ミハエル・シューマッハを讃えて F1イタリアGPで“シューマッハ・ラウンジ”開催
ミハエル・シューマッハのF1史に燦然と輝く栄光の軌跡を称える特別企画「シューマッハ・ラウンジ」が今年のイタリアGP(モンツァ)で開催される。

今年10月、ミハエル・シューマッハがF1で初のワールドチャンピオンを獲得してから31周年、そして彼がフェラーリで初のタイトルを掴み取ってから25周年という記念すべき節目を迎える。フェラーリでの初タイトルは2000年、日本GP(鈴鹿)での劇的な勝利によってもたらされ、ミカ・ハッキネンの3連覇の夢を打ち砕く結果となった。

この勝利によって、フェラーリ陣営に長らくのしかかっていた重いプレッシャーはついに取り除かれた。跳ね馬が前回ドライバーズタイトルを手にしてから実に21年。最後の栄冠は1979年のジョディ・シェクターであり、それ以降のフェラーリは輝きを失い、低迷の時代を過ごしていた。コンストラクターズタイトルを獲得した年もあったが、ドライバーズ王座には及ばなかった。

1980年代にはディディエ・ピローニ、ルネ・アルヌー、ミケーレ・アルボレートらが好成績を残したものの、王座には届かなかった。ウィリアムズ、ブラバム、マクラーレン、ベネトンといった、エンツォ・フェラーリが「ガレージ屋(garagistes)」と蔑んだコンストラクターたちにタイトルは奪われていった。

アラン・プロストが1990年にフェラーリへ移籍してタイトルを目指したが実現せず、チームの競争力も低下していく。流れを変えたのはジャン・トッドの加入と、1990年代半ばのベネトン成功メンバー──ロス・ブラウン、ロリー・バーン、そしてシューマッハ本人──のトランスファーだった。

2000年、フェラーリはついにすべてを正しい方向へと揃えた。前年に脚を骨折し、戦線離脱を経験していたシューマッハだったが、完全復活を果たし、F1-2000を駆って当時アドリアン・ニューウェイが設計したマクラーレン勢に真っ向勝負を挑んだ。ハッキネンとのシーズンを通じた熾烈な戦いのなかで、決定打となったのはインディアナポリスでのF1初開催となったアメリカGP。ハッキネンのマシンがエンジンブローに見舞われる一方で、シューマッハは勝利を手にした。

その結果、鈴鹿を前にシューマッハは8ポイントのリードを得る。1998年には日本GPでスタート時にストールし、最後尾から追い上げを強いられてタイトルを逃した因縁の地でもあった。だが今回は違った。

レース序盤はハッキネンがリードを築いたが、レース中盤、鈴鹿に軽い雨が降り始める。雨の魔術師シューマッハが追撃を開始し、ピットストップ戦略でも一歩リード。最終的に逆転に成功し、ポイント差を拡大させてタイトルを確定させた。

続くマレーシアGPでは、フェラーリがコンストラクターズタイトルとともに21年ぶりのドライバーズタイトルを盛大に祝った。表彰台にはシューマッハ、ブラウン、ルーベンス・バリチェロの3人が赤いカツラ姿で登場し、祝賀ムードに包まれた。

この勝利は黄金時代の序章にすぎなかった。シューマッハはこの後、2001年から2004年まで4連覇を達成し、F1史上初の7回のワールドチャンピオンに輝いた。

ミハエル・シューマッハ 2000年 F1 日本グランプリ

そしてこの伝説を称えるため、シューマッハの支援財団「Keep Fighting Foundation」と「Driver Lounge」が連携し、今年のイタリアGP(モンツァ)にて、F1イベント初となる“シューマッハ・ラウンジ”が開催される。

この特別なホスピタリティ空間では、1991年のジョーダンからのデビュー、ベネトンでの1994年・1995年のタイトル、フェラーリ時代、そしてメルセデスへの復帰まで、シューマッハのキャリアを余すところなく讃える。

モンツァのピットレーン出口正面のグランドスタンド観戦席に加え、専用テラスからのトラックサイド観戦も可能。レースウィークエンドを通して、ゲストはF1観戦の最前線で贅沢な体験を堪能できる。

ラウンジ内には、実際に戦いを重ねたマシンや装備品の展示に加え、シューマッハとともに戦った関係者やライバルたちによるトークセッションも予定されている。

さらに、土曜夜には“Friends & Foes”と題したディナーイベントを開催し、Keep Fighting Foundationと連携したチャリティオークションも実施。週末を通じて行われるサイレントオークションと併せ、落札者はシューマッハの栄光のキャリアを象徴する貴重な記念品を手に入れることができる。オークションの収益は、神経科学や交通安全の研究など、同財団が推進する慈善活動に寄付される。

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー: F1 / ミハエル・シューマッハ / F1イタリアGP