F1:DRSボタンを最初に押したのはバトン 最後に押したのはアントネッリ
F1は2011年にドラッグ・リダクション・システム(DRS)を導入した。可動式リアウイングによって空気抵抗を減らし、トップスピードを上げて追い抜きを助けるシステムだったが、その効果は大きく、同時に「人工的だ」という批判も生んだ。

そして週末、ついにレースでDRSボタンが押される最後の瞬間が訪れた。

DRSによって追い抜きは大幅に増え、スリップストリームに入ったドライバーはリアウイングを開くことで時速10〜12kmの速度向上を得られた。2011年スペイングランプリでは、当時のワールドチャンピオン、ジェンソン・バトンが初めてDRSボタンを押したドライバーとして記録されている。

「ただ僕をマシンに乗せてくれれば、最後のDRSボタンを押す者にもなれる。物事は一周して戻るべきだと感じるんだ」

しかし、その願いは叶わず、栄誉はメルセデスのキミ・アントネッリに託された。

DRSの最終作動は角田裕毅への追撃、しかし…
アブダビGP最終ラップ。アントネッリは前を走るレッドブルの角田裕毅に迫り、最後の1回となるDRSを作動させた。だがDRSの“最期の瞬間”はオーバーテイクにはつながらず、アントネッリは0.6秒届かずチェッカーを受けた。



2026年はDRS廃止、新たに「MOM」導入へ
2026年、DRSは姿を消し、新たに「マニュアル・オーバーライド・モード(MOM)」が採用される。

FIAシングルシーター技術ディレクターのヤン・モンシャウはその仕組みを次のように説明する。

「ストレートに入ったとき、前方のマシンに十分近づいていれば、追い抜きを助けるために――両者ともリアウイングとフロントウイングのフラップを開いている状態で――後方のマシンにはそのラップの一定時間において、より多くの電気エネルギーを使うことを許可します」

「現在のDRSでは、前の車の1秒以内に入ればDRSを開く権利がありますが、今後はそうではありません。ただしロジックは同じです。前の車に十分接近していれば、そのラップ中に自由に使える追加エネルギーが与えられます」

「追加エネルギー量は定められており、そのブーストによって後続車がストレートの終わりで追い抜くチャンスを得られるでしょう」



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カテゴリー: F1 / F1マシン / ジェンソン・バトン / アンドレア・キミ・アントネッリ