メルセデスF1代表 「予算上限がF1の“軍拡競争”を止めた」
メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは、F1に導入された予算上限が世界選手権を「軍拡競争」ではなく「実力主義(メリトクラシー)」の戦いに変えたと語った。

2025年シーズン、ランド・ノリスはマックス・フェルスタッペンとマクラーレンのチームメイトであるオスカー・ピアストリを抑え、15シーズンにわたってレッドブルとメルセデスしか世界王者を輩出してこなかった時代に終止符を打った。

長年にわたり、レッドブル、メルセデス、フェラーリはF1で群を抜いて資金力のあるチームだったが、2021年に予算上限が導入されたことで、競争環境はより均等なものになった。

メルセデスは、2022年に始まりアブダビGPで終わりを迎えたグラウンドエフェクト時代に苦戦を強いられ、その期間に92戦中わずか7勝しか挙げることができなかった。予算上限がなければ、より多くの挽回が可能だったのかと問われたヴォルフは、次のように答えている。

「予算上限が導入されたとき、我々はそれを強く意識していた。商業的な理由だけではなく、競争の場をより平等にし、同じチームが支出で他を上回り続ける状況を防ぐためだ。我々は金で解決していたか? レッドブルやフェラーリを見てほしい。彼らも我々と同じ財政的な余力を持っている。結局は再び軍拡競争になっていただろう」

メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

さらにヴォルフはこう続けた。

「そうなっていれば、マクラーレンが我々とタイトル争いをすることはなかったかもしれない。今は純粋な実力主義だ。最高のマシンに乗る最高のドライバーが勝つ。そしてそれは我々ではなかった」

この見解には、マクラーレンのランド・ノリスも同意している。ノリスは、レッドブルがシーズン後半にかけて大部分の遅れを取り戻したものの、開発面では自分たちがライバルを上回ったと語った。

「2回目のコンストラクターズタイトルも、最初のタイトルと同じくらい特別だ。3年前に僕たちがどこにいたかを考えれば、最初のタイトル自体がとてつもない成果だった」とノリスは10月に語っている。

「僕たちは開発の面で、すべてのチームを追い抜いた。進歩の幅という点では、他を大きく上回っていたと思う。それも、これまでで最も難しい時代のひとつでだ。制限が増え、風洞使用時間も減り、予算上限もある。そのことが、以前は他チームが使えた潤沢な予算と比べて、結果的に僕たちに有利に働いたのだと思う」

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カテゴリー: F1 / メルセデスF1