F1圧縮比問題:レッドブルの“立場転換”はメルセデスの優位性を削ぐ狙い?
圧縮比を巡るエンジン問題は依然として議論の中心にあり、とりわけレッドブルが立場を変え、アウディ、フェラーリ、ホンダと足並みを揃えたとされる点が注目を集めている。

この決断は、バルセロナでのテストデータの一部から垣間見えたメルセデスの優位性に圧力をかけ、それを抑え込むことを目的としているようにも映る。

もはや議論は圧縮比そのものではなく、皮肉を込めて「理解力の比率」と呼ばれる段階に入っている。というのも、技術規則の解釈を守ろうとする中で、メルセデスが孤立する形になっているからだ。

先週行われたPUAC(パワーユニット諮問委員会)の会合で浮かび上がった重要なポイントは、レッドブルの立場転換だった。この動きは突然であると同時に決定的でもあった。アウディ、フェラーリ、ホンダと歩調を合わせたことで、正式に「高温時の圧縮比を測定するシステムを、技術指令もしくはレギュレーション改定によって導入する」ために必要な定足数(5社中4社)に達した。

この問題は、技術的な議論の段階から、今後は政治的な局面へと移っていく。提案は来週バーレーンで開催予定のF1コミッションの議題に上がり、現時点の勢力図が維持されるならば、その後は世界モータースポーツ評議会による最終承認へと、形式的なプロセスを速やかに進むことになる見通しだ。

圧縮比 F1 メルセデス エンジン

レッドブルが“寝返った”理由
しかし、最大の疑問は、ミルトンキーンズを拠点とするレッドブルが、なぜこのタイミングで進路を変えたのかという点にある。12月から始まった議論の中で、レッドブル・パワートレインズ部門は中立的な姿勢を保ってきた。その態度は、メルセデスが指摘されているのと同様に、高温時に圧縮比を高める技術的解決策をレッドブル自身も有しているのではないか、という憶測を生んでいた。

だが、その慎重姿勢から先週確認された決断に至るまでの間に、ひとつの重要な要素が挟まっている。それがバルセロナでのテストだ。

スペインでのテストでは、ラップタイムだけでなく、各チームが収集した走行データを詳細に分析する機会があった。複数のチーム関係者は、メルセデスがエンジン面で顕著な優位性を示していたと漏らしている。ただし、その際もメルセデスは自らのポテンシャルを過度にさらけ出さないよう、細心の注意を払っていたという。

得られた情報によれば、パフォーマンスのピークはごく短いスティント、数周に限定されており、それでもエンジニアにとっては十分な裏付けを得るには足る内容だった。過度な注目を集めずに、必要なデータを確保するための走行だったとされる。

ここ数か月、メルセデスのパワーユニットが基準になる存在だと語られてきたこと自体は驚きではない。しかし、冬の噂話と、GPSデータを含む実測値の分析とでは意味合いが異なる。実際に数値として確認することは、まったく別の重みを持つ。そして、その差は想定以上だった可能性が高い。

こうして、レッドブルの進路変更の背景として最も有力な仮説が浮かび上がる。ミルトンキーンズのパワートレインズ部門が初めて手がけたエンジンは、バルセロナテストにおける興味深いサプライズのひとつだった。それでも、直接のライバルに対してレギュレーション面から圧力をかけられる可能性があるなら、それは戦略的に見逃せない機会となる。

とりわけ、現場で実際のデータを確認し、メルセデスのパワーユニットが持つ真のポテンシャルを数字で把握した後であれば、その判断はなおさら現実的なものとなったはずだ。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / メルセデスF1