佐藤琢磨
佐藤琢磨が、インディカー初表彰台を達成したサンパウロでのレース週末を振り返った。

2日間のレースイベントだったが、佐藤琢磨は両方のプラクティスでマシンにトラブルを抱えることにある。

「2日間開催のレースイベントだったため、僕たちはより不利な状況に立たされました」と佐藤琢磨は述べた。

「僕たちはプラクティスからトラブルを抱えていたので、その遅れを取り戻すには、あまりにも時間が不足していたのです」

「最初のプラクティスでは、マシンのバランスはそれほど悪くありませんでしたが、まだまだ進化させなければいけない状況でした。エンジニアはいくつかのパラメーターについて不具合を見つけていたので、走行を取りやめてギアボックスを開けることになりました。これは、まだセッション半ばのことでした」

「しかも、2回目のプラクティスではエンジン・トラブルのため数周しかできなかったので、セットアップの変更が正しかったかどうかを確認することもできませんでした。おまけに、エンジン交換に時間をとられ、予選にも出走することができませんでした。本当に最悪の状況でした」

予選に出走しなかったこと、エンジン交換の10グリッド降格により、佐藤琢磨は最後列25番グリッドからレースをスタートこととなった。

さらに決勝日の朝は雨。ウォームアップでセットアップ変更の影響を確認することもできなかった。

「セットアップの変更確認に加え、オルタネートタイアやプライマリータイアの感触も確認しなければいけませんでした。雨のレースとなることは全く構いませんでしたが、決勝はドライになると予想されていたので、ウォームアップで雨が降ることだけは避けてほしかったのです。したがって、レースを迎えるときには、わからないことだらけでした。マシンのバランス、2種類のタイアでのハンドリング、ギアレシオ、そしてストレ−トスピードを左右するダウンフォースのレベルなど、不透明な部分があまりにも多い状況でした」

「ターン1のシケインはとてもタイトなので、26台が接触することなくそこを通過できたとしたら、それは奇跡のようなものです。ところが、今回はこの奇跡が起こりました。素晴らしいことに、どのドライバーも周囲のライバルにリスペクトを払っていたのです。けれども、僕にとってはあまり嬉しいことではありませんでした。なにしろ、おかげで順位を上げられなかったのですから!」

「この後は、ジャスティンと素晴らしいバトルを堪能できました。今季のインディでは、進路を1回だけ変更できるブロックが解禁されたので、彼のアタックをしのいで順位を守り続けることができました。ハードな攻防でしたが、非常にエキサイティングでしたね。たぶん、ジャスティンは僕に10回くらいアタックしかけたはずです!」

「その後いくつか順位を上げたものの、中段の大きな集団に追いついてしまったので、そこから順位を上げるのは難しい状況でした。このため、予定よりも早めにピットストップを行ない、戦略を3ストップに変更しました。ところが、残念ながらピットレーンに勢い良く飛び込みすぎ、速度超過によるドライブスルーペナルティを科せられてしまいました。これは僕のミスでしたが、おかげで状況はより困難なものとなり、僕はもう少しで周回遅れになりそうになりました。けれども、どうにか周回遅れにはならないペースで走行することができ、この後で入ったコーションに僕らは救われることになります」

だが、佐藤琢磨はコーション後のリスタートで順位をあげていく。

「アタックに次ぐアタックで、本当にエキサイティングでした。ピットストップで問題が起きたことも何度かあったので、僕はコース上で順位を取り戻すことになりました。その為に今回はとても忙しいレースで、順位を上げたり下げたりを繰り返しました。ただし、サンパウロはヘビーブレーキングが必要な部分がいくつもある素晴らしいコースなので、オーバーテイクするチャンスには事欠きませんでした」

「トップ10まで浮上したとき、『今後ピットストップを行なうドライバーが何人もいる』とボビー・レイホールが伝えてきました。それから5番手までポジションを上げましたが、僕は最初の3戦でリタイアに終わっていたので、あとはこのまま完走するのが僕の役目となりました」

だが、残り8周のコーション後のリスタート、佐藤琢磨は1コーナーのブレーキングで2台をオーバーテイクする。

「うまく説明できないけれど、これが僕なんですね(笑) 順位についてチームが何を言おうとも、チャンスとみたらそれに向かって全力で挑む。もちろん、無茶をしたつもりはありません。ちょっとしたスペースが目に入ったので、そこに飛び込み、シケインをクリアしたのです。とびきりエキサイティングな瞬間でした」

「ついに今日はいい結果を得ることができました。ずっと不運続きでしたが、これまでも十分なスピードとポテンシャルを手にしていると信じていました。この週末はチームの戦略も最高で、彼らは素晴らしい仕事をこなしてくれました」

「ホンダのパフォーマンスが高くなったことも嬉しいですね。ピークパワーは改善され、シボレーに追いつきつつあるので、今後、状況はさらによくなっていくと思います」

次戦は、5月のインディ500。舞台は、佐藤琢磨がF1で表彰台に上ったインディアナポリスだ。

「インディカー・シリーズで最初の表彰台を手に入れることができて、本当に嬉しく思っています。けれども、次に控えているのはビッグレースで、まったく違った展開になるでしょう。これは本当に大きなチャレンジなので、いまはインディに行くことをとても楽しみにしています」

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カテゴリー: F1 / 佐藤琢磨 / インディカー