佐藤琢磨 「まったく信じられないようなことが起きた・・・」
佐藤琢磨が、インディカー 第12戦アイオワのレース週末を振り返った。
アイオワ・スピードウェイで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズでは、想像もしないような不運がまたもや佐藤琢磨に襲いかかったが、その原因を作ったのは、ヒューストンのときと同じ、ロシア人ルーキーのミハイル・アレシンだった。
全長7/8マイルで、バンク角が大きなアイオワのオーバルで問題のアクシデントが起きたのは、300周のレースの48周目で、雨で中断されていた競技が再開された直後のことだった。
今週末は悪天候に翻弄される展開となったが、佐藤琢磨とAJフォイト・レーシングのNo.14 ダラーラ・ホンダは力強い走りを示し、2回目のフリープラクティスでは4番手のタイムを記録した。
本来、このセッションは予選後に実施される予定だったが、激しい雷の影響で最初のセッションが大幅に短縮されたのに続き、2回目のフリープラクティスを予選前に行なうようスケジュールが変更された。
「この日は、強くて気まぐれな風が吹き荒れていましたが、マシーンは好調でした」と佐藤琢磨はコメント。
「プラクティスは順調で、力強いパフォーマンスを示すことができましたが、ひとつだけあまり満足できないことが残っていました。僕たちのマシーンはスピードがあったものの、やや危なげなところがあり、リアエンドが不安定に感じられたのです。ターン2とターン4にある大きなバンプを乗り越えるときは、リアのグリップがいまにも抜けてしまいそうでした」
「2回目のセッションは雨のために中断されたので、プラクティスは実質的に40分間しかありませんでした。しかも、最初のセッションではサスペンションに細かなトラブルがあり、パーツ交換のために走行を中断しなければいけなかったので、このときは5周の計測ラップしか走行できませんでした」
残念ながら、佐藤琢磨の好調さが予選に持ち越されることはなかった。2011年にはインディカーで初のポールポジションを獲得し、これまでにも何度となく佐藤琢磨が輝きを放ったアイオワの予選で16位に終わったのだから、残念というほかない。
「それまではリアエンドに問題を抱えているとは思いませんでしたが、予選を迎えてそれがはっきりと浮かび上がってきたのです。予選では、いつものようにダウンフォースを削り、ハンドリングをできるだけニュートラルに近づけていきますが、アタック中にヒヤッとすることがあり、タイムを大きくロスしました。このため、レースに向けてはセッティングの方向性を見直さなければいけないことになりました」
「アイオワのオーバルはバンク角が大きく、ひどいバンプがあることが特徴です。コーナーでかかる横Gの大きさはシリーズ中最大で、通常でも5G、予選では6Gがドライバーにのしかかります」
予選後のセッションが繰り上げられたことで、AJフォイト・レーシングはセッティングを変更したマシーンを走らせる機会がないまま決勝を迎えることになった。
レースが始まるとすぐに佐藤琢磨は16番手から19番手までポジションを落とし、最初のスティントの大半をこの順位で走行した。しかし、やがて雨が降り始めたためレースは一時中断されることとなる。
「スタートではグレアム・レイホールとサイド・バイ・サイドになりました。彼はスタート直後のターン2でコースの上側(アウト側)にどんどん寄ってきて、僕たちはサイド・バイ・サイドのままおそらく3/4周ほど走りました。僕は下側(イン側)に降りて別のレーンを走りたかったのですが、彼はどんどん上がってきたので、あまりいい気分はしませんでした。そして僕たちはターン3とターン4でもサイド・バイ・サイドになり、彼はまったく同じことを繰り返したのです。このときはスロットルを大きく戻したため、ポジションを落とすこととなりました」
「ファン-パブロ・モントーヤとのバトルはとても楽しいものでしたが、僕のマシーンはアンダーステアがひどく、タイア・デグラデーションが急激に進行していきました。けれども、僕はこう考えていました。『OK、今日は300ラップのレースだ。だから、いますぐプッシュする必要はない。最初のピットストップまで我慢すればいいんだ』 僕はとにかくリードラップに留まろうとしました。少し危ういときもありましたが、なんとか凌ぎきりました」
雨が止むと、ペースカーに先導されてレースが再開。そしてグリーンフラッグが提示される前に、全ドライバーが最初のピットストップを行なった。
「おそらく、みんなタイア交換のためにピットに入ったのだと思います。僕たちはハンドリングのバランスを改善するためにフロントのフラップを調整しました。けれども、その結果を確認することはできませんでした。なぜなら、まったく信じられないようなことが起きたからです……」
「グリーンフラッグが提示されたとき、僕はチャーリー・キンボールとサイド・バイ・サイドをしようとしていました。そして彼をオーバーテイクしたところで、目の前が真っ白な煙で覆われました。アレシンがスピンしたのです。このとき、僕はすでにウォール近くの上側(アウト側)を走っていたので、白い煙のなかに飛び込む以外、なすすべがありませんでした。まったく、何もできなかったのです。僕は思いっきりブレーキをかけましたが、どうすることもできませんでした」
佐藤琢磨の“不運な夏”はまだ幕を閉じていないようだが、嬉しいことに、レースは次々と開催される。次戦はトロントの市街地コースで繰り広げられるダブルヘッダー・レースとなる。
「アイオワのレースを本当に楽しみにしていました。きっと、この週末で僕たちの巡り合わせが変わると期待していたんです。でも、それは1週間先延ばしになったみたいです! こんなに悪いレースが続いたので、ここからはいい結果を期待したいものです」
カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨
アイオワ・スピードウェイで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズでは、想像もしないような不運がまたもや佐藤琢磨に襲いかかったが、その原因を作ったのは、ヒューストンのときと同じ、ロシア人ルーキーのミハイル・アレシンだった。
全長7/8マイルで、バンク角が大きなアイオワのオーバルで問題のアクシデントが起きたのは、300周のレースの48周目で、雨で中断されていた競技が再開された直後のことだった。
今週末は悪天候に翻弄される展開となったが、佐藤琢磨とAJフォイト・レーシングのNo.14 ダラーラ・ホンダは力強い走りを示し、2回目のフリープラクティスでは4番手のタイムを記録した。
本来、このセッションは予選後に実施される予定だったが、激しい雷の影響で最初のセッションが大幅に短縮されたのに続き、2回目のフリープラクティスを予選前に行なうようスケジュールが変更された。
「この日は、強くて気まぐれな風が吹き荒れていましたが、マシーンは好調でした」と佐藤琢磨はコメント。
「プラクティスは順調で、力強いパフォーマンスを示すことができましたが、ひとつだけあまり満足できないことが残っていました。僕たちのマシーンはスピードがあったものの、やや危なげなところがあり、リアエンドが不安定に感じられたのです。ターン2とターン4にある大きなバンプを乗り越えるときは、リアのグリップがいまにも抜けてしまいそうでした」
「2回目のセッションは雨のために中断されたので、プラクティスは実質的に40分間しかありませんでした。しかも、最初のセッションではサスペンションに細かなトラブルがあり、パーツ交換のために走行を中断しなければいけなかったので、このときは5周の計測ラップしか走行できませんでした」
残念ながら、佐藤琢磨の好調さが予選に持ち越されることはなかった。2011年にはインディカーで初のポールポジションを獲得し、これまでにも何度となく佐藤琢磨が輝きを放ったアイオワの予選で16位に終わったのだから、残念というほかない。
「それまではリアエンドに問題を抱えているとは思いませんでしたが、予選を迎えてそれがはっきりと浮かび上がってきたのです。予選では、いつものようにダウンフォースを削り、ハンドリングをできるだけニュートラルに近づけていきますが、アタック中にヒヤッとすることがあり、タイムを大きくロスしました。このため、レースに向けてはセッティングの方向性を見直さなければいけないことになりました」
「アイオワのオーバルはバンク角が大きく、ひどいバンプがあることが特徴です。コーナーでかかる横Gの大きさはシリーズ中最大で、通常でも5G、予選では6Gがドライバーにのしかかります」
予選後のセッションが繰り上げられたことで、AJフォイト・レーシングはセッティングを変更したマシーンを走らせる機会がないまま決勝を迎えることになった。
レースが始まるとすぐに佐藤琢磨は16番手から19番手までポジションを落とし、最初のスティントの大半をこの順位で走行した。しかし、やがて雨が降り始めたためレースは一時中断されることとなる。
「スタートではグレアム・レイホールとサイド・バイ・サイドになりました。彼はスタート直後のターン2でコースの上側(アウト側)にどんどん寄ってきて、僕たちはサイド・バイ・サイドのままおそらく3/4周ほど走りました。僕は下側(イン側)に降りて別のレーンを走りたかったのですが、彼はどんどん上がってきたので、あまりいい気分はしませんでした。そして僕たちはターン3とターン4でもサイド・バイ・サイドになり、彼はまったく同じことを繰り返したのです。このときはスロットルを大きく戻したため、ポジションを落とすこととなりました」
「ファン-パブロ・モントーヤとのバトルはとても楽しいものでしたが、僕のマシーンはアンダーステアがひどく、タイア・デグラデーションが急激に進行していきました。けれども、僕はこう考えていました。『OK、今日は300ラップのレースだ。だから、いますぐプッシュする必要はない。最初のピットストップまで我慢すればいいんだ』 僕はとにかくリードラップに留まろうとしました。少し危ういときもありましたが、なんとか凌ぎきりました」
雨が止むと、ペースカーに先導されてレースが再開。そしてグリーンフラッグが提示される前に、全ドライバーが最初のピットストップを行なった。
「おそらく、みんなタイア交換のためにピットに入ったのだと思います。僕たちはハンドリングのバランスを改善するためにフロントのフラップを調整しました。けれども、その結果を確認することはできませんでした。なぜなら、まったく信じられないようなことが起きたからです……」
「グリーンフラッグが提示されたとき、僕はチャーリー・キンボールとサイド・バイ・サイドをしようとしていました。そして彼をオーバーテイクしたところで、目の前が真っ白な煙で覆われました。アレシンがスピンしたのです。このとき、僕はすでにウォール近くの上側(アウト側)を走っていたので、白い煙のなかに飛び込む以外、なすすべがありませんでした。まったく、何もできなかったのです。僕は思いっきりブレーキをかけましたが、どうすることもできませんでした」
佐藤琢磨の“不運な夏”はまだ幕を閉じていないようだが、嬉しいことに、レースは次々と開催される。次戦はトロントの市街地コースで繰り広げられるダブルヘッダー・レースとなる。
「アイオワのレースを本当に楽しみにしていました。きっと、この週末で僕たちの巡り合わせが変わると期待していたんです。でも、それは1週間先延ばしになったみたいです! こんなに悪いレースが続いたので、ここからはいい結果を期待したいものです」
カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨