クリスチャン・ホーナー F1復帰へ驚きの選択肢「12番目の新チーム」構想
クリスチャン・ホーナーのレッドブルとの1億ドル規模の和解は、彼がいつどこでF1に復帰するのかについて多くの憶測を呼んでいる。すでに複数の現行チームとの関わりが取り沙汰されているが、もう一つの可能性として、自ら12番目のチームを立ち上げる案も検討されていると理解されている。

現在、あらゆる選択肢がテーブルに並んでおり、特にレッドブルとの退職金契約の中に「来年の前半にF1に復帰可能」という特別条項が含まれていることは、ホーナーができるだけ早くグランプリレースに戻りたいと望んでいることを明確に示している。

そうでなければ、ライバル企業と早期に動くことを許される代わりに、減額された和解金に合意することはなかっただろう。

他チームからの関心は不足していないため、ホーナーに必要なのは自分の頭の中で何をしたいかを整理すること、特に「他のチームに加わるのか、それとも独自に始めるのか」を決断することだ。

コントロールという要素
広く理解されているのは、ホーナーが望むのは「チームを完全に掌握できる立場」であり、単にチーム代表として上層部に報告する役職を受け入れるつもりはないということだ。彼はレッドブルF1の運営全体を統括しており、レッドブル・レーシングだけでなく、エンジン部門、マーケティング、先端工学部門まで掌握していた。

ホーナーは、この権限の集中こそがレッドブルを複数のタイトル獲得チームへと押し上げた鍵だと信じており、その信念は変わっていない。だからこそ、かつてフェラーリからのオファーを断り、今後12カ月以内にチームが2026年規則で失敗し大改革を行った場合のチャンスを待つことにも積極的ではない。

さらに、ホーナーが特に関心を持つ要素は「持分」だ。チームのコントロールだけでなく、その所有権構造の一部を持つことにも興味がある。近年、ホーナーが関与すれば支援する用意がある投資家が存在すると盛んに噂されており、チームへの資本参加の可能性を開いている。

有力候補:アルピーヌとアストンマーティン
ホーナーにとって、すべての条件を満たす最も有力な選択肢として浮上しているのはアルピーヌとアストンマーティンだ。両チームはグリッド最前列を目指しており、彼が求めるコントロールを得られる可能性がある。

ホーナーはアルピーヌのエグゼクティブ・アドバイザーであるフラビオ・ブリアトーレと友人であり、エンストンのチームに買収的に関与し、自由度の高い役割を担うことは論理的だ。そうなれば、低迷するチームの立て直しに必要な権限を得られるだろう。

アストンマーティンもまた大きな野望を抱いており、現在はアンディ・コーウェルがCEO兼チーム代表を務めているが、オーナーのローレンス・ストロールがホーナーに魅力的な役割を与えるために体制を調整することもあり得ない話ではない。その際には持分参加が含まれる可能性もある。すでにアドリアン・ニューウェイの契約で株式保有が含まれていた前例もある。

ニューウェイが語ったように「株主でありパートナーになる機会は、これまで私に与えられたことがなかった」。この要素は大きな魅力だ。

一方で、昨年の不和が原因でニューウェイがレッドブルを離脱した経緯から、「ニューウェイとホーナーの共存は不可能ではないか」との見方もある。しかし、過去12カ月で両者の関係は修復され、最近では共にオアシスのコンサートに行くなど社交の場を楽しむまでになっている。

その他の候補:ハースと12番目のチーム
他に名前が挙がるのはハースだが、オーナーのジーン・ハースが現時点で売却に関心を示していないと理解されている。そのため、状況が変わらない限り最有力候補にはならない。

そして、より突飛な案として浮上しているのが「新チームの立ち上げ」だ。F1の規約上、最大12チームが参戦可能であり、キャデラックが2026年に参入予定で11チームとなるため、理論上は1枠空いている。

もしホーナーが挑むなら、数億ドル規模の投資を引き出す必要があり、早くても2028年以前の参戦は難しいだろう。費用は巨額だが、現在のF1チームの評価額が10億ドルを優に超えている現状を考えれば、新規参入に5億ドル程度を投じるのは相対的に「お買い得」とも言える。

ホーナーは商業的に非常に抜け目なく、レッドブル時代に大企業を引き込んできた人脈があるため、必要なパートナーを見つけ出せる可能性があるとみられている。実際、この件に関して予備的な議論がすでに行われたとも伝えられている。

ただし、資金を集めることと、エントリーを承認させることは別問題だ。かつてアンドレッティが、FIAの技術承認と資金を揃えても、FOMに「付加価値がない」と拒否された前例がある。最終的にGM主導のキャデラック計画に進化して初めて承認が下りた。

したがって、ホーナーが12番目のチームを目指すなら、ライバルチーム、FIA、FOMを納得させる提案が不可欠となる。そのためには、メーカーの後ろ盾や革新的スポンサーなど、F1にとって拒否できない要素を示す必要がある。

結論:未完のビジネス
現段階でホーナーの頭の中で決まっているのは「F1においてやり残したことがある」という信念だけだ。アルピーヌ、アストンマーティン、ハース、あるいは新チーム立ち上げ──選択肢は多いが、復帰が時間の問題であることに疑いはない。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング