハとの激しいライバル関係を象徴するエピソードとして、現在も語り継がれている。
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