佐藤琢磨 「大きな期待を抱いていたので残念だった」 / インディカー
佐藤琢磨が、インディカー第7戦・8戦 デトロイトのレース週末を振り返った。
ベライゾン・インディカー・シリーズで唯一のダブルヘッダー戦となるデトロイトGPは、これまで佐藤琢磨にとって宝の山も同然のレースだった。ところが今年は土曜日が11位で日曜日が10位に終わり、まずまずのポイントを稼ぎ出したものの、#14 AJフォイト・レーシング・ダラーラ・ホンダを駆る佐藤琢磨にはやや不満な結果に終わった。
「トップ10フィニッシュだからよかったじゃないかと思われるかも知れません」と佐藤琢磨。「でも、僕はもっと上位を狙っていたので、正直、いささか残念です。なにしろ、デトロイトは僕が得意とするコースで、昨年は表彰台を獲得したほか、2014年もポールを勝ち取ったり何度もレースをリードしていたんですから……」
2016年も雨は降ったが、佐藤琢磨にとって都合のいいタイミングではなかった。しかも、インディカー・シリーズのなかでもっとも路面がバンピーなことで知られるベル・アイル・サーキットは、いつもにもましてチャレンジングだった。
「僕たちは昨年のセットアップをベースとしたマシンを持ち込みましたが、もちろんエアロパッケージは新しくなっています。また、タイヤのスペックは変わっていないと思われるものの、今シーズンは素材の一部が変更になったため、硬めのブラック・タイヤは従来よりもさらに長持ちするようになりました。これがレース戦略にどの程度影響を与えるか、興味深いところでした。おまけに路面は昨年よりもさらにバンピーになっていました。カナダ国境と接しているデトロイトは冬が厳しいので、これが影響しているのでしょう。昨年はコンクリートパッチで路面が補修されましたが、それでも今年はさらにシビアな状態になったと思います。グリップは上がったものの、路面は信じられないほどバンピーだったのです」
ダブルヘッダーのため、デトロイトGPのプラクティスは通常のシリーズ戦よりも走行時間が短くなり、土曜日の決勝レースに向けて金曜日に行われる予選の前には1回しか走行のチャンスがない。
そういった状況を考えれば、予選グループで4番手になって第2セグメントへの進出を果たしたことは満足できる結果だったといえる。
「嬉しい驚きでした。全ドライバーがブラック・タイヤでアタックを終えたとき、僕はトップに立っていました。マシンはギリギリの状態でしたが、期待が持てる展開でした。ところがレッド・タイヤでは思ったようにいかず、タイムを詰めることができません。グリップ・レベルは上がっているのですが、舗装の状態、コンディション、セットアップなどの影響により、タイヤが1周ももたなかったのです。レッド・タイヤを履いた最初のラップは遅いマシンに引っかかり、2ラップ目はもうグリップが低下していて、オーバーステアがひどい状態でした。ところが、ブラック・タイヤで記録したタイムで、僕は第2セグメントに進出することができたのです」
「他のドライバーもよく似た症状に苦しんだようです。レッド・タイヤの摩耗があまりに早いため、本来の性能を引き出すには路面にしっかりとラバーが乗っている必要があったのです」
ここで佐藤琢磨らは「第2セグメントにはどちらのタイヤで挑むべきか?」の選択を迫られることになる。しかし、新品のブラック・タイヤは第3セグメントに進出した場合と決勝のためにキープしておかなければいけないので、佐藤琢磨は中古のブラック・タイヤで走行してから新品のレッド・タイヤに履き替えることを決める。
「本当に残念な結果でした。もしも新品のブラック・タイヤを投入していれば第3セグメントに駒を進めることができたでしょうが、それでは決勝レースで苦戦するのは目に見えていました」
土曜日の朝に行われるプラクティスではレッド・タイヤによる走行は問題なく終わったものの、「決勝用セットでブラック・タイヤを装着するとスピードが伸び悩みました。そこでレース1に向けてさらにセッティングを変更することにしました」
「もう、雨乞いをしたい気分でした! けれども、期待どおりにはいきませんでした」 実際には、本降りの雨にはならず、軽い小雨が降った程度。ウェット・タイヤが必要にならなかったばかりか、ペースが大きく落ち込むようなコンディションにもならなかったのだ。
「180mph(約288km/h)から50〜60mph(約80〜96km/h)まで急減速するオープニングラップのターン3は、いつもひどい混雑になります。僕は3ワイドになってここに進入、ウィル・パワーと軽く接触しました。ここでポジションをいくつか上げることに成功したものの、セットアップ変更はあまり功を奏さなかったようで、スタート時に装着していたレッド・タイヤでのペースはとりわけ遅かったほか、次第に順位を落とすようになりました。そこで早めのピットストップを行うことにします。自分たちのレース戦略を考慮しながら、ピットウィンドウが開くとすぐにピットレーンに飛び込みました。けれども、たくさんのドライバーが僕たちと同じことを考えていたのです!」
ジェイムズ・ヒンチクリフのアクシデントでイエローが提示されると、チームは2度目のピットストップを実施。グリーンのまま24周を走りきれる燃料を補給し、タイヤを交換すると#14のマシンをコースに送り出した。
「けれども、それには燃料をかなりセーブしなければいけませんでした。また、このときピットストップをしなかったドライバーはリスタートが切られると全速力で周回し、タイヤ交換をしても僕たちの前に復帰できる十分なマージンを築いたのです。いっぽうの僕は、燃費走行をするマシンの隊列に行く手を阻まれていました。おかげで、なにかとアップ・ダウンの激しいレースだったにもかかわらず、終わってみればスターティンググリッドと同じ11番手でチェッカード・フラッグを受けることになったのです」
最後のスティントでいくつかポジションを落とした佐藤琢磨は、最後の4ラップでいくぶんなりとも挽回することに成功する。
「僕が速い区間でオーバーテイクされることはありませんでした。けれども、ターン2ではひどいアンダーステアに苦しんでいたので、ターン3で攻略されることもありました」
レース1で得られたデータをもとに、日曜日のレース2までにセットアップをさらに煮詰めることが期待された。そしてこの期待は、予選セッション中に確信へと変わる。レース2の予選では、全ドライバーをふたつのグループに分割したうえで、各グループが12分間ずつのセッションを行ってスターティンググリッドを決定する。もちろん、ここでも「レッド・タイヤを履くか、ブラック・タイヤを履くか?」という選択を迫られた。
「Q1では、レッド・タイヤのほうが速かったドライバーは少数派でした。また、土曜日の晩には激しい雨が降ったため、路面はグリーンな状態で、タイムを記録するまでには数ラップを要することが予想されました。僕たちは新品のブラック・タイヤを履いて計測ラップを3周走行した後、新品のレッド・タイヤに履き替えるつもりでした。けれども、第2グループに振り分けられた僕たちは、最初のグループがすでに走行を終えていたため、まずは新品のレッド・タイヤでアタックし、その後で新品のブラック・タイヤを装着したほうが好ましいと考えられました。なぜなら、第1グループのポールシッターは、ブラック・タイヤでベストタイムをマークしていたからです。僕はまず、レッド・タイヤでまずまずのタイムを記録。続いてブラック・タイヤに履き替えましたが、ここで雨が降り始めてしまいます。同じ雨量で降り続く雨だったら大歓迎ですが、僕の予選を台無しにするような雨だけは勘弁して欲しいものです!」
「僕が3ラップ目を走っていたとき、この通り雨は止みました。そのまま4ラップ目を走れるくらいの燃料が、僕のマシンには積まれていました。僕はタイムを更新したいと思っていましたが、ドライになっているのはレーシングラインだけだったので、これは非常にリスキーな賭けでした。けれども、思いのほかよくグリップしたので、僕は全力でプッシュしました。いくつかコーナーを抜けたところで、それまでよりも0.25秒ほど速いことが明らかになりました。ところがターン3で誰かがスピンしたためにイエローが提示されてしまいます。ものすごく残念でした」
このため佐藤琢磨は、危険地帯のまっただなかというべき16番グリッドからスタートすることになる。
「スタートで接触したドライバーがいて、ヒンチクリフはウォールにヒットしました。僕はそれを避けようとしましたが、とても混み合っていたため、後方から追突されたうえにパンクを喫し、ハーフスピンに追い込まれました。おまけにマルコ・アンドレッティが僕のフロントウィングを壊していきました。幸いにも、サスペンションにダメージがなかったうえ、セーフティクルーが素早く作業をしてくれたおかげでラップダウンになることなく、エンジンを再始動させてタイヤを交換できました。そして次のラップでノーズを交換し、レースを再開することになったのです」
佐藤琢磨は18番手になったが、レースはまたもや彼らが期待するような展開にはならなかった。ピットストップを終え、レースが残り10周となったとき、10番手まで挽回していた佐藤琢磨は、アンドレッティに行く手を阻まれるいっぽう、直後につけたグレアム・レイホールからの攻撃をかわしながらフィニッシュを目指すことになる。
「マシンはレース1のときよりよくなっていましたが、ライバルたちが軒並み速くなっているのに対し、僕のパフォーマンスは上位を狙うには不十分なものでした。したがって、とりあえずは前のドライバーについていき、レース戦略で順位を上げるしか方法はありませんでした。しかも、マシンはダメージを負っており、完璧な状態ではありません。したがって、10位は決して悪い結果ではありませんが、僕はもっといい成績を期待していたのです」
「僕はマルコやアレクサンダー・ロッシ、それにロニー・カナーンやカルロス・ムニョスらと好バトルを演じました。一時はチームメイトのジャック・ホークスワースともバトルしました。最終的には、レイホールとロッシを抑え、マルコにチャレンジしながらフィニッシュすることになります。最後の数周は激戦でしたが、結果は10位です。開幕戦でシーズン初の市街地レースとなったセントピーターズでは好調で、市街地レースの2戦目となったロングビーチではとてもコンペティティブで、ここデトロイトでは過去2シーズンともコンペティティブだったから、大きな期待を抱いていたのですが、残念な結果に終わってしまいました。けれども、できればここから何かを学び取って、シーズンの残るレースに生かしたいと思います」
もっとも、デトロイトで学んだことが次のレースで大きく役立つことはないだろう。なにしろ今週の土曜日に開催される戦いの舞台は、ハイバンクで知られるテキサス・スーパースピードウェイなのだ。
「過去数シーズン、テキサスで好調だったことはありませんし、僕たちはシーズン前のテストに参加しなかった2チームのうちのひとつなのです。ただし、チームのホームレースともいえる大事な一戦ですし、インディアナポリスで行われた“マンス・オブ・メイ”では、僕たちのスーパースピードウェイ・パッケージが好調だったこともありましたので、ここからさらにマシンを進化させ、レースを力強く戦えることを期待しています」
カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨 / フォース・インディア / インディカー
ベライゾン・インディカー・シリーズで唯一のダブルヘッダー戦となるデトロイトGPは、これまで佐藤琢磨にとって宝の山も同然のレースだった。ところが今年は土曜日が11位で日曜日が10位に終わり、まずまずのポイントを稼ぎ出したものの、#14 AJフォイト・レーシング・ダラーラ・ホンダを駆る佐藤琢磨にはやや不満な結果に終わった。
「トップ10フィニッシュだからよかったじゃないかと思われるかも知れません」と佐藤琢磨。「でも、僕はもっと上位を狙っていたので、正直、いささか残念です。なにしろ、デトロイトは僕が得意とするコースで、昨年は表彰台を獲得したほか、2014年もポールを勝ち取ったり何度もレースをリードしていたんですから……」
2016年も雨は降ったが、佐藤琢磨にとって都合のいいタイミングではなかった。しかも、インディカー・シリーズのなかでもっとも路面がバンピーなことで知られるベル・アイル・サーキットは、いつもにもましてチャレンジングだった。
「僕たちは昨年のセットアップをベースとしたマシンを持ち込みましたが、もちろんエアロパッケージは新しくなっています。また、タイヤのスペックは変わっていないと思われるものの、今シーズンは素材の一部が変更になったため、硬めのブラック・タイヤは従来よりもさらに長持ちするようになりました。これがレース戦略にどの程度影響を与えるか、興味深いところでした。おまけに路面は昨年よりもさらにバンピーになっていました。カナダ国境と接しているデトロイトは冬が厳しいので、これが影響しているのでしょう。昨年はコンクリートパッチで路面が補修されましたが、それでも今年はさらにシビアな状態になったと思います。グリップは上がったものの、路面は信じられないほどバンピーだったのです」
ダブルヘッダーのため、デトロイトGPのプラクティスは通常のシリーズ戦よりも走行時間が短くなり、土曜日の決勝レースに向けて金曜日に行われる予選の前には1回しか走行のチャンスがない。
そういった状況を考えれば、予選グループで4番手になって第2セグメントへの進出を果たしたことは満足できる結果だったといえる。
「嬉しい驚きでした。全ドライバーがブラック・タイヤでアタックを終えたとき、僕はトップに立っていました。マシンはギリギリの状態でしたが、期待が持てる展開でした。ところがレッド・タイヤでは思ったようにいかず、タイムを詰めることができません。グリップ・レベルは上がっているのですが、舗装の状態、コンディション、セットアップなどの影響により、タイヤが1周ももたなかったのです。レッド・タイヤを履いた最初のラップは遅いマシンに引っかかり、2ラップ目はもうグリップが低下していて、オーバーステアがひどい状態でした。ところが、ブラック・タイヤで記録したタイムで、僕は第2セグメントに進出することができたのです」
「他のドライバーもよく似た症状に苦しんだようです。レッド・タイヤの摩耗があまりに早いため、本来の性能を引き出すには路面にしっかりとラバーが乗っている必要があったのです」
ここで佐藤琢磨らは「第2セグメントにはどちらのタイヤで挑むべきか?」の選択を迫られることになる。しかし、新品のブラック・タイヤは第3セグメントに進出した場合と決勝のためにキープしておかなければいけないので、佐藤琢磨は中古のブラック・タイヤで走行してから新品のレッド・タイヤに履き替えることを決める。
「本当に残念な結果でした。もしも新品のブラック・タイヤを投入していれば第3セグメントに駒を進めることができたでしょうが、それでは決勝レースで苦戦するのは目に見えていました」
土曜日の朝に行われるプラクティスではレッド・タイヤによる走行は問題なく終わったものの、「決勝用セットでブラック・タイヤを装着するとスピードが伸び悩みました。そこでレース1に向けてさらにセッティングを変更することにしました」
「もう、雨乞いをしたい気分でした! けれども、期待どおりにはいきませんでした」 実際には、本降りの雨にはならず、軽い小雨が降った程度。ウェット・タイヤが必要にならなかったばかりか、ペースが大きく落ち込むようなコンディションにもならなかったのだ。
「180mph(約288km/h)から50〜60mph(約80〜96km/h)まで急減速するオープニングラップのターン3は、いつもひどい混雑になります。僕は3ワイドになってここに進入、ウィル・パワーと軽く接触しました。ここでポジションをいくつか上げることに成功したものの、セットアップ変更はあまり功を奏さなかったようで、スタート時に装着していたレッド・タイヤでのペースはとりわけ遅かったほか、次第に順位を落とすようになりました。そこで早めのピットストップを行うことにします。自分たちのレース戦略を考慮しながら、ピットウィンドウが開くとすぐにピットレーンに飛び込みました。けれども、たくさんのドライバーが僕たちと同じことを考えていたのです!」
ジェイムズ・ヒンチクリフのアクシデントでイエローが提示されると、チームは2度目のピットストップを実施。グリーンのまま24周を走りきれる燃料を補給し、タイヤを交換すると#14のマシンをコースに送り出した。
「けれども、それには燃料をかなりセーブしなければいけませんでした。また、このときピットストップをしなかったドライバーはリスタートが切られると全速力で周回し、タイヤ交換をしても僕たちの前に復帰できる十分なマージンを築いたのです。いっぽうの僕は、燃費走行をするマシンの隊列に行く手を阻まれていました。おかげで、なにかとアップ・ダウンの激しいレースだったにもかかわらず、終わってみればスターティンググリッドと同じ11番手でチェッカード・フラッグを受けることになったのです」
最後のスティントでいくつかポジションを落とした佐藤琢磨は、最後の4ラップでいくぶんなりとも挽回することに成功する。
「僕が速い区間でオーバーテイクされることはありませんでした。けれども、ターン2ではひどいアンダーステアに苦しんでいたので、ターン3で攻略されることもありました」
レース1で得られたデータをもとに、日曜日のレース2までにセットアップをさらに煮詰めることが期待された。そしてこの期待は、予選セッション中に確信へと変わる。レース2の予選では、全ドライバーをふたつのグループに分割したうえで、各グループが12分間ずつのセッションを行ってスターティンググリッドを決定する。もちろん、ここでも「レッド・タイヤを履くか、ブラック・タイヤを履くか?」という選択を迫られた。
「Q1では、レッド・タイヤのほうが速かったドライバーは少数派でした。また、土曜日の晩には激しい雨が降ったため、路面はグリーンな状態で、タイムを記録するまでには数ラップを要することが予想されました。僕たちは新品のブラック・タイヤを履いて計測ラップを3周走行した後、新品のレッド・タイヤに履き替えるつもりでした。けれども、第2グループに振り分けられた僕たちは、最初のグループがすでに走行を終えていたため、まずは新品のレッド・タイヤでアタックし、その後で新品のブラック・タイヤを装着したほうが好ましいと考えられました。なぜなら、第1グループのポールシッターは、ブラック・タイヤでベストタイムをマークしていたからです。僕はまず、レッド・タイヤでまずまずのタイムを記録。続いてブラック・タイヤに履き替えましたが、ここで雨が降り始めてしまいます。同じ雨量で降り続く雨だったら大歓迎ですが、僕の予選を台無しにするような雨だけは勘弁して欲しいものです!」
「僕が3ラップ目を走っていたとき、この通り雨は止みました。そのまま4ラップ目を走れるくらいの燃料が、僕のマシンには積まれていました。僕はタイムを更新したいと思っていましたが、ドライになっているのはレーシングラインだけだったので、これは非常にリスキーな賭けでした。けれども、思いのほかよくグリップしたので、僕は全力でプッシュしました。いくつかコーナーを抜けたところで、それまでよりも0.25秒ほど速いことが明らかになりました。ところがターン3で誰かがスピンしたためにイエローが提示されてしまいます。ものすごく残念でした」
このため佐藤琢磨は、危険地帯のまっただなかというべき16番グリッドからスタートすることになる。
「スタートで接触したドライバーがいて、ヒンチクリフはウォールにヒットしました。僕はそれを避けようとしましたが、とても混み合っていたため、後方から追突されたうえにパンクを喫し、ハーフスピンに追い込まれました。おまけにマルコ・アンドレッティが僕のフロントウィングを壊していきました。幸いにも、サスペンションにダメージがなかったうえ、セーフティクルーが素早く作業をしてくれたおかげでラップダウンになることなく、エンジンを再始動させてタイヤを交換できました。そして次のラップでノーズを交換し、レースを再開することになったのです」
佐藤琢磨は18番手になったが、レースはまたもや彼らが期待するような展開にはならなかった。ピットストップを終え、レースが残り10周となったとき、10番手まで挽回していた佐藤琢磨は、アンドレッティに行く手を阻まれるいっぽう、直後につけたグレアム・レイホールからの攻撃をかわしながらフィニッシュを目指すことになる。
「マシンはレース1のときよりよくなっていましたが、ライバルたちが軒並み速くなっているのに対し、僕のパフォーマンスは上位を狙うには不十分なものでした。したがって、とりあえずは前のドライバーについていき、レース戦略で順位を上げるしか方法はありませんでした。しかも、マシンはダメージを負っており、完璧な状態ではありません。したがって、10位は決して悪い結果ではありませんが、僕はもっといい成績を期待していたのです」
「僕はマルコやアレクサンダー・ロッシ、それにロニー・カナーンやカルロス・ムニョスらと好バトルを演じました。一時はチームメイトのジャック・ホークスワースともバトルしました。最終的には、レイホールとロッシを抑え、マルコにチャレンジしながらフィニッシュすることになります。最後の数周は激戦でしたが、結果は10位です。開幕戦でシーズン初の市街地レースとなったセントピーターズでは好調で、市街地レースの2戦目となったロングビーチではとてもコンペティティブで、ここデトロイトでは過去2シーズンともコンペティティブだったから、大きな期待を抱いていたのですが、残念な結果に終わってしまいました。けれども、できればここから何かを学び取って、シーズンの残るレースに生かしたいと思います」
もっとも、デトロイトで学んだことが次のレースで大きく役立つことはないだろう。なにしろ今週の土曜日に開催される戦いの舞台は、ハイバンクで知られるテキサス・スーパースピードウェイなのだ。
「過去数シーズン、テキサスで好調だったことはありませんし、僕たちはシーズン前のテストに参加しなかった2チームのうちのひとつなのです。ただし、チームのホームレースともいえる大事な一戦ですし、インディアナポリスで行われた“マンス・オブ・メイ”では、僕たちのスーパースピードウェイ・パッケージが好調だったこともありましたので、ここからさらにマシンを進化させ、レースを力強く戦えることを期待しています」
カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨 / フォース・インディア / インディカー