ダニエル・リカルド F1離脱後の今を語る「今は“スローライフ”を楽しんでいる」

マクラーレンでの苦戦と契約解除、2023年途中からのアルファタウリ(現レーシングブルズ)での復帰を経て、リカルドは2024年シーズンも同チームに在籍。
しかし復調には至らず、シンガポールGPを最後にリアム・ローソンと交代となり、その後はF1でのレース出走が途絶えている。
現在はレース現場から距離を置きつつ、若手育成活動に力を注いでおり、自身の名を冠したカートシリーズ「ダニエル・リカルド・シリーズ(DRS)」を通じて、英国各地でのジュニアカート大会を支援している。
先週末、英バックモア・パークで行われた同シリーズの一戦に姿を見せたリカルドは、2024年シンガポールGP以来初めてサーキットに足を運んだという。メディアに対して、次のように語っている。

「全部うまくいってるよ。今はスローライフを楽しんでる。35歳で“リタイア”なんて言うと変に聞こえるけど、少なくともF1で生きてたあの世界からは一旦引いた形だね。こうしてカート場に戻ってくるのは本当にいい気分だよ」
「サーキットに来るのはシンガポール以来だと思うから、もう何か月も経ってる。でも、こうしてキッズたちを見てると嬉しくなる。僕がカートを始めたのも、まさにこういう空間だった」
「子どもたちと一緒に写真を撮って、彼らの間にある友情を感じたよ。きっと一生続く関係なんだろうなって。僕の親友も、カート時代に出会った仲間だからね。こういう“グラスルーツ”な純粋なレースの現場に戻ってくるのは、本当にいいことだと思う」
F1というハイレベルな舞台を離れた今だからこそ、原点を見つめ直す時間にもなっているようだ。
「今はあの世界から少し距離を置いて、生活も前より穏やかになった。だからこそ、自分のキャリアの始まりを改めて思い出すことができる」
「誰にだって憧れの存在がいるよね。僕も、尊敬する人に会う時はすごく緊張してたから、今の子どもたちの気持ちもすごくよくわかる。でも、みんなフレンドリーで楽しそうだったよ。たぶん僕以外にもF1ドライバーと会ったことがあるのかもね、ここにはF1ファンがたくさんいるから」
「でも、もし僕がここに来て子どもたちに何か少しでもインスピレーションやモチベーションを与えられてるなら、それは本当に嬉しいことだよ。僕自身が8歳とか9歳の頃、そういう存在に出会えて嬉しかったからね」

さらに、今の子どもたちと同じ年齢だった自分にかけたいアドバイスを尋ねられると、次のように振り返った。
「僕はけっこうラッキーだったと思う。よく言われてたのは『楽しんでこい』ってことだけ。誰かにアピールしようとか、無理して自分を作るとかじゃなくてね。『これをやればテレビに出られて、お金も稼げる』とかじゃなくて、とにかく“楽しめ”って言われてた」
「レースって怖い面もあるけど、そういうスタンスがあったおかげで、学校生活でもちょっと自信が持てるようになった。成長の途中では誰でも不安になるけど、自分自身を信じられるようになったのは、レースのおかげだったと思う」
「ドライビングの話で言えば、とにかく楽しむことだけが目的だった。友達と一緒に遊んで、スクーターで走り回ったりして、よく父親に『カートがグリッドに並んでるぞ、ヘルメットかぶれ!』って呼ばれてたよ。正直、カートは二の次で、とにかく友達と一緒にいられるこの環境が大好きだったんだ」
F1のトップステージを戦った男が、今は“最も純粋なレースの場”であるカート場で、若い才能たちと過ごす日々。リカルドは競技から離れた今も、変わらぬ笑顔と情熱でモータースポーツに貢献し続けている。
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